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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
メヌーケイへ!
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おお! 本当にお城じゃなぁ。 (テイラーズガーデンにて)

 …… 


 「おお! 本当にお城じゃなぁ。此処が王都かいのぉ?」

 「いえ、カンイチ様。前にもお伝えしたように元王城、ですね。正確には提督府ですね。この国に王族はいませんから」

 往路でもその美しい風景に感銘を受けたアマナシャーゴ国の中心。元王都。現在は提督府が置かれている【テイラーズガーデン】。町の中央にそびえるのはこれぞ城! といわんばかりのいくつもの尖塔を有する美しい城が。

 

 「ということは、この国にいる貴族は帝国の貴族という訳かの?」

 「いえ、一部、入っておりますが、一応、各地を治めてるのはアマナシャーゴに元々いた貴族たちですよ。その総括を帝国の提督が行っているのです。王家が責任放棄した時点で吸収してしまえばよかったものを。人の政治というのはよくわかりませんね」

 「ふうむ? 帝国の貴族じゃない……のか? よくわからんの? で税金やら貴族の処分なんぞはどこがやってるんじゃ?」

 「いわば、小さい国の集合体のような? 税金にしても一定の額、帝国に納めればあとは自由。よって、領ごとに税率は違いますね。そんな訳でよっぽどのことがない限り帝国も干渉しませんよ。多くの家は帰順していますが中にはそうでない家も。ですが、帝国相手に反旗を翻すことは無いでしょう。周りは帝国の軍に囲まれていますから」

 「植民地のようなものかの……」

 「さて。人族のやる事、私には理解できませんけどね。ま、そういった連中がスィーレン様に接触してこないようにするのも私の任務です」

 「確かにのぉ。そういった連中からみりゃぁ、アールもフジも余程輝いて見えるんじゃろうの」

 「……難しい話だな。で、どうすんだカンイチ。この町にも寄るのか?」

 「うんむ? 約束したで。寄って行こうか」

 その約束にしても、提督とのものなのだが……。お付きの、アールカエフを呼び止めた5人の騎士ももういまい。

 「くっくっく。そうか? ならそうしようか」

 …… 

 

 「ダリオン殿のお陰ですんなり入れたの。ありがとう」

 「いえいえ。これも仕事の一つですから。暴れないでくださいよ。スィーレン様?」

 「ダリオン様、確かこの町には大きなカジノがありましたな。行くか? カンイチ? 一攫千金だぞ?」

 「いや、わしは博打は打たんで。行きたきゃイザーク君と行って来ればよかろう?」

 「……いえ、俺、めっちゃ博打弱いんで……金の懸かったカードで勝ったためし無いですしぃ」

 「安酒場のカードなんざイカサマだぞ。イカサマ」

 「え、ええ! ま、マジです? ガハルトさん!?」

 「ああ。まぁ、カジノもそう変わらんがな。そのイカサマが見抜けなけりゃぁお前みたいに泣き寝入りだがなぁ」

 「げぇ……マジ……」

 「うんむ。じゃぞ。イザーク。でなもんで人族以外立ち入り禁止のカジノもようけあるで。ワシら目がいいでな。怪しい動きはすぐにわかるで」

 「ふふふ。そうですね。私達エルフ族の入れるカジノもほぼないですね」

 「ふふん。俺をハメようとした雑魚野郎の指、二度とイカサマできないように飛ばしてやったがな!」

 と、ガハルト

 「……ひぇ」

 「ま、見破れればそんなもんじゃて。騙すんじゃ。命がけだでな。ディアンなら首飛ばしかねん」

 「当たり前だろう? それこそ落し前ってなもんさ」

 そんな年長者たちの話を聞いて

 「…………行きません……。絶対勝てないじゃないですか!」

 「くっくっく。全員から巻き上げることはすまい? カジノの評判が悪くなるからな。勝ち組に入れればあるいは?」

 『であれば、我が付き合ってやろうか? イザークよ。どんな小細工も我には通用せぬ』

 「フジ様が一緒であれば心強いな! イザークよ! 襲われても対処できよう」

 「お、襲われる? ……ですか?」

 「そりゃぁ、イカサマ暴いたり、大儲けしたりすりゃぁ目を付けられてなぁ。後付けられて……囲まれて……ブスリだな」

 「……」

 『うむ! 任せよ! イザークよ。どんなものがこようとも我が爪で引き裂いてやろう!』

 「そこまでじゃ……。フジも本気になるで。したら、カジノが消えてしまうぞ」

 『む? お爺の必要な金子も増やせるのであろう? ここは行くべきであろうが?』

 鼻息荒くカンイチに詰め寄るフジ。既に行く気になっていたようだ。

 「いや、そういった銭はすぐに消えてしまうもんじゃ」

 『金子には変わらぬだろうに。よくわからぬな。目印でもついているのか?』

 「いや、そういう訳じゃぁないがの。堅実に生きていこうという訳じゃ」

 『? ……ふぅむ? 襲ってくるのであれば盗賊とやらとそう変わるまいよ。まぁ、お爺の御託は良かろう。で、どうする? イザークよ。行くか?』

 「おい」

 「……止めておきます。フジ様。……その前に、フジ様入れませんよ……きっと」

 『ぬ!』

 「それが良かろうよ。イザーク君」

 『……そうか。であれば仕方のない』

 「ええ。そうしてくださいませフジ様。フジ様のお怒りを買って町が消えてしまいますから」

 と、ダリオンが念押し。

 『考えれば考えるだけよくわからん世界よ。人の世は……』

 「まぁのぉ。わしもよくわからんわい」

 「くっくっく。だな」

 『お爺らがわからんのであればそれこそ仕方がないな』

 「はふぅぅぃ~~。ん? フジ殿? ……何の話? 串焼き? お腹減ったねカンイチ」

 と、目をこすりながら馬車から顔を出すアールカエフ。どうやら昼寝をしていたようだ。

 「……静かじゃと思ってたら寝てたのか。アールよ」

 「寝てるか食べてるかですね……スィーレン様は」

 「余計な世話だよ。ダリオン君。僕は今、成長期なのだよ? 食事と睡眠は大切なのよ?」

 「はいはい。スィーレン様であればそうでございましょう」

 「……ダリオン君。もっと僕を敬いたまい?」

 と、口を尖がらせて抗議するアールカエフ。

 「はい。そうですね。ずっと魔物並みに長生きされている。ご高名なスィーレン様ですし」

 「魔物ババアって言いたいのかい? 君ぃ?」

 「いえいえ。そんなことは」

 「本当に生意気な小娘だね! 僕じゃなかったら首チョンパだよ? 首チョンパ!」

 エルフ同士の口論? 只の悪口だが周りで見いてるガハルトとイザーク君は冷や冷やだ。

 ドワーフ一家は我関せずだが。

 そこに『仲裁しろ!』という視線がガハルト、イザークからカンイチへと投げられる。溜息一つ。

 「ふぅ。そこまでじゃ……」

 ……


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