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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
フィヤマの日々
38/520

女性?

 ……


 『冒険者ギルド』に到着。

 入口の馬繋ぎにクマたちを結ぼうとしたところ、受付嬢が飛んできた。

 「カンイチ君、待って! クマたち、寮の方につないでくれる? 臭いで馬達が落ち着かないのよぉ」

 「わかりました。お手間かけます」

 「ううぅん。待ってるわよぉ」

 手をヒラヒラ振りながら業務に戻る受付嬢。

 猪には無視されるが、馬達には狼認定されたようだ。寮にもどり、いつもの場所につなぐ。

 

 「これが終わったら外じゃな。ちょっと待っておるんじゃ」

 尻尾をブンブン振っているから良いだろうと、再び向いのギルドへ。

 

 ”がらんがら”

 一斉に視線を浴びるも、何もなかったように皆、各々の仕事に戻る。

 それなりに噂になっているのか? 只の入って来た者の確認なのか? カンイチにはまだわからない。

 実際の処は後者。他所の地区からやり手の冒険者が渡ってきたときの警戒や、大手商会からの割のいい発注等もある。どうしても入ってくる者に注目してしまう。

 そんな事に気を使わないのは普通に稼げる高ランクの冒険者くらいだ。

 

 今日は、二〇人くらいか。チームでいるからだろう。人が多い。これが普段のギルドの様子なのだろう。

 一応、格好だけでもと、掲示板を見て回る。まっさきに目についた依頼票、『駆除:兎』。

 「あったのぉ。これか……なるほどの、領主から出てるようじゃが、随分と安い。これじゃ、子供の小遣いだろうに……。農業を舐めておるの。けち臭い。ワシはここの領主とは絶対にウマが合わんじゃろうのぉ。で、お次は……」

 ブツブツと文句を言いながら次の依頼書に目を向けるカンイチ。特段、変わった依頼は見当たらず。

 「う~ん? 薬草の採取かぁ。ランクも低い。基本なんじゃろか? そういった標本やら辞典があるのかの。後で聞いてみるか……」

 

 基本をすっぱり飛ばしてるカンイチ。はっきり言って、受注方法にしたって覚束ない。ギルド証交付後も特に何も申し送りも説明会も無い。

 挨拶にと受付に移動、ギルド長の予定を聞く。

 「カンイチ君。今日は依頼を受けに?」

 「いえ。世話になってるのに顔くらい出さないとと思いまして」

 「あらぁ、若いのに律儀ねぇ。ギルド長に伺い立ててくね」

 「お願いします」

 ……

 

 「おう、カンイチ。畑で兎狩ってるのお前さんだろ」

 部屋に入ると、挨拶も無しにいきなり兎の話を振られる。少々面食らうカンイチ。

 「こんにちは。リストギルド長。ええ。クマたちの餌に」

 「悪いが、次からは依頼ってことで頼む。こちらで手続きも自動更新にしておくから」

 「……なんで……です?」

 要領を得ない。まぁ、小遣いが貰えるなら構わないのだが。

 「いや、ここの領主様は大変なケチでいらっしゃる。この依頼にしろ、ようやく予算をつけさせたんだ。只でやったら、来年はまた0になっちまう!」

 「は? こんなに安いのに? ……面倒な」

 「ま、頼むよ。討伐証明もいらん。こっちで適当に数上げとくよ」

 「なら、兎の生皮買い取ってもらえますか?」

 「うん? それは良いな。兎の革も人気があるんだ。で、活動は何時から?」

 「そうさねぇ……そうですね、武器が一週間待ちですのでそれ以降でしょうか」

 「おぅ、新人さんがオーダーとは恐れ入るわ」

 「ええ、まぁ。少々特殊な武器ですので。そうそう、魔石についてお話があるんですが……」

 アールとの出会い、彼からの提案。己の利益になることなどを説明。耳に入れておいたほうがいいと判断したと。


 「う~ん。うちとしては”魔石”で稼いでるようなものだから痛いが……。売る売らないは個人の自由になってる。個人所有の魔剣の中には定期的に食わさないといけないモノもあるからなぁ。しかし、アールカエフ……さんかぁ。もう捕まるとは……」

 溜息と共に言葉が吐かれる。リストのいうとおり、組織としては大きな損出だ。”銀”まで用意したのに。

 「うん? 誰かとは名は出さないけど、ギルドの職員さんに聞いたのだが?」

 「はぁ?」

 「魔導コンロ売ってるところはないかと聞いた」

 「ならしょうがないか。しかし、アールと呼んでるのだね……共同研究者ってのも本気のようだなぁ」

 「なら断って来ましょうか? ギルドがダメだって」

 「それが出来ればいいのだが……凄腕の魔法使いでもあるのだよ。有事の際の協力を乞う手前、ギルド側から大きな事は言えなくてね。10年前の大氾濫でも大活躍した”英雄”様だしなぁ」

 ほぅ……。

 「そんな人物なら、自分で”魔石”を集めればいいものを……」

 「大層な面倒くさがり屋だからねぇ。町の外なんか滅多に行かないよ。家の周り見たろ? よく埋もれてるらしいよ。は」

 「うん? 彼女?」

 「うん? ああ、少々わかりつらいから。エルフ族はなぁ、アールカエフさんはエルフ族の女性だよ」

 「……な」

 何気にショックを受けるカンイチだった。

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