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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 1
357/520

で、どうすんじゃ…… (怪しい場所)

 …… 


 無事に20階の試練を突破したカンイチ一行。

 イザークにも良い試練となったことだろう。その表情にも自信が伺える。

 そして進み、21階で見たもの

 

 「な、なんじゃぁ!? これは?」

 カンイチの目の前にプルプルと震えるバスケットボールくらいの丸い物体。

 丁度、通路の真中に。色は白く濁ったような色だ。

 「お! ほら! これがカンイチが会いたがっていた『スライム』だよ? お便所の穴の中にもいるんだよ? おっと! 不用意に近づいちゃぁ駄目だゾ? 飛び掛かってくるからね」

 「こ、これが? すらいむ? ……なんだか寒天みたいじゃな……」

 カンイチの脳裏に浮かんだのは”あんみつ”に入っている寒天。一瞬、食えるのではとも。中華料理の前菜のクラゲのように

 

 ”プルプルプル……”

 

 「本来なら、こう、堂々と目につく所には出てこないのだがな。移動中だろう」

 『うむ。こいつは少々厄介な相手だ。強い酸を孕んだものもいる。森の中には家程もある巨大なものもいるぞ』

 くい、と、首をふり、合図を出すと、シロが食らいつく。

 「そんなデカいのもおるのかよ。! だ、大丈夫か! フジ! シロ?」

 『問題あるまいよ。毒は無さそうだ。あっても問題なかろう?』

 フジの言う通り、吸われるように溶け消えるスライム。

 「こいつは天井やら壁に張り付いてる場合が多い。顔には絶対張り付かれるなよ。最悪、鼻と口塞がれて窒息で死んじまう。そうでなくとも、毒やら酸を持ってるものもいる!」

 「おう!」

 「確か、紫のが毒持ちでしたっけ? ガハルトさん?」

 「あと、黄色な」

 「ほう? いろんな色のがおるのか?」

 「ああ、恐ろしく種類が多い魔物としても有名だ。毒持ちは紫、黄色。……これも通例。注意しろ程度の認識だ。黄色でも酸持ちやら、無害のもいるからな。赤いものの中には溶岩のように熱い奴もいる。火山なんかにいるな」

 「ほ~~ん。そりゃぁ随分と厄介じゃな……。色んな色か、孫らが食ってた”グミ”やらのようじゃな」

 カンイチからしたら、グミといえば、木になる果実の茱萸グミだったが……。グミが食いたいというので、庭に生っていた実を与えたら違うと言う。孫やら曾孫にオヤツの時に手渡された謎のプニプニした半透明の物体、それがグミだという。大いに混乱したものだ。

 

 「グミ? スライムだよ? カンイチのところにも居たのかい? そもそも食えないぞ? これ?」

 「いや、似たような食品……菓子があってなぁ」

 「スライムみたいなお菓子?……気持ち悪いね。それ」

 「まぁのぉ」

 入れ歯の大敵、キャラメル程じゃないにしろ、あまり好きにはなれなかったカンイチ。彼の印象も”気持ち悪い”のそれだった。

 

 野営地を捜し、あまり人が通らないであろう階層の外れに。

 「おうん? おかしい……の。行き止まりか?」

 ダイインドゥが手元の地図と奥の壁を交互に見る。地図によるとまだ部屋が三つばかりあるはずだ。

 「ガハルト君」

 静かに言葉を発するアールカエフ。

 「はい。戻りましょう」

 「うんむ? ……。了解じゃ。こっちじゃ」

 くるりと反転。来た道を戻るダイインドゥ。皆も何かを察したのだろう。言葉なく続く。

 

 暫く戻り、足を止める

 「で、アール殿、ガハルト殿。やはり賊……かの?」

 「さてな。あの先に人が居ることは確かだな。かすかだが物音と声がした」

 「うんうん。僕の耳はごまかせないよ? 伊達に大きくないさ?」

 『うむ。十分、臭かったがな。多くの人族がいるようだな』

 ”ぅおん!”

 と、フジに賛同するクマが一吠え。

 「で、どうすんじゃ……」

 と、カンイチ。聞くまでもないだろう。皆、各々、得物をマジックバッグから引っ張り出している最中だ。

 「普通の野営……ってことは無いのかの?」

 「ワシらだって道は塞ぎはすまいよ? 一応、占有、私物化は禁止されているでのぉ。ギルドやら国が用意した施設やら区画は別じゃがな。その場合も看板等は出ておるわい」

 「ああ。コソコソ隠れてるんだ。真っ当な連中じゃぁないだろう。賊だ、賊。割っちまうに限る」

 と、大斧を肩にディアン。

 「ふぅん。貴族の隠れ家とか?」

 「ふん。やっちまえば問題なかろうよ? 証人はいないしな」

 と、さらりととんでもないことを口にするガハルト。

 「おい!」

 それでは賊と変わらんだろうかと。

 「ま、そりゃ冗談だ。が、たとえ貴族でも、コソコソこんなところでやる事といったら悪事だろ? ぶった斬っても問題無しだな! でだ、向こうからは見えてるだろうから奇襲は無理だな。カンイチも心配してるし、ここは一丁いっちょう、正面から堂々と聞いてみるか?」

 「うんむ。返事が無けりゃぁ、『爆火玉』放ってやればよかろ?」

 「おいおい、親方、そんなモノ放ったら、俺たちまで黒焦げだぞ……」

 「それに、アンタ、折角のお宝も消し炭だよ。ダンジョン内は封印だねぇ」

 「ほ? そうじゃな」

 と、方針は決まったようだ。襲撃と。

 

 ちらと、イザークに目を向けるカンイチ。イザークもコクリと頷く。

 「よし。では、行こうかのぉ。気を付けろよ」

 「おう! アール様とフジ様はここでお待ちください。イザーク、頼む!」

 「はい!」

 ナイフと十手を構える。その姿もボス戦でついた自信のおかげか。若干だが凛々しく見える

 

 「うん? そう? じゃぁ、おやつにしようか? フジ殿ぉ?」

 『うむ。そうだな……。イザークよ。ブラッシングを頼む。敷物もな』

 「はぁ……」

 一人緊張していたイザーク。カンイチにはアールカエフを託されている。

 が、そのアールカエフ、フジにしろ緊張感は皆無。”収納”から敷物、茶器を出しお茶の準備を始めるアールカエフ。フジはお気に入りの敷物のうえでごろり。

 「……まぁしかたないよね」

 と言葉が漏れる。なにせ、相手は化物だ。

 「うん? 何か言ったかい? イザーク君?」

 「いえ……」

 先ほどの盗賊のアジトがあろう通路に向かう仲間の背を見送るイザーク。バッグからフジ用のブラシを出しながら

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