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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
フィヤマの日々
34/520

出会い

 ……

 

 「う~む。少々スゥスゥするのぉ……」

 

 今日のカンイチはノーパンだ。とても心もとない。洗濯板と洗剤を手に入れ、洗濯をしようと思っている。気に入った下着があれば購入も考えているが……さて。

 

 早速、女将マーサさんのメモにある雑貨屋に。

 ここにも下着、パンツ自体は売っていたが……

 「やっぱり、ひらひらが付いているのじゃなぁ」

 カンイチにはどうしても”男性用”には見えない

 「どうしたんだい? 坊や? パンツかい?」

 「いえ、何でもありません。ここらへんだと洗濯ってどのように?」

 「ん? 地方の方かね。この洗濯板と……この石鹸が主流だね。こっちの洗剤は、ちょっとお高いが、服が縮みつらくてよく落ちるよ!」

 洗濯板、それとおすすめのちょっとお高い洗剤、洗濯ばさみ、部屋干し用のロープ。ついでに水差し、コップ。何を入れてもいいだろうと麻袋を複数枚購入。

 「まいど~~」

 「あ、そうだ。道具屋の……確か、アールさんのお店ってどのあたりですか?」

 「うん? アール? ああ、魔道具屋さんね。そこの路地を入って突き当りを左。登り坂の途中にあるよ。行けばすぐにわかるさ!」

 「ありがとうございます!」

 

 購入した商品をリュックに。洗濯板は小脇に。路地に入ると人通りも無し。確認し”収納”に仕舞う。

 「さぁてと、突き当りじゃったな」

 ”ぅぉふ!”

 そうだよ。と言うようにハナが吠える。

 「うん? 本当に言葉がわかってるのかの? お前たち……まさかのぉ」

 

 突き当りを左に曲がると結構な傾斜の坂が姿を現す。よくも地滑りせんものだと感心気に見上げるカンイチ。階段のように道の両側に家がへばりついてる。

 

 「ここか……のぉ」

 

 中腹辺りによく言って製品。普通にガラクタに埋まったような店が。道の際迄ガラクタが押し寄せている。

 「ふむ……。どこから入るのかの?」

 家の前も、庭もガラクタの山で一杯。迷路のようだが、入口すらわからない。

 「ふぅむ。困ったのぉ」

 腕を組み、途方に暮れていると。

 「……けて……たす……」

 「うん?」

 気のせい。とも思ったが、かすかにか細い人の声が聞こえる。しかも「助けて」と。辺りを見回すもあちらこちら、ガラクタの山がそそり立つ。

 「……け……て…………」

 ”ぅぅおん!” ”ぅわぉふ!”

 クマとハナが吠え、カンイチの握る綱を引く。その先にはガラクタの山から生える人間の足。

 「なんとまぁ。ずいぶんと細い足じゃのぉ」

 「ありが……と。っと……そんな事より……ぐぅぅ」

 「冗談じゃ。どれ……」

 がらり、がらり。

 「お! おい! キミぃ~~……これ、商品……うぐっも! も、もっと丁寧にぃ!」

 早い方が良かろうと、急いで退けたのだが……

 「めんどうじゃぁの。死んじまうぞ? このまま見なかったことにしようかの」

 「ま、まって! 冗談! じゃないけどぉ、ぼ、僕が、ぐむぅ……悪かった! 助けて!」

 

 ――まだまだ余裕がありそうじゃのぉ

 と、思いながらもガラクタを順に除けるカンイチ。

 「うむ。待っとれ」

 ”からり、からがら”

 ……。

 

 ……。

 

 「ふぅいぃ。助かったよぉ。今回はマジで死ぬかと思ったわ」

 発掘が終わり、掘り出したのは、奇麗な緑色の髪をした端正な顔……所謂美形の小柄の少年だった。緑色という髪の色も初めて見る。

 「うん? キミはエルフ族を見るのは初めてかい? ま、あまり見ないかもねぇ」

 カンイチの視線に気づいてか、エルフと名乗る美少年。

 「えるふぅ? 人じゃないということかの。その髪も本物かの?」

 「勿論。この尖がった耳も本物だよ。子供に見えるかもだけど、これでも結構長く生きてるんだよ! これだけガラクタが積もるくらいはね。それに、人は人さ。君のような人族とは違うけどね」

 自慢げにガラクタを指し示す、緑髪のエルフ。

 

 カンイチは内心、これが流行りのゴミ屋敷というものじゃな、と納得。

 そして、ふと、クラッシュ・シンドロームの症例を思い出す。

 

 「おい。まだ油断は出来んぞ。埋まって暫く体のあちこちを圧迫されてたじゃろ。血の塊が出来て心臓やら肺の血管詰まって死んじまうぞ?」

 「そうなの? そのような症例がねぇ。ま、僕は大丈夫だよ? きっと。毎度の事だしぃ。慣れたもんさ!」

 と、屈伸運動をするエルフ

 「血栓に慣れも屁ったくれもないわい。死んじまうぞ」

 「わかったよ。どれ……ぶつぶつぶつ……ぶつ……。うん。大丈夫。心配してくれてありがとね!」

 何やらブツブツと言い出したと思ったら、うっすらと光るエルフの少年。

 「無事なら良いが……なんじゃ? 今のは? 光っておったぞ」

 「いやぁ~~はっはっは。ありがとう、ありがとう。魔法だよ? 魔法。診断魔法? 特に異常はなし! こんなんだけど、身体の丈夫さには定評があるのだよ! おっと、失礼、僕はこの店の主なんだ。お礼がしたいんだけど?」

 「礼は良いから、以後、気を付けよ。発見されずにくたばって、こんな往来で腐れてたら、いい迷惑だわい」

 「言うねぇ。キミぃ。そうだね、腐れるか。それは是非とも回避したいところだわ。はっはっは!」

 「そうそう、魔道具屋のアールさん。わしは”魔導コンロ”を買いに来たのじゃが? ここで売っているのかのぉ」

 「なんだ。お客さんかい? じゃ、おまけさせてもらうよ~~」

 ……

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