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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
331/520

……。普通ので頼む…… (獣の矜持)

 …… 


 ”どぉずぅうん!”

 

 振動を伴い倒れる白豹熊。この死闘もガハルトの渾身の力で打ち付けられた鉄鞭により終止符が打たれた。

 

 「ふぅ……」

 動かなくなった白豹熊のわきに、どさりと腰を下ろすガハルト。

 

 「勝った……す、すごい……」

 と、もらすティーター。

 「ガハルトさん! ケガは! 血? 血! 出てますよ!」

 と、ポーチから霊薬ポーションの瓶を取り出し駆け付けるイザーク

 「かすり傷だ。こんなの」

 と、腹を叩く。

 「ううん?」

 とはいったものの、ぶびゅ! と腹から血が噴き出す! その後もドクドクと血が溢れる。己の手が真っ赤に染まる。

 ガハルトの手を除け、腹に目をやるイザーク。

 「何がかすり傷ですか! ほら! バックり切れてるじゃないですかぁ! 革鎧と服脱いでください!」

 「大袈裟な。爪がかすった……てい、ど……」

 イザークにジロリと睨まれる。

 「わかった! わかった! ……ん? 結構いってるな……」

 己の腹の傷を見てぼそり……

 完璧に躱したように見えていたが、背には熊の爪の跡がくっきりと。そして腹には真一文字に革鎧を裂いた傷が。もう少し深ければ腹圧で内臓が飛び出しているだろう。そのほかにも細々とした切り傷、打ち身が多数。

 「でしょうに! 洗って霊薬掛けますよ!」

 「霊薬? 勿体なかろうに! 放っておけばくっ付くわ!」

 「ええぇい! つべこべ言うと、アール様から託された【バリバリ君 三号】を使いますよ!」

 「……。普通ので頼む……」

 腹にバシャバシャとイザークに霊薬(並品質)をかけてもらうガハルト。出血は止まり傷口にはうっすらと塞がってきた。

 「で、ガハルト殿。何故に剣を使わなかったんじゃ? 貴殿の腕なら問題無かろうが?」

 「うん? 親方? そうだな……アール様に毛皮を献上しようと思ってな。これであれば極上の敷物が作れよう?」

 「おいおい。ガハルトよ。怪我をしちまったら何もならんぞ。まして死んじまってはな」

 「そうだな。しかし、油断はしていなかったが、最後に良いもん貰っちまったわ。魔法かぁ。動物の魔物相手だとタイミングも解らんな。この辺りが課題か……」

 「おいおい……鍛錬のしようがなかろうよ?」

 「なぁに、カンイチ! その内、クマ達が使うようになろう? そうしたら協力してもらおうか! はっはっはっはっは!」

 笑い事ではないのだがのぉと、呆れるカンイチ。

 『では、我が、【飛爪】でいたぶってやろうか?』

 「い、いえ、フジ様……」

 「死んじまうぞ……」

 『なぁに、加減くらいしてやろうぞ。が……今回の相手。”人”の都合もあろうが、もう少し楽にとどめをさせぬものか? ガハルトよ』

 「はっ……」

 『まぁ、よい。こ奴も”人”に仇なしてきたのだろうからな』

 「フジ……」

 フジが、”いたぶる”という言葉を使ったのはこの事かと納得のカンイチ。極力、苦しませぬようにと

 「フジ様……」

 イザークも気が付いたのだろう。

 『で、こ奴の解体は? 皮が要るのであろう?』

 「では、持ち帰り専門のものに任せようかと」

 『うむ。わかった。クマらに食わすのはその後だな。お爺、しまってくれ』

 「……うむ」

 

 その後、一旦、討伐の依頼を出していた農村に持ち帰り、村長や村の執行役に白豹熊の屍を見せる。これで依頼達成のサインをもらう。他にも受注表には大きさを記入、右前足の肉球に墨を塗り、足拓をとる。これで申請書は完璧だ。後は冒険者ギルドで金子を受け取るのみ。

 金子の額も大きいが、何より危険が除かれた証となる。当分、他の個体がいないかの監視を続ける必要があるが、村の活動も通常に戻っていくことだろう。

 ガハルトの傷もあるので、村の片隅を借り、もう一泊。

 その間、ガハルトには大人しく傷を癒せと厳命し、カンイチ達は周辺に狩に。狩といっても白豹熊の影響か、大型の動物の影は無く、いるのは兎くらい。白豹熊の肉がまだありつけないクマたちの食事にと狩る。

 イザークとティーターは野草採集。

 

 「ふぅ。白豹熊がいたせいか、山鳥も全然いないね。師匠」

 得物のアーバレストを肩に担ぎ、木々の間に目を凝らすミスリール。彼女の言う通り、鳥のさえずりすら聞こえない。静寂に包まれた森。

 「じゃな。野生動物は危険なところには立ち寄らぬものじゃ。わざわざ危険に顔を突っ込むのはよっぽどの間抜けか、戦闘狂ガハルトくらいじゃろうさ」

 「は、ははは。もろ、ガハルトさんて……」

 「それにしても、静かすぎるの。他の個体もいるのじゃろうか? その辺りはカンイチよ?」

 と、耳を澄ますダイインドゥ。彼らも種族的に耳は良いが音を拾わない。風が木の葉を揺らす音のみ

 「さて、フジが言うにこの辺りにはもういないと言うていたがの。マーキングの臭いが残っておるんじゃろ。しばらくは狩にならんじゃろうさ。イザーク君の方はどうじゃ?」

 「ええ、新しい薬草が結構ありますね。それにアサキリ草、この辺りでは採らないのでしょうか。結構な量が。ティーターさんも詳しいので助かっていますよ」

 「いえ、イザーク殿の知識も。人族にしては素晴らしいと思いますよ」

 う~んと、唸る、お節介爺さんのカンイチ。

 

 ――イザーク君とティーター嬢との相性は良さそうじゃったが……ティーター嬢の方はエルフ、どうしても人族なんぞ眼中にないように見えるのぉ。イザーク君の方も同じかぁ。アールとは仲良くやってるが、エルフはエルフじゃしなぁ。人族から見れば恐怖の対象じゃわいなぁ。しかも帝国やらの軍人さんじゃ。

 と肩を落とすカンイチ。イザーク君の春はまだ遠いと

 

 「うん? どうしたカンイチよ?」

 「いや、何でもないで。そろそろ引き返そうかのぉ。ガハルトが脱走しても困るで」

 「はっはっは。そうだな」

 「そうだね、師匠。獲物は無しと!」

 ……

 

 帰りは負傷したガハルトは馬車に。途中途中、採取をしながら【アティゴナ】の町へと帰還する。

 農村ではイモ類、ニンジン、大根などの根菜類を中心に大量に仕入れることができた。白豹熊のお陰で収穫、出荷が出来なかったということもあり少々育ちすぎた感はあるが、この世界には日本のスーパーのような規格は無い。交渉して安く仕入れることができた。腐らせるよりかは金にした方が良い。お互い両得だ。

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