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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 1
367/520

俺も含まれてるんだが? (混戦)

 …… 


 この盗賊たちは堂々としたものだ。隠そうという気はないようだ。

 ぐるりと吊るされたランタン。色々な形がある。今まで襲った冒険者達から奪った戦利品だろう。煌々と焚かれるランタン。その光の中で酒を煽りながらカードを楽しむ男達。

 

 「ほう。人相の悪いのがよくもまぁ、これだけゴロゴロと」

 一斉に闖入者に視線が向けられる

 「お主が言うか……」

 と、毎度の、カンイチのツッコミ。

 確かに、この集団の中でもガハルトの面相の破壊力は群を抜いている。

 「ほっとけ。で、お前らが【腰抜けの迷宮団】とかいう賊か?」

 「【駆け抜ける迷宮団】じゃろ?」

 ”ざわり”

 一斉に立ち上がり武器を抜く盗賊団。狭い区画だが、ここには15人はいるだろうか。

 

 「何の用だ? 貴様らは……見張りの野郎、何やってんだ」

 「俺たちを【駆け抜ける迷宮団】と知って来たのか? 死にに。ご苦労だな!」

 「あの二人か? 痩せと小太りの。武器抜いたから除いたが? よぉし! 間違いなさそうだな! 行くぞ!」

 「全く……」

 「ふざけ ”すこん!”」

 ガハルトに食って掛かっていた男の額に矢が立つ。

 このチームの基本戦法だ。矢で偉そうなのやら吠えてるものを仕留め、一気になだれ込む!

 盗賊団側も表の異常を知り、後ろの部屋から、前衛の隙間を埋めるように増員される。

 この作戦にはオーサガ王子も参加している。護衛のシバスとイザークを従えて。

 シバスもそこそこの腕前、一対一であれば、賊ごときには後れを取らない。

 王子の方はイザークが十手で押さえ、ナイフで牽制し、オーサガが仕留める格好だ。俄かのコンビだが、中々連携がとれている

 「オーサガさん! もう少し下がって! 矢に狙われる! シバスさん!」

 「お、おう! すまんイザーク」

 オーサガが下がり、シバスが楯を構え前に。

 その様子を見て

 「うん。あっちは大丈夫そうだな! ぐおおおぉおおぉん!」

 雄たけびを上げ! ものすごい速さでトンファーを操るガハルト。

 盾も鎧も、腕も頭も。その豪腕で振られる金属の塊トンファーが全く別の造形へと変える。

 面白いように吹き飛ぶ人の頭。脳の欠片をまき散らしながら。

 「ひぃ! ば、バケモンだぁ!」

 そのガハルトの鬼神の如くの働きに浮足立つ賊ども

 「おっと。こっちも通行止めじゃぞ?」

 「ひ! ”ぼぐん!”」

 ダイインドゥの振り下ろす、こちらも鉄塊。ドワーフ製のバトルハンマも血でランタンの光を反射する。

 「ひ、ひぃ!」

 「く、くそぉ! 一斉にかかればドワーフなら! あ? あれ?」

 ダイインドゥの背後に回り込もうと動いた男の胸に深々と刺さる銃剣。もちろんカンイチの仕業だ。

 心臓を破壊され、脱力し、そのまま地面に崩れ落ちる。

 「おい! 慌てるな! 逃げ道はねぇ! お前たち! 死にたくなきゃ、踏ん張 ”ぼしょ” ……」

 仲間を鼓舞しようと大声を上げた男の後頭部にはミスリールの放った鉄矢が突き立つ。

 「ひ、ひぃ! 矢? ぃやぁ~~!」

 「こ、降参する!」

 「バカ野郎! 俺たちに降参はねぇ! 奴らを倒さねぇと 生きて ”びしぃ!”」

 狙いすました矢が男の額に。仲間を鼓舞しようと声を上げるもの、悉く、矢で射殺される。

 剣を振り上げ、団結を呼びかけてすぐ、その反旗の象徴が撃ち殺される。士気が上がる前に先陣を切るであろう者が狩られる。恐怖に憑りつかれ賊は大混乱だ。破れかぶれで武器を振り突っ込んでくる賊

 

 「イザーク! 退け! 混戦だ!」

 「了解! オーサガさん! シバスさん!」

 「了解! さがりますよ! オーサガ様!」

 「お、おう!」

 ……

 

 「御苦労さん。イザーク。王子たちも中々だな」

 「あ、ディアンさん。代わりましょうか?」

 大斧にもたれ掛かり、イザーク達に労いの言葉を投げるディアン。彼女は前線にはでずに、射手のミスリールの護衛を務めていたようだ。二人ばかり、ミスリールにあと少しまで迫れたようだ。胴を両断され、丁寧に首を落とされている屍が二体。

 「いや、あちらは問題ないだろう? ウチの旦那とカンイチ。で、あのガハルトさんだ」

 暴れ回るガハルト。バトルハンマを豪快に振るダイインドゥ。カンイチは一歩下がったところで指示を出しながら回り込もうという敵を銃剣を槍の用法で撃退。しっかりした”陣”が構成されている

 「ええ、まぁ……。ですね」

 「アール殿が退屈してるかもしれないから行っておあげな。賊の仲間が戻ってくるかもしれないしな」

 「おう! ここはオレ達に任せとけ!」

 ……


 「……ふぅ。少々情けないでしょう? 俺……」

 「俺も含まれてるんだが? イザークよ……」

 頼りがいのあるミスリールに任せろといわれ、トボトボとアールカエフがいる馬車に向かう二人。

 シバスの仕事はあくまでもオーサガの護衛。盗賊の殲滅ではない。

 「仕方ありますまい。オーサガ様。ガハルト殿の言う通り、あの場は混戦。敵には退路は無し。まさに、命を賭して向かって来るでしょう。しかも、あのように狭い場所、数もはっきりしておりません。最初は敵方にも余裕がありましたが……」

 「まあな。戦じゃ、追い詰めるのは下策だものな」

 と、オーサガ

 「ええ。それに、オーサガ様は指揮官。もう少し後ろから戦況を。今回ですと言われる前に自分から引く案件でしたよ」

 「そ、そうだな。俺も興奮していたんだろうな。すまん」

 「ご注意を。カンイチ殿のように一歩下がった場所から戦況を。完全に場を支配しておられましたね」

 「ふぅ。本当にどうなってんだカンイチさんは? 本当に俺らより年下か? イザーク?」

 「さぁ?」

 「イザーク殿もよく戦況を見ておられましたよ。オーサガ様のフォローを幾度も。猪武者は王子だけですよ」

 「ぅぐぅ! ……勉強になる。それにしても……」

 「追い詰められ、倍の力を発揮する敵をねじ伏せる。それだけの力の持ち主なのでしょう。ミスリール殿の射撃も素晴らしい。声を上げるものが端から刈られる。否が応でも士気は落ちます」

 「まぁ、うちは、射撃で頭仕留めて混乱に乗じるのが基本戦法ですし?」

 「そうよなぁ。真理だわなぁ。戦争の訓練? 様式美だか知らんが、のうのうと口上述べてるうちに射殺せといつも思ってたわ」

 「オーサガ様……」

 主君を残念そうに見る騎士様

 「そりゃぁ、頭やら口の達者なものを除くのは常道だろうに? 士気というものもバカにならん。今日改めて思い知ったわ」

 「まぁ、ウチ、騎士団じゃないですし? 相手は大抵賊ですし? 卑怯上等?」

 「ウチもミスリール殿の弩、導入するか? 戦争は別にしても、魔物にもかなり有効だろう? あの巻き上げ機があれば人族でも運用できよう?」

 「そうですね」

 「で、のうのうと口上垂れてる敵将軍を針ねずみです? オーサガさん?」

 「おうよ! イザーク! 当然であろう!」

 「オーサガ様……」

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