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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
330/520

がごぉーーーーーん! (白豹熊)

 …… 


 そんな軽い気持ちで狩りに出て来たカンイチ一行だったが

 

 「がごぉおおおおおおおぉぉぉぉーーーーん!」

 白豹熊の咆哮。身体が竦む!

 対峙しているガハルトの目の前には、巨大な熊が! 3m? いや、3mどころではない。4mは優にはあるだろう。ガハルトの倍は大きい!

 まだ体毛は冬毛の白色にはなっていなく、くすんだ黄色に、黒いスポット。そう、ヒョウ柄だ。そして特徴的なのは巨大な、サーベルタイガーを思わせる二本の犬歯。普通の熊に比べ幾分胴が長く見えるが、しなやかに動くそれはまったくの弱点ではない。想定外の角度から豪爪が飛んでくる!

 

 「がごぉーーーーーーん!」

 ”びしり!”

 その爪を躱し、すかさず肘などに一撃を見舞うガハルト。彼の両手にそれぞれ握られているのは鉄鞭。

 

 『ほう。アレを躱すか。さすが、ガハルトと言うべきか。で、あれが人の言う白豹熊か』

 「よくも飛び込めるものよ……化物め。が……」

 「は、はい! フジ様。す、すげぇ……ガハルトさん……」

 巨体から繰り出される力の乗った左右の爪による切り裂き。その悉くを華麗に捌くガハルト。

 躱し、受け流し……掠りでもすれば一撃で吹き飛ばされよう威力だ。直撃なら言うに及ばず

 『うむ? 何故に剣を使わぬのだ? あれでは先にガハルトの体力が尽きように?』

 「さてな。戦闘狂の矜持という奴か。ま、ここまで来て怪我をされても敵わんで、危なくなったら行くがの」

 クマ、ハナ、シロも三方から吠えたて、威嚇、攪乱する。隙あらば噛みつこうとするもなかなか好機は訪れない。白豹熊の上体が柔らかいせいだ。腰を支点に前後左右にバネのようによく動く。

 「ガハルトさん……。また動けなくなったりするんでしょうか?」

 人を超えし動きでその爪の悉くを躱し、隙があれば追撃の一撃を加えるガハルト。白豹熊も己の爪が当たらないだけでなく、掌や二の腕に重い一撃を食らうことに苛立ち、力任せに腕を振る。

 その様子がイザークにはオオトカゲとの戦いを思い出させたのだろう。

 「さてなぁ、そうしたらダンジョンは留守番じゃな! 好きなことやったんじゃ。当然じゃろう!」

 「……そうですね」

 「ふざけるな! 俺はぁ! ダンジョンに潜るぞぉーー! ぐろぉぉぉーーーー!」

 と、ガハルト

 「聞こえてるのかよ。随分と余裕じゃな……あの漢は」

 「良いんです?! カンイチさん! 親方!」

 うち合わされる掌と金属の棒

 「まだ大丈夫じゃろ。ガハルトじゃし?」

 「うんむ。今手を出すと後で文句言われるぞ。イザーク」

 「しっかし、すげぇなぁ! ガハルトさんは。よくもまぁ、アレを躱せるなぁ」

 と。ミスリール。彼女の身体も無意識にガハルトの動きに合わせ揺れる

 「うむ。クマらも良い動きじゃな。カンイチよ」

 「そうじゃな。こっちに来て、益々恐れ知らずじゃな。が、シロはそろそろ休憩かの。シロやぁ!」

 ”ぅをふ!”

 一声吠え、戦線離脱。後は任せたと。 

 すぐさま、イザークが抱き迎えタオルで汗を拭き労をねぎらう。

 「ミスリールならどこ狙う?」

 ガハルトと白豹熊の激闘を横目に戦況分析。

 「そうだなぁ。師匠。普通の熊に比べて素早い分、皮と脂肪が薄いな。皮の弛みも無いからかえって、矢に相性良いかも。ただ、あの保護色。こっちが先に発見して、且つ、クマ達のような援護が必要だね。4、5発食らわせたところで止まらないだろ? アレ?」

 「なるほどの……。が、人の射る矢じゃ、刺さらぬか……」

 「そうね。オレの大きい方のアーバレストくらいの威力は欲しいなぁ。なるべく遠くから仕留めたいね。親父! マジックバッグもある事だし、移動式の大弓バリスタ造るか?」

 「そこは、大砲じゃろ! 人の頭ほどの鉄弾をぶつけりゃよかろうが?」

 「おう? ……面白そうだな! 親父!」

 「じゃから、親方はどこと戦争する気なんじゃ?」

 ……

 

 「し、しかし、カンイチ様、本当に見ているだけでいいのでしょうか」

 と、監視について来たティーター。

 「うん? まだ大丈夫じゃろ。余程油断せねばな。まだまだこんなものじゃぁないぞ。ガハルトは」

 「え?」

 カンイチの言葉を証明するようにガハルトの鉄鞭が白豹熊を捉える回数が増えてくる。

 クマ、ハナも代わる代わるにちょっかいをだし、攪乱。ガハルトに注意の100%が向かないように白豹熊の気を散らす。

 

 「が、がぼぉぉぉおおおあああぁ!」

 

 『ぬ?』

 その時! 振り上げた左腕が薄っすら光を放つ!

 「む! 魔法か!」

 「これは、風の?」

 と、ティーター。何某かの気配を感じたか。

 左腕を攪乱しに来たクマ目掛けて振り落とす! 

 「まずい!」

 と駆けだそうとするカンイチ、が、敵の方が早い!

 左手自体の掌打と爪は躱したが、クマに目掛けて真空の刃が襲いかかる!

 

 ”ぅおおおおおぉぉぉぉーーーーん!”

 クマの遠吠え? 全身が輝き、その真空の刃を弾く!

 「な!?」

 目を見開くカンイチ。

 『ほう。クマの奴、やりおる』

 その光る体のまま、白豹熊のわき腹に突撃を敢行! 背から当たり、蹴り、飛びのく

 

 「がぁぁあああーー!」

 その衝撃でぐらりと揺れる白豹熊、何とか踏みとどまったもののかなりの衝撃だったのだろう。内臓にダメージがあったか、口の端から血が覗く

 「む! やるなぁ! クマ! 俺も負けてはいられん! どぉおーー!」

 ”ずん!” ”ぼくぅ!” ”どずん!”

 すかさず、よろけた白豹熊へと追撃の鉄鞭が加えられる

 

 「ぐがぁごぉぉおおおおぉぉぉーーーーぅん!」

 至近距離からの咆哮! それなりの冒険者でも三半規管が揺らされ、膝をつこう威力。が、相手はガハルト。その鼻っ面に鉄鞭を叩き込む! 

 ”めしゃり!”

 鼻が潰され、右側の牙が砕ける。

 目を白黒させる白豹魔熊。

 これは敵わぬと背をむけ、茂みの方に駆けだし逃亡を図る。

 

 「む! 悪いが手負いで逃がすわけにはいかぬ! クマ!」

 ”ぅおふ!”

 追うガハルト! 一足早く回り込むクマ、ハナ、シロも戦線復帰だ!

 クマ達に吠えかけられ、進路を塞がれる白豹熊。先ほどの手痛い突撃を警戒してか無暗に犬達へと襲い掛からない。

 

 「さぁ!」

 二本の鉄鞭を構え立ち塞がるガハルト

 「がろろろろろろ……」

 白豹熊の方も覚悟を決めたようだ。睨み合う、白豹熊とガハルト……二頭の魔獣……

 光る爪を交互に繰り出す白豹熊! はじける地面。ガハルトは、もうそこにはいない、側面から白豹熊の膝に鉄鞭を叩きつける! 相手が向き直る前に素早く移動、掌を躱しながらとことん、膝を狙う! 嫌がり四つん這いになれば容赦なく顔面にも鉄鞭が振るわれる。

 噛みつきも鉄鞭で受け、もう一本の鉄鞭で側頭部に追撃を食らわす。普通の剣では喰い折られただろう。

 ”が、ろろろろろぉ……”

 側頭部に入った一撃! 脳を揺すられ目が回ってるのか、大きな口を開けたまま停止する白豹熊

 「良き戦いだったぞ! 白豹熊よ!」

 渾身の力で真正面より叩きつけられた鉄鞭。ガハルトの渾身の力で振り下ろされることで太い鉄鞭がしなって見えるほどだ。

 ”ばぎゃり”

 その威力をもって、頭蓋を砕き、この闘いの終焉を迎える。

 前のめりに崩れ倒れる白豹熊。

 ”どぉずぅうん!”

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