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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
409/520

地下足袋 (揺れる――)

 ……


 ダンジョンが閉鎖され、予定が消えたカンイチ一行。

 火事場に出かけたダイインドゥ一家以外のメンバーで昼食、『三丁目仕立て屋』へやってきた。


 「うんうん。このジカタビ、いい履き心地ですねぇ、女将さん」

 地下足袋を履いてご満悦のイザーク

 彼もカンイチ同様、その場で屈伸、飛び跳ねてと出来を確かめる

 

 「うん? これなら丁度よさそうだな。イザーク、これ一つ、回してくれ」

 ひょっこりと様子をうかがっていたサディカが顔をだす。そしてイザークのオーダーした地下足袋をひょいと

 

 「あ、サディカさん? そりゃ、構わないけど。たぶん小さいと思いますよ?」

 「ん? どれどれ。……お、おおぉ? こ、これかぁ。父ちゃんのいう、謎のフィット感というのは!」

 「サ、サイズは?」

 「うん。丁度いいみたいだ」

 その場で屈伸したり、飛び跳ねたりとカンイチやイザークのやっていたように確かめるサディカ。

 が、カンイチたちと違う点。イザークの眼の前でサディカの大きなお胸が上下にぶるんぶるん♡と揺れる

 そして、視線を外せないイザーク君

 

 「なぁ、イザーク、これもらっていいか?」

 「い、いい……」

 と、ぼそり

 「うん? どうしたんだ?」

 「はっ――! はいぃ? いいですよ?」

 サディカの問に正気に戻るイザーク

 「変なやつだな。ありがとな!」

 と、ちゃっかり樹脂の塗ってるもの、塗っていないものと、各一足ずつ持って行くサディカ

 「あ、……まぁいいか。女将さん、追加でジカタビお願いしたいんですが」

 「ん? まいどぉ~~」

 そこで、セクハラ爺さんカンイチと目が合う。バッチリと一部始終を目撃されていたようだ。

 にやりと笑うカンイチ。

 「若いのぉ。イザークくんは」

 「い、いいじゃないですか!」

 ……と


 今回は王蛙キングフロックの革は持ち込みではなく購入だったため、少々お高くなったが、出来は申し分のないものだった。予備の制作を依頼。


 「カンイチさん、ガハルトさん。今の時期、そろそろキングフロックも出てきている頃だそうですから、獲りに行きます?」

 と、トキに聞いたのだろう、イザークが提案する

 「ん? そうさなぁ。肉の補給も兼ねて行くかの。あの蛙、けっこう美味いで。どうじゃガハルト?」

 「うん? その前にダンジョンだろう! せっかく皆、準備をしたのだしな!」

 「”収納”だで、腐りはせんがの。ま、当初予定通りでええか」

 「ああ! 上手くいけば明日には入れるだろう? 半端な時間だろうし。いてるのではないか。であれば、10階もすんなり通れるだろう?」

 と、目を輝かせるガハルト

 「ふむ」

 「いや、逆だぞ父ちゃん。明日は金のねぇ連中が押し寄せてくるからめっちゃ混むぞ。きっともう場所取りして今晩から並んでるやつだっているぞ」

 と、サディカが声を上げる。

 「な……。それは本当か……サディカ?」

 「たぶんね。だって、皆、金ねぇし? 下手すりゃ隔壁のなかで、もうテント張って待ってるやつだってさ。明日は開いても見送ったほうがいいと思うよ。低層階も競争だろうし?」

 がくりと肩を落とすお父ちゃん

 「なぁに、一日だろうに。大げさな。じゃぁカエル獲りにでもいくかの? ガハルトよ」

 「キング・フロックかぁ。でも、狩り場は西の沼になるだろう。けっこう距離あるよカンイチさん。一日じゃムリ。行くだけで一日みないと」

 と、この町を拠点にしている冒険者のサディカ。

 「そうか。サディカさんがそういうんじゃ、ダンジョン優先であれば明日ものんびりするかの」

 「仕方なし……か」

 「ま、ダンジョンは逃げんでの」

 ……

 

 各々、ツナギや普段着やら必要なものを注文。

 カンイチは地下足袋に合わせた親指の独立した”軍足くつした”も注文。

 アールカエフもキキョウの可愛い服を買えてご満悦だ。


 「おぅん? ダリオン君もちゃっかりのっかっていたのかね?」

 ダリオンの足元は真新しい地下足袋が装備済みだ

 「ちゃんと自分でオーダーして購入してるからいいでしょう!」

 「もう。そんな喧嘩腰にならなくともいいじゃない、ダリオン君。サクッとやっちゃうよ?」

 「こら、アールよ。別に構わんだろうに」

 と、なだめるカンイチ

 「いや、カンイチ。違うのよ? 僕はただ、ジカタビの履き心地を聞きたかっただけよ? ダリオン君がつっけんどんだから?」

 「それは失礼しました。スィーレン様。大変に心地がいいです。足の裏と地面がより近く感じます」

 「それは良かった!」

 「そこに至るのにもっと、こう……、すんなりいかんもんかの?」

 やれやれと肩を竦めるカンイチだった

 ……

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