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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 1
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ギルドが黙っちゃいないぞ! (ポーターの男)

 …… 


 「へぇ! 本当に住んでるんですね。しかも、随分と快適そうだなぁ」

 アジㇳに足を踏み入れてのイザークの感想だ。

 「だろうイザーク君。ん? アールは?」

 「臭いから外で待ってるって。フジ様たちと」

 「そうか……仕方あるまいな」

 この狭い空間に、風呂にも碌に入らない男どもが何人も生活したんだ。カンイチの鼻にはあまり感じないが……。その辺もダンジョンの力なのだろうか

 

 「よぉし! マジックバッグは何処だ? どうせ死ぬんだ。その前に地獄の苦しみを態々味わうこともあるまい」

 ”びく!”

 わずかに反応する運搬人ポーター

 「ああ、運搬人殿。貴殿のバッグも接収させてもらうぞ。だせ!」

 「お、横暴だ! そんな事をしたら、ギ、ギルドが黙っちゃいないぞ!」

 

 彼の言うギルドとは『迷宮ギルド』の事を示す。ダンジョンの中を生業の場としている案内人や運搬人の所属するギルドだ。主な業務は人員の斡旋、ダンジョン入場申請の代行、公式の地図の販売。情報の売り買い等があげられる。

 因みに、ダンジョン自体を管理しているのは国(この場合は帝国)。ダンジョン大臣の指示の元、各ダンジョンのある町に予算が振り分けられ、国から委託を受け、冒険者ギルドが、ダンジョン入場審査等を取り仕切っている。

 以前は全て、迷宮ギルドが仕切っていたが、力を持ちすぎ、ダンジョンを私物化。賄賂をばらまき、多くの貴族も関係する組織に。その怠慢で中規模のダンジョンが溢れることに。それ以降、業務を分散している――訳だが、そこは『迷宮協会』と『冒険者ギルド』、おまけに資金を出す『商人ギルド』。裏では持ちつもたれつ。利権を貪る貴族も暗躍する魔境となっている。


 「マジックバッグで命を助けてやろうというのだ。ここで賊として死んでもらっても構わんぞ。うん?」

 「ぐ……」

 無い! とは言えない。ポーター。仕事でここにいないとすれば、まんま賊だ。

 「イザーク、そいつを頼む」

 「あ、バッグ持って無けりゃ、ソファーの下だ」

 と、ディアン

 「な!」

 驚きの声を上げる運搬人

 「は? 当たりかよ」

 苦虫を食い潰したような顔のポーター。


 捕虜の盗賊も大人しく事情聴取に応じる。台所に水用と穀物用のそこそこの容量の物が2つ。寝室に盗賊団の鹵獲品入れ用か大容量のものが1つ、おまけに個人の所有物のバッグ、ポーチが5つ。そして、木箱に納められた鹵獲品が2つ。そこに運搬人ポーターのバッグが2つ。一つは迷宮ギルドの紋章が入っている。ギルドが賊に加担している証拠だ。

 

 「ほぉぉ! こりゃぁ、すごいのぉ! 一気に金持ちじゃな! カンイチよ!」

 「あるところには、あるんですね……」

 「そりゃぁ、ここまで降りてくる連中は必ず持ってるからな。それにしても……」

 テーブルの上に並べられたマジックバッグを見て唸る一行。

 「ん? 鉱石が結構入ってるのぉ」

 袋の一つを検めるダイインドゥ

 「ここまで降りてくる連中も手練れだろうからなぁ。普段は採掘でもしてるんじゃねぇか? 獲物の物色しながら」

 と、ガハルト。

 そして、賊の一人を足で小突く。

 こくこくと頷き、ガハルトの言葉を肯定する

 「で、こいつが、頭目か?」

 転がしてあった首を賊に示す。一拍後、大きく頷く。

 「うん? 本当かぁ? 思ったよりも人数もすくねぇし……小者すぎだが?」

 ぎろりと視線をもう一人の賊に向け、懐からナイフをとりだす

 「ち、違う! そ、そいつは副頭目の一人だ。ここは出張所みたいなもんだ! 頭目は別に――」

 「お、おい!」 

 「ど、どうせ死ぬんだ! 24階に本部がある!」

 「ほう。因みに、もう一つ、他所の賊がいるだろう? そいつらは何処にいるんだ?」

 「に、25階だ」

 「そうか……ご苦労だったな。じゃあ、外に行くか」

 「おっと、どの辺りじゃ?」

 地図を示すダイインドゥ。

 この後、用のなくなった彼らは外で処分となる。

 

 その後の処理。囚われの連中には悪いが解放は掃除が終わってからとなる。変に当たりの物を持って暴れられても困るから。

 ガハルト、カンイチ、ダイインドゥ、ディアンがアジト内の掃除。賊から頂いたマジックバッグにアジトにある”すべて”をぶち込む。要る物、不要な物全てだ。地上で処分する予定だ。

 イザークとミスリールは外に。アジトに入らないアールカエフの護衛に。犬達の世話もある。

 

 「あと、本丸が2つか……もちろん、行くのじゃろうな」

 「当たり前だろう! カンイチ! マジックバックだけでもかなりの金額だぞ! お前さんの野望にも大分近づくだろうに? ……誰から買うのか知らんがな」

 「ん? まぁ、盗賊じゃで。せん滅止む無しじゃがな」

 『カンイチさん!』

 外の方からイザークの呼ぶ声が

 「今度は何じゃ……」

 ガハルトと外に。

 そこにはイザークに腕を取られた男と、背をフジに踏まれた男

 「うん? 帰ってきたのかの?」

 襲撃時、留守にしていた連中だろう。 

 「な、何のことだ! し、知らねぇ!」

 「お、俺たちは只の冒険者だ! は、放せぇ! ぐふぅ!」

 じたばたと暴れる二人の男。二人目はフジが踏み押さえた足に力を込めたのだろう。潰れた蛙のように這いつくばり大人しくなる。

 「今更遅いですよ……武器抜いて来たじゃない」

 と、呆れ顔でさらに腕を締め上げるイザーク

 「うんうん。イザーク君のいう通り。強かったよ? イザーク君」

 と、褒めるアールカエフ。シロに抱きつきながら。

 「うむ! よく、捕まえたの。イザーク君」

 イザークに比べ体も大きいし、筋力もある大男だ。それを後ろ手にねじ上げ、地に組みしだく

 「ええ。ボス戦で自信が? あと、日ごろの鍛錬でしょうか。何時もカンイチさんに転がされていましたから……。最近はアカマチさんにも……。アカマチさんに動き封じられるとキスしてくるから必死でしたし……」

 「じゃの……。うんうん。成長しているのぉ!」

 孫……曾孫のような青年、イザークの成長に目頭が熱くなるカンイチ

 「カンイチさん……」

 「そりゃぁ、強くならんと死んじまうからな。どれ、バッグ何処だ?」

 「そりゃぁ、違うぞ! ガハルトよ!」

 「はぁ? 何が違うのだ? 良く解らんが。ま、いいか。剥くぞ? カンイチ」

 「良くないわい!」

 プリプリ怒りながらも帰還した二人の賊を裸に剥いていく。案の定、マジックバッグ一つ追加となる。

 その後は死体が山と積まれる場所まで連れていかれ、仲間と同じ道を辿る。

 「イザーク君。引き続き、ここ頼むの。フジもの。もう一仕事あるんじゃ」

 「はい!」

 『うむ。任せろ。お爺』

 「あ! カンイチ、あっちに休憩用の馬車出して。僕、眠いかも?」

 「しょうがないのぉ……」

 ここはダンジョン。しかも、まだ盗賊のお仲間が帰ってくるかも知らん。

 「大丈夫だよ。師匠。それに、ここ死体山積みだしぃ?」

 「そ、それもそうじゃな。頼むの」

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