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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 1
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ねぇ、リンドウ。聞いて (団らん)

 …… 


 大方の捕縛が終わり、罪人を乗せた檻馬車はゆっくりと屯所へと向かう。見せ場も終わりと野次馬たちも掃けていく。そしていつもの街へと。

 軍が調査のためにぞろぞろと店内に入って行く。証拠品や金品の差し押さえだ。

 「よぉし! 俺達も家探しするか! カンイチよ!」

 「おうさ! いいもんあるとええの!」

 と、腕まくりし、ずかずかと現場に立ち入ろうという二人のベルトをむんずと掴む、ダイインドゥ

 「ん? 親方?」

 「この件は王子と帝国に預けたのだろうに。証拠品やら財貨はお国が没収。補償等に回されるじゃろ。ほれ、これだけの兵だって動かしとるしな。経費だって掛かろうさ」

 「うんむ……確かに」

 「この件はワシらは裏方じゃ。アジトでようけ頂いたじゃろ? 報奨金で我慢するのじゃな」

 「むむ。それもそうだな。じゃぁ、帰って飯食って寝るか!」

 「そうじゃな。リンドウらの顔も見たいでな」

 「それが良かろうよ」

 ……

 「で、後は、任せていいか? アカジン殿」

 「……ああ。ガハルト殿。情報提供感謝する。後は此方で」

 「さぁ! 忙しくなるわよぉ! 押収した書類も結構な量だしぃ! 王子様関連の書類が出たらそちらに回すわ」

 「大変じゃが頑張ってくだされ。アカマチ殿」

 「うんうん。任して!」

 「ううん? であれば、眠気スッキリ! 御目目ギラギラ! 【パッチリ君 3号】を献上しようか? 2週間寝なくとも大丈夫!」

 ”収納”から引っ張り出した瓶。謎の真っ黒な液体に満たされている。ランタンの光すら吸い込むような……

 「「……」」

 見るからに危険な匂いのするアールカエフお手製の霊薬

 「……で、副作用はなんじゃ? アールよ?」

 「え、ええ……。気になるわぁ。アールカエフ様?」

 「た、大したことないよ? きっと? その後ぐっすり寝られるし?」

 「ぐっすり?」

 「人族だったら一割くらい帰ってこられないかも?」

 と、瓶を握ったまま首を傾げるアールカエフ

 「おいぃ!」

 「け、結構ですわ、お気持ちだけで。アールカエフ様」

 「薄めれば大丈夫……だよ? アカマチ君? たぶん? どう?」

 「ご遠慮します!」

 …… 

 

 ダリオンとシバスを残し、カンイチ達は一路、宿にしている軍の屯所へと向かう。

 ヒラキは猪スタイルから解放され、手枷、足枷、自殺防止の金属製の猿轡を付けられ檻馬車に。監視は移動の時まで軍の方で行うことになっている。これ見よがしにアールカエフの霊薬の瓶が置かれ、ヒラキの自死の意思の悉くを砕く。既に死人のような様相だが。

 

 「じゃぁ、ガハルト、親方、明日、何も無けりゃ出立でええかの?」

 「いや、二日~~三日後だな。休憩も必要だろうが。ダンジョン駆け上がってきたのだしな。ほれ、洗濯屋も行きたいしな。お前さんだって洗濯するだろう? カンイチよ」

 確かに。ガハルトのいう通り、休憩が必要だろう。それにダンジョンで汚れた下着も溜まっている。

 「むぅ……褌くらい自分で洗え! ガハルト!」

 「ふふん。でだ、行程としてはアマナシャーゴをほぼ横断だからなぁ。王子。ここまでどれくらいかかった?」

 「はい。ガハルト殿。俺たちはのんびりでしたので3つきくらいでしょうか。特に自国内は町、村にも寄りますので。あ、もちろん今回は寄らずとも」

 「であれば、2月……1月半はかかるな」

 「ま、良かろうさ。色々見ながら行こうよ。ガハルト」

 「……王子は寄らなくともいいと言ったが、カンイチが寄りそうだな。畑に……」

 特に農業大国だ。カンイチの興味を引くものも多々あろう

 「寄るじゃろ! 普通!」

 「おいおい、カンイチよ。寄るのであれば帰りじゃな」

 「……わかっておる……で。親方……」

 と、言い淀むカンイチ。

 「んで、カンイチ。リンドウたちはどうする? 連れて行くかい?」

 「そうさなぁ。安全な旅でなし。ここでの規則正しい生活を送った方が良かろうと思うが……。色々見せてやりたい気持ちもあるがのぉ。後で話してみようさ」

 「そうね」

 ……


 「アール母ちゃん! 無事か!」

 部屋に入るとフジとリンドウがカンイチ達を迎える。

 ぶっきら棒だが嬉しいのだろう。リンドウの尻尾も大きく揺れる。

 駆けてくるリンドウを何時もの如くがしりと捕獲するアールカエフ。

 「おおぅ! リンドウ! 生きてたね!」

 頬ずりするアールカエフ。

 嫌がるリンドウ。これも何時もの風景だ

 「……それは俺の言葉だぞ? ダンジョン潜ってたのアール母ちゃんだろ。放せ!」

 じたばた暴れるも解放される気配はない。

 「うん? キキョウは?」

 「寝た! カンイチ兄もガハルト小父さんもお帰り!」

 「おう、いい肉がついて来たな! リンドウ!」

 「おう。ただいま。うんうん。随分とがっしりしてきたのぉ」

 「そう? まだひと月だよ? 肉一杯食ったからか? てか、放せぇ! アール母ちゃん!」

 ぽふりと、リンドウを抱きかかえたままソファに座るアールカエフ。

 「ねぇ、リンドウ。聞いて。僕達、お隣の国まで行くんだ。ちょっとした野暮用でね。付いて来るかい?」

 「……フジ様に聞いてるよ。まだまだ俺、弱っちぃし。キキョウとここで訓練してるよ。アカマチのおっちゃん良くしてくれるんだ。ティーター様も。アカジンのおっちゃんはおっかねぇけど!」

 「そうかの……」

 少し寂し気なカンイチ。

 「うん! ガンガンしごいてもらうんだ! 強くなるのに!」

 「そうかい。リンドウがそう決めたのだったらそうすればいいさ! 僕は応援するよ! うん? いっそのこと、学校にも行くかい? 午前中だけでも?」

 「……俺、獣人だよ?」

 「関係ないし? ま、虐められるかもしれないけど。今までだってそうだったろ? しかも大人に? それに比べりゃどうってことも無いだろう? 殺されはすまい? それに、やられたらやり返せ! まずは舌戦だ! 但し、負けても絶対、先に手を出しちゃだめだぞ? それとぶち殺さないようにね? 優しくね? 優しくぅ?」

 「おいおい……」

 「友人の一人、二人できるかもしれないし?」

 「まぁのぉ。キキョウは?」

 「まだ、小さすぎるね。来年か再来年? ま、考えてみなよ。リンドウ」

 「行く! 俺!」

 「うん! よく言った! リンドウ! んじゃぁ、頼むね! ティーター君!」

 そうと決まれば……全部ティーターに丸投げのアールカエフ

 「は、はぁ? スィーレン様! ……普通のところで良いですよね?」

 「良いんじゃない? 別に? 普通で?」

 「おいおい。改めてお願い致します。ティーター殿」

 「え、ええ、手配します」

 ……

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