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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
332/520

イザーク君も目指すといい! (傷を癒す)

 …… 


 「面目次第も……」

 大口叩いて出て行って怪我をして帰って来たガハルト、アールカエフの前で平謝り。

 ポンポンとその背を叩き、

 「まぁ、死ななかったから良いんじゃない? 上等さ? どれ、怪我したところ、このアール先生に見せてみたまえ! ガハルト君!」

 「は? も、もう、ふさがっておりますが……」

 「膿んでいたら不味いだろう? 腐れて腹に穴が開いて内臓がでろん! となっても良いのかね! ガハルト君!」

 「……は、ははっ――。お願いします……」

 「やれやれじゃわい」

 ……

 

 「……良しと。応急手当もばっちりだね! 問題無しだよ? 一週間は安静にね。大人しくしてるんだぞ! それとイザーク君に感謝しろよ? が、【バリバリ君 四号】の実験ができなかったな……」

 ガハルトの診療を終え、バッグから怪しくピンク色に光る瓶を引っ張り出すアールカエフ。

 その瓶のラベルには4の数字が。

 「おいおい……イザック君? じゃ。……ぅん? そういえば最近、イザックと言わんのぉ。ところで何時の間に如何わしい薬こさえておるのじゃ? アールよ?」

 「ふふふ。内緒さ! 乙女の秘め事? 日々、霊薬は進歩? してるのだよ! カンイチ君! 如何わしさも倍増さ?」

 「……何で何時も肝心なところが”?”なのじゃ? アールよ……。それに薬じゃろうに……如何わしさはいらんぞ」

 「細かいなぁ! カンイチは! そこの”妙”が良いんじゃない! わからないかなぁ?」

 わからんわい! と口にはしないが少々残念なカンイチ。毎度のこと。だが、アールカエフの霊薬には実績がある

 

 「ありがとう、イザーク。アール様」

 「いえ、それより、一週間も安静って……。これって思ったより重傷じゃないですか?」

 「んむ? それもそうじゃの?」

 「そりゃぁ、イザーク君ならはらわたブチ撒いて死んでるぞ? でろん、でろんだぞ? ガハルト君の筋肉の鎧のお陰だな! イザーク君も目指すといい! こんなふうなムキムキボディを!」

 と、ガハルトの六つに割れた腹をバシバシと叩くアールカエフ。

 「ひぇ、てか、白豹熊の前に立ったら即死ですよ? 俺。あんな化物とは思わなかった……」

 「じゃな。で、ガハルトよ。白豹熊はこっちで処理してよいかの。例のレストランに持ち込んで革は敷物に、肉やらはクマらにやろうと思うが?」

 「ああ! 問題ない! クマ達の協力が無ければああも奇麗に狩れなかっただろう! 当然の権利だな!」

 「じゃぁ、そうさせてもらうでな。明日、レストランに行ってこようか」

 「うん! そうしよう! 冒険者ギルドの方は……どうする? お金貰えるんだろう? ついでに行くかい?」

 カンイチの顔のパーツが一気に中央に寄る……所謂、しかめっ面だ。

 「……そんなに嫌かい? カンイチ? 困った君だな。じゃぁ、外でフジ殿と待ってていいから。イザーク君一人で行かせるわけにはいかないだろう?」

 「まぁ、そうじゃな。じゃぁ、危険かもしれんで、リンドウたちは御留守番じゃな」

 「そうねぇ。お土産沢山買って来ればよかろう!」

 そのリンドウたちは手弁当の干し肉をもってクマ達と庭で駆けまわっている。

 「うむ。元気じゃの」

 「あれでもカンイチ達がいないときは静かだったんだぞ。心配してね」

 「そうか……」

 「ま、これからダンジョンに潜る事だし? しょうがないよ?」

 「そうじゃな……」

 ……

 

 それから一週間。ガハルトは鍛練も外出も禁止され、相手がアールカエフなので文句も言えず部屋で腐っている。その間に新たな白豹熊の被害やら目撃情報も無く、今期は収束を迎えそうだと。

 冒険者ギルドの換金についても問題なく手続きを熟す。アールカエフがギルドに入るのと同時にフードを取ったからだ。そのまえにティーターも一緒だったので手を出す輩もいなかっただろうが。

 白豹熊自体の納品は無く討伐報奨金のみ受け取る。イザークだけであればギルドから色々と言われようが、二人のエルフを前にしてさしものギルドも沈黙。

 

 その足で、【アティゴナ】にあるレストラン、『フェデリー』に白豹熊を持ち込む。

 皮は加工して革の敷物に。これも後ほど、ダンジョンの町に送ってもらうことに。肉と肝臓はカンイチにバック。肉自体は臭みが強いために食用には向かないと。犬達の餌にすると引き取る。

 骨、その他の使える素材に関しては加工費に充ててもらうことに。牙と爪が思った以上に高価だったのが嬉しい誤算だった。彫刻の素材になるという。大きい爪に細かい彫刻が彫られ、ペン軸の装飾に使われるとか。白豹熊自体の討伐数が少ないので取引価格がお高いそうだ。

 

 ……

 

 そして、ガハルトの腹の傷も癒え、リハビリに三日の延長。

 その間もカンイチ達は近場に狩猟に出たり採取に出たり。イザーク君は毛長猪と白豹熊のモモ肉を使った保存食の干し肉作り。ちょこちょこ干し肉を盗みに来るリンドウを撃退しながら。


 因みに白豹熊の干し肉はフジの提案だ。出来上がりは筋肉繊維が細く密集しているので恐ろしく固い。人の歯じゃまさに歯が立たない。

 食用に向かないという話だったっが、リンドウ、キキョウ、ガハルトも喜んで齧る。フジやクマ達も。

 

 「これは、もう一、二頭欲しいところですね。フジ様」

 『うむ。旨いな。道中に居れば仕留めよう』

 「ガハルト小父さん、これ美味いね!」

 「もっと!」

 と、大好評だ。

 が、齧れないアールカエフは不満顔。試しに湯で戻してみたが……

 「くっさぁ! 臭ぁい! こりゃぁだめだ!」

 と、さしもの食い意地の張ったアールカエフをもってしても断念。湯で戻すことによって旨味に隠れていた濃縮された獣臭が表に出てくるそうだ。食うのなら干し肉が極上のようだ。

 顎の強いドワーフ連中も干物を試したが口には合わないらしい。獣人族や獣に受ける味なのだろう。カンイチも少し試したが同意見だった。どうしても鼻につく。

 

 ……

 

 「それじゃぁ、【アロクゴーナ】に向けて出立しようかのぉ」

 「おう! ダンジョン楽しみだな!」

 「おう。ガハルト、無理すんなよ?」

 「ああ! もちろんだ! ダンジョンが待っている!」

 いよいよ次は【黄金の洞窟】と冠するダンジョンを有する【アロクゴーナ】だ。期待に胸膨らませるカンイチ一行。その足も速くなる

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