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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 1
358/520

おい! 聞こえているだろう! (ダンジョン賊襲撃)

 …… 


 「おい! 聞こえているだろう! 貴様らはダンジョン賊か? さもなくば封鎖を解いて出てこい! 大人しく出てこねば、ドワーフ特製の『爆火玉』を放るぞ!」

 

 と、ガハルトの声がダンジョンの狭い通路に轟く

 例の通路を塞いでるであろう壁の前に陣取るはガハルト、カンイチ、ダイインドゥ、ディアン。ミスリールは少し離れたところでアーバレストを構える。

 ”しーーーーん”特に反応はない。

 

 「その壁の向こうに居るということもわかっている! 死にたいか? なら」

 ”きぃぃ”

 壁の一部が開き、手に手に抜き身の武器を持った男たちを吐き出す。15人はいようか

 

 「こいつ等が、ダンジョン賊かの?」

 ここに籠ってる割には衛生状態もそう悪いようには見えない。カンイチは垢で真っ黒になった顔、襤褸をまとった野人のような姿を想像していたのだが。

 

 「ち! せっかく見逃してやったのによぉ。わざわざ戻ってくるとはなぁ」

 剣をこちらに向けながら、男一人が前に出て吠える。この集団の頭だろうか。

 「ああ。これだけの人数、どう相手すんだ?」

 「ガキと女入れて4人かぁ?」

 ミスリールもいるのだが、彼女は通路の角の暗がりを上手に利用しているので人族の目には見えない。

 己に強弓が向いているのも知らずに吠える下っ端。

 

 「ふん! 俺達に恐れて息を殺して震えていたのだろうよ! 今ならお宝全部差し出せば命は助けてやるぞ? くっくっく」

 「……どっちが賊だかわからんのじゃが? ガハルトよ」

 「じゃな。ガハルト殿、賊の称号は勘弁じゃぞ。ううん?」

 「大丈夫だろう? 相手は賊だ。よし! 下る気もないようだな! まぁ、どのみち打ち首さ。大人しく、退治されろ!」

 「はぁ! この人数見てから言えや! 獣人が! 数も数えられねぇのか! 嬲り殺してやるわ! やっちま ”ぼしゅ!” はごぉ?」

 後方から飛来した矢が演説中の賊の額に突き立つ! そのまま”ゴキリ!”と首の骨を砕き、あり得ない角度で天井を見上げ、そのまま倒れる。

 

 「な! ど、どこから?」

 「き、きたねぇぞ! ゆ、弓なんか」

 「ふん! どの口が言う! 賊の分際で! よし! 行くぞ! 殲滅だ!」

 「おう!」

 

 ……


 戦いはあっという間に終結。

 今回も過剰戦力。情報収集がしたいので、二人ばかり生かしたまま縛り上げてある。

 

 「さてと。まずはアジトを検めよう」

 「うん? ガハルトよ。この死体はどうするのだ?」

 「そんなもん、真っ裸にして放置しておけばよかろうよ。例え、”動く死体”となってもマッパなら除くのも楽だろうさ」

 「大して強くも無し。死体の損傷も大きいで、ダンジョンに喰われるんじゃないかの。放置で良かろうよ、カンイチよ」

 「喰う……かの」

 「そのためのダンジョンじゃで? 魂、肉体共にの」

 「そうじゃったな。忘れていたわい……」

 餌を用意し、人を呼び、手下にその命を狩らせ喰らう。それがダンジョン。その為の餌をかすめ取りに来たことをあらためて思いだすカンイチだった。

 ……

 

 「ほう? よぉできとるのぉ。この扉。頂いて行こうか。ミスリール。ワシらの野営時にも付けられるでな」

 早速とアジトの見分を始めるダイインドゥ。今は通路を塞いでいた偽装壁の扉だ

 「うん? 占有にならんのか?」

 「覗き穴付けてチーム名と呼び鈴(ベル)でも付けときゃ良かろうよ?」

 「そんなモノかの」

 通路にはめ込まれた扉を丁寧に外しにかかるドワーフ父娘。本気のようだ。

 この後、親方の手による改良がくわえられ、カンイチと名の入った表札と呼び鈴がつけられた野営地専用の扉となる。女性のメンバーがいるから重宝する


 「ほほぅ。中々に快適そうじゃな……ここは」

 この区画には3つの部屋がある。最初の部屋が一番大きく、キッチンとリビングの役割を持っていたようだ。

 「お! 大きな魔導コンロじゃな! 貰って行こう。魔石も取れるじゃろ」

 「はぁ? 何様だ? ソファーまで持ち込んでるぞ? コイツら? マジで、運搬屋ポーター、絶対関与してんな」

 と、吐き捨てるディアン。

 「そんな事より母ちゃん、目玉商品のバッグ探そう!」

 と、娘が注意を促す

 「そんなの、表の奴に聞けばいいだろ? 足の先から一寸刻みに……うん? 足? おい!」

 その時、ディアンの視線の先。ソファーの下から生える足。

 「こんなところに隠れやがって……。おい、手を出してゆっくり出てこい。妙な動きをしたら、ソファーごと叩き割るぞ」

 と、ソファーからのぞく足、そのふくらはぎをナイフの先でツンツンと突いてやるディアン

 両手の手のひらを、にゅっとソファーから出し、何も持っていないことを見せる。

 そのまま、ゴソゴソとソファーの下から一人の男が現れる。怯えた表情。まだ若い。そして胸には

 「どうしたんじゃ、ディアンさん? おう。なるほどのぉ」

 「うんむ。その胸のバッジ、運搬屋ポーターのようじゃな。大方、物資の運搬に来たのじゃろ」

 「まぁいいさ。どのみち賊の仲間だろう。拘束を受け入れるか! 死か?」

 と、ポーターに言葉を叩きつけるディアン

 「お、俺は関係ない! お、俺は!」

 と、悲鳴のような声を上げるポーター。 

 「はぁ? ここは盗賊のアジトだろうが! 関係ないことあるか! アホ!」

 ディアンの恫喝! すると、

 

 『何が起きてるのだ! 出せ! ここから出せぇーー!』

 

 と、今度は奥の部屋から声が。

 「うん? 奥にまだ人がおるのか?」

 「ん? じゃぁ俺が見てこよう。おっと、ミスリールはイザークたち呼んできてくれ」

 「あ……。漁るの夢中で忘れてたわ。うん。行ってくる!」

 奥に向かうガハルト。のそりとダイインドゥも後詰に続く。そして外に駆けだすミスリール。そちらにはディアンが。

 「さてさて。どうしたもんかの」

 運搬人の男を縛り上げながら思案するカンイチ。

 

 ここには小僧のカンイチが一人。好機と見たか

 「お、おい、坊主。に、逃がしてくれよ。ほ、ほら、金貨、金貨10枚くれてやるからさぁ」

 「断る」

 間髪入れずに拒否する

 「それに、後で勝手に頂くで。大人しくしておれ。その時にまで首が繋がってるかはわからんぞ?」

 「ひ、ひぃ」

 ……

 

 奥の方からガサゴソと漁る音が。

 「な、なぁ! た、頼むよ! 坊主! し、死にたくねぇよぉ! 誰もがやってる事なんだよ? ギルドから正式な依頼だって出てるんだ! なぁ、わかるだろう? 衛士だってグルさ。持ちつ持たれつってやつさ! 皆、協力して生きていってるんだよぉ」

 「ふ~~ん。そうかの? 少なくとも賊は要らんと思うがのぉ」

 「しょうがないだろ? 実際いるんだから! うまく付き合わないと飯食っていけねぇ! な、なぁ、頼むよぉ。あの虎人の大男が戻って来たら俺、殺されちまうよぉ! な、な、逃がしてくれたら、もう、30枚付けるからさぁ。おっと、大金は地上にある! 約束するって!」

 「うん? どうしたカンイチ?」

 ぬぅと奥の部屋からその虎人の大男、顔を出すガハルト。ポーターの顔色が一気に青くなる。

 「何でもない。で、どうじゃった?」

 「ああ、一番奥の部屋が牢になっていてな。そこに冒険者……が5人、繋がれていた」

 ガハルトが少し、言い淀んだのに気づいたが、どのみち対面するからとここは流す

 「ほう。解放は?」

 「最後で良かろう。でだ、そこに自称、メヌーケイ第三王子が混ざっていてなぁ」

 それでか、と合点が行ったカンイチ。知らんふりは出来まい。今回の攻略はここまで……といったところかと。

 「王子様か……の。確か掲示板にあったのぉ。了解した。とにかく、先にお宝を回収しようかの」

 「ああ、そうしようか。イザークが来たら外の剥ぎ取りして連れてくるわ」

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