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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 1
353/520

どうするフジ? (ボス部屋)

 …… 


 「さ!参りましょうぞ!」

 

 待つこと、約14時間。やっとのことで順番が巡ってきた。伸びをしながら部屋に踏み込むカンイチ一行。

 少し置いて、軋む音を立て鉄の扉が自動に閉まる。

 部屋の奥には同じような鉄の扉が見える。あれが試練を越えた後に通る出口だろう。そして、部屋には石柱が10本。

 

 「ほう。思ったよりも広いのぉ」

 「まぁ、戦いの場だしなぁ。そこん処の石柱から湧いてくるはずだ。あまり近づくなよ。カンイチ」

 「おう?」

 と、ガハルトの警告と同時にその石柱が光を発する。すると、

 

 「ギョ!」

 「ゲギョォ!」

 と、次々と緑色の小人、ゴブリンを吐き出す。その数18。16体は剣を握り、残りの2体は弓を握る。隊長格だろうか、後方に青い個体が1体。

 「グギョ!」

 青個体の指示に従い陣形をとる。

 

 「ほう? 俺が前、潜ったの時より随分と数が多いな」

 「わしらも多いでの。部屋に踏み込んだ人数で決まるのじゃろうか? どうするフジ?」

 『何ら変わらん。行くぞ! うぉーーーーん!』

 ”ぅおん” ”わおん!” ”ぅをっふ!”

 フジの合図で駆けだす、クマ、ハナ、シロ!

 

 「ゲェギョォーー!」

 剣を持ったゴブリンが奇声を発しながらこちらへと走って来る。

 青個体が手を上げると

 ”しゅ! しゅ、しゅ!”

 青個体の両わきに控えていた二体の弓持ちがクマたちの進行方向に矢を放つ!

 ”ぅおふ!”

 それを楽々横にステップで躱し、クマは直進! 剣持のゴブリンどもをすり抜け指揮個体の方に一直線

 ハナと、シロは剣持ちに当たるようだ。

 「ギョギョ!」

 相手は狼。油断してか不用意にハナの頭に正面から振り下ろされる剣、その剣をするりとすり抜けるハナ。そのままガッツリと首に食らいつく! ぽろりともげ落ちるゴブリンの首。シロもまた同じように一体のゴブリンを屠る

 このゴブリンたちも今までの魔物同様、ハナたちに吸われるように消える。もげた首も

 消え切る前に隣の個体へと。同様に首に噛みつき屠って行く。まるでゴブリンの形をした綿菓子でも喰っているようだ。すぅと消える

 弓持ちのゴブリンは一体はクマの体当たりで吹き飛ばされ、もう一体の首に食らいつく。こちらも同様、喰らっている。クマの狙いは青ゴブリン。青ゴブリンも2本のナイフを抜き、迎撃するも、足をすくわれ背を踏み押さえられ喉を食い破られ果てる。そして、吹きとばされ体を起こした最後の弓持ちゴブリンも

 

 「……ううむ。あっという間じゃのぉ」

 「つ、強いなぁ! クマ! ハナ! シロ!」

 と、興奮気味にクマ達を呼ぶイザーク

 『ふん。こんなものだろう。御苦労。クマ』

 ”ぅおん!”

 「怪我無いようですね。よくやったね! クマ! ハナ! シロ!」

 そして手を広げ犬達を迎えるイザーク。

 クマ達も嬉しそうだ。

 

 「うん? 扉、開かんぞ? まだ出るのかの?」

 その時、一本の石柱が輝き、木の箱を吐き出す

 「お! 師匠! 宝箱だ! 宝箱出たぞ!」

 「おお! ……と、こいつも宝箱に見えんのぉ。リンゴ箱のようじゃな。下に行けばもっと豪華になるのかの?」

 「箱はどうだっていいだろ? 中身だぞ、中身。人も一緒だろ? カンイチ君!」

 「お、おおぅ? ここでアールから説教されるとはおもわなんだわ」

 「じゃ、調べちゃうね。ふむ……」

 ミスリールが罠や鍵の有無を調べ、無い事を確認。

 「ついでじゃ、ミスリール、そいつを開けてみ」

 「いいの? どれどれ……。うん、金貨だね。結構あるよ! 師匠!」

 「おお! お宝じゃな!」

 「俺の時はなかったな……運か?」

 と、ガハルト。

 ”がこぉん”

 「お? 開いたようじゃぞ。さっさと抜けてしまおう。後ろも詰まっていよう?」

 「ああ、そうだな。行こうか」

 ……

 

 「しかし、困ったな。人数のせいか知らんが、ボスの数が増えてる? のじゃろう? 危険度も上がる……か?」

 「おそらくな。が、何を困る事がある? 増えた分も我らで倒せばよかろうが?」

 何を当然なことを。といった具合で腰のトンファーを撫でるガハルト。

 「……ガハルトさんらしいですね」

 「うむ」

 『なぁに、たとえ10倍になったところで何も変わらぬだろうよ。我らに任せておくと良い』

 「い、いや、フジ様、こちらにも少しは回して……」

 と、精いっぱいの主張をするガハルト。どうしても腰が低い。

 『うん? お爺が言うに、そちらは”かね”が目当てだろう? 我らは魔素だ。うぅん? ガハルトよ両方くれとは随分と都合がいいな。貴様は』

 ジロリとカンイチを睨むガハルト。

 お門違いだが、フジに文句が言えない、獣人族だから仕方がない

 「わしは関係なかろうに? フジもわかっていよう? 脳筋ガハルトのことを? あまり虐めてやるな」

 『くっくっくっ』

 「フ、フジ様」

 「さてと、野営に良い場所探して休もうかの、親方」

 「うむ。闘ってはおらんが、今日のところは待ちくたびれたわい。どうせ、この辺りは人も多かろう、少し無理して進もうか」

 「了解じゃ」


 この辺りもまだ人が多いためか、ゴブリンとの遭遇も無し。12階で一日休暇。どうしても人族のカンイチとイザークの順応する時間が必要のようだ。魔改造済みのカンイチすら、日ごろの規則正しい生活が逆に裏目に出ているようだ。やはり、朝の日の光は必要らしい。

 逆に、絶好調なのがガハルトとドワーフ一家。目が爛々と輝き、とても活き活きとしている。アールカエフは何時も通り。

 クマ達もフジのお陰で、休む時はちゃんと休めているようで体調はよい。狭いダンジョンの環境にストレスもそう感じていないようだ。

 宝箱や採掘ポイントも無く只々、下へと向かう。鍛冶師ギルド秘蔵の地図によると採掘ポイントは20階以降から現れるらしい。最低でもそこまでは行きたいと気合を入れる一行であった。

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