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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
メヌーケイへ!
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そ、そうみたいですね (欲望渦巻く街)

 ……


 元王都、帝国の提督府が置かれている【テイラーズ・ガーデン】に到着。

 古くから景気もよく、大きな歓楽街がある。賭博場カジノが軒を連ね、併せて高級レストラン、高級宿泊所、そして、商館街と 


 「……ふぅん? カジノぉ? 恐らく僕は入れないよ? たぶん?」

 「ああ、ダリオン殿から聞いておるよ。アール。エルフ族は目がいいそうじゃな」

 「それもあるけどぉ? 5~600年位前? 1000? まぁ、いいや。当時、景品に大きな魔石があると聞いてさ! わざわざここまで来たんだよ? で、カジノってばズルばっかしするんだもの。僕も精霊様もお怒りさ。そのイカサマデイーラーの指、皆、切り飛ばしてやったから? イカサマこいたオーナーは右腕? 最後はおおきな魔石二個あげるからお帰り下さいって? それじゃぁ、旅費にもならないだろう? 五個にしてもらったさ! そしたら、その日から何処のカジノも景品から魔石が消えたね。で、エルフ族は立ち入り禁止って。失礼こいちゃうわね。まったく」

 「……」

 衝撃の事実に静まり返る一同。

 「……すべての始まり……元凶はスィーレン様なんですね? 何やってるんですか……」

 ダリオンのこの台詞が全てだろう。

 「失礼だな。ダリオン君。イカサマする方が諸悪の根源! 元凶だろうに?! しかも、その後、暗殺隊まで仕向けてくる始末だったんだぞ! まぁ、皆、返り討ちにしたけどぉ? 依頼したカジノのオーナー? 何故か人族が3人いて酒盛りしてたけど? そうそう僕はやられないって。代わりにそいつら皆、死んでもらったさ。当たり前だろう?」

 「……それじゃぁ、入れんわなぁ」

 「……まぁ、スィーレン様ですし」

 「もうかなり昔の事だし? 忘れてるかも? 試しに行ってみる? 冷やかしに?」

 その教訓、今尚。その証にエルフ族立ち入り禁止は続いているのだ。

 「……やめとけ」

  

 異種族……特にエルフへの規制がかかったのはどうにもアールカエフが原因と判明する。

 若かりしときは今よりも血の気も多かったのだろう。問答無用で切り飛ばしでもしたのだろう。当時、カジノを仕切っていた裏稼業マフィアのボス、3人が惨殺された記録が残っている。アールカエフは3人と言ってるが、その3人に至るまでの間に多くの構成員が八つ裂きの憂き目を見ている。当時の暗殺ギルドのギルド長、副ギルド長すら消息不明と

 直後に、これは好機! と、当時のアマナ国(シャココ国を併呑して後のアマナシャーゴ国に)の軍が介入。裏稼業の連中を排除、国有化がすすめられる。更に後、アマナシャーゴ国の王族が王位を放棄しカジノを私物化、牛耳る事となり現在に至る。この件は王族による、『権力を持ったマフィア』の再来とも言われている


 「じゃ、ワシらは鍛冶師ギルドの方に行ってくるでな」

 「家、借りられるか聞いて来るな!」

 そう言い残すと、いつもより早足で雑踏に消えるドワーフ夫妻。家が決まれば腰を据えて呑めるから気合も入ろうというものだ

 「じゃぁ、わしらはいつも通り、広場で待つとするかの」

 『うむ。串焼きを買ってくれ』

 「了解です! フジ様! 行きましょう!」

 「僕も行こう!」

 こちらもイザークがフジの手綱を取って雑踏に。アールカエフの後にダリオンも続く。

 「本当にいいコンビじゃな。イザーク君とフジは。イザーク君の子孫に世話になろうというのも満更、嘘でもないのかもしれんのぉ」

 「まぁ、楽しんでいただいているのなら何よりさ」

 「特に獣人さんはフェンリル様を神のように崇めているからね」

 と、御者台よりミスリール

 「ああ。力の象徴だ。まさか出会えて、同じチームで行動できようとはな。誉だ」

 「ふぅん? そんなものかのぉ」

 ……

 

 道中の屋台で沢山の串焼きを求めつつ大広場に到着。馬車の待機場には行かずに広場の片隅を借りる。クマ達がいると他の馬達が寛げないからだ。狼、魔獣の括りになっているのだろう。

 「沢山の服屋があるのぉ。この町は」

 大広場を囲むように仕立て屋が。そのショーウィンドウには色とりどりのドレスが並ぶ。

 他の町であれば飲食店が並ぼう物だがそれだけこの町で盛んなのだろう。

 「ええ。まさに、テイラーズ……仕立て屋の町とも言われていますよ。各々の店で独自のデザインのものをだして競っているんですよ。年二回、ドレスのショーもあります。帝国からも買付けに来るほどですよ」

 「ほーん。褌屋もあるじゃろか?」

 「どうしても”女”が集まる町でもありますから」

 「なるほどのぉ」

 元王都。現、帝国の提督府。多くのカジノ、集まる貴族……金と酒と女の街。それがテイラーズ・ガーデン。

 「……そ、そうみたいですね」

 と、少々顔の赤いイザーク君が応える。カジノの町。一攫千金夢の町、欲望渦巻くこの町には多くの娼館もある。大広場にもまだ明るいにもかかわらず、煽情的な服を着た女性の姿が多くある。

 「娼婦の服もありますけど、貴族家が一家で遊興に来たりしますから。その時に服を注文されるそうですよ」

 「カジノで勝てれば生地のランクも着数も上がろうというものだろうな。なんか買っていくか? カンイチよ?」

 「わしはトキさんの処があるでええな。あすこの手は確かなものじゃ」

 「お前は良くてもアール様がいるだろうに?」

 「僕? 僕もいいよ? 質素な服が好きだし? カンイチがヒラヒラした助平な服がいいのなら着てもいいよ?」

 「わしは今のままのアールがええ」

 「だろう! わかってるね! カンイチぃ!」

 馬車からカンイチにおぶさるように抱き着くアールカエフ

 「良かったですねぇ! アール様! ふんだ!」

 「チンチクリンだし。あんな胸のある服なんか着れないでしょうに? スカスカでしょ? スィーレン様は」

 「……ダリオン君……。君に! 君にだけは言われたくはないよ。僕とそう変わらんだろうに? ほら、イザーク君を見習いたまえ! 羨ましがってくれてもいいのだよ?」

 「だ、だれが! ……わ、私の方が少し……」

 「ほれほれ。すぐにいがみ合うな……」

 ……

 

 「うん? そんなに気になるのか? 行きたきゃ行けばいいだろう? イザークよ。くくく」

 「え、ええ?」

 「お貴族様が行くような高級な娼館ところなら問題も少ないしな。お前さんもそこそこ金もあるのだし。遊んでくればいいだろう?」

 と、馬車の陰でコソコソ。男の会話だ。

 「高級なところ……。遊び? ……ガ、ガハルトさんも、い、行きます?」

 「俺は用はないがな。獣人族は警戒心が強いからな。知らん女と寝るなんてことはそうそうないな。ましては娼婦などとな。それに最近は充実している」

 と、腰に下がってるトンファーを一撫で。今のガハルトの愛しい愛人は冷たい金属の兵器だ。

 「そ、そうですか? カンイチさんは行かない……ですよねぇ……?」

 「当たり前だろうに。浮気でもしようものなら、アール様に首、飛ばされちまうぞ。くくく」

 「そ、そう……ですよね。カンイチさんて一途だし? 行かないよね」

 「なんだ? なんだ。イザークよ。一人で行けないのか? まさか、お前が、”いたしているところ”も俺が見守らねばならんのか? 勘弁してくれよぉ~~。はっはっは!」

 「い、いえ、そんな事は……は、ははは……。や、止めておきますぅ……」

 「なんだ、自信をもて! イザークよ! はっはっは」

 ばんばんとイザークの背を叩くガハルト。

 「は、はぁ……」

 ……

 

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