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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
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すげぇ魔法つかえるんだぞ! (報告会)

 …… 


 「おう! 親方、楽しめたかの?」

 「おぅ! 懐かしい顔も随分と見たぞ!」

 町の散策を終え、屋敷に戻るとダイインドゥ一家も戻っていた。おそらく徹夜で親交を深めたのだろう。

 「それで、カンイチぃ、ここには何日いるんだ?」

 と、ご機嫌のディアン。心ゆくまで吞めたようだ

 「そうさなぁ、ディアンさん。ギルドとのお付き合いもあろう、世話にもなっとるで親方達の無理のない範囲で決めてもらってええと思ってる」

 「そうかぁ! 流石カンイチだぁ! なぁ! アンタぁ!」

 「じゃぁ、一週間くらいもらおうかの。それだけありゃぁ、義理も果たせようさ」

 「はぁ? そこはひと月」

 「……ディアンよ。お主はここまで何しに来たんじゃ?」

 「あぅ……」

 ぎろりと女房を睨みつけるダイインドゥ。

 「お、親方、別にひと月くらいは……」

 「いいんじゃ! カンイチよ。ダンジョンに潜る気が無いのならここにいるとええ。ワシらは先に行くで。ワシはダンジョンに潜りに来たのじゃからな!」

 「うんうん。そうすれば? 母ちゃん? オレら出てきたらふみ出すから。くぅ~~! 採掘楽しみだな! 親父!」

 「おうさ! ミスリールよぉ! で、どうすんじゃ? ディアン?」

 「オレもいくよ……アンタが行くのなら」

 「うむ。それでこそワシの自慢の女房じゃ!」

 「アンタ……♡」

 「はぁ? ほんと面倒くさい母ちゃんだな! 悪いな師匠、とんだ茶番で」

 「……い、いや、夫婦円満何よりじゃ……て」

 何とか円満にまとまったところで

 「戻った」

 「戻りましたよ!」

 と、玄関の方が賑やかに。ガハルト達、情報収集組が帰って来たようだ。

 「お、ガハルト達も戻ったようじゃな。じゃぁ、とりあえずは一週間くらいとしておこうかの」

 「おうさ」

  ……

 

 「……なんか面白い獲物・・でも見つけたんか……? イザーク君?」

 目がキラキラ、そわそわと落ち着きのないガハルト。何処から見ても浮かれている

 一緒に行動していたダリオンは我関せず。イザークはガハルトの顔を見てため息ひとつ。

 「判るか! カンイチ!」

 「……で、何がおったんじゃ? イザーク君?」

 「それがですねぇ……」

 とそこに、

 「そんな事より、イザーク兄! アール母ちゃん、すげぇ魔法つかえるんだぞ! 指がポロリ!」

 と、自慢げにリンドウが報告。

 「アール様? 指?」

 その報告に

 「またですか……スィーレン様……」

 やれやれといった表情のティーター。

 「だから、付いてろって言っただろう! ティーター! なにせスィーレン様だぞ」

 騒ぎを極力起こさせない。これも彼女たちの任務の一つだ。

 「……そうね。……以後気を付けるわ。ダリオン……朝市だから油断したわ。……そう。スィーレン様ですものね」

 「ダリオン君! ティーター君! それはどういう意味さ!」

 「だって、子供達連れて、ちょろっと朝市見に行ってなんで指が落ちるんです?」

 「意味不明ですよ? スィーレン様?」

 「むぅ!」

 「ま、アールはアールじゃて。先方も悪かったでな。で?」

 「おい! カンイチ! どういう意味だい! まったく! 流すな! ぶつぶつぶつ……」

 文句垂れ垂れ、リンドウを連れて暖炉の方に。フジとキキョウも加わってオヤツタイムのようだ。

 「で、イザーク君?」

 と、イザークに話を促すカンイチ。完全に無視されてるのが我慢できなくなったかガハルトがずいぃとカンイチの前に出る。

 「おい! そこは俺に聞くものだろうが! でだ! 何でも、白豹熊という牙獣が出たとな! そいつは、豹と熊と足したような奴だそうだ! 大きさも立てば3mはあるという」

 「ほ~~ん。随分と危険そうな獣……じゃのぉ。で、イザーク君?」

 「おい! カンイチ!」

 「はい……カンイチさん。毛色も雪の降る時期になると白くなって、熊のように大きいのにしなやかで俊敏。俺は豹見たこと無いけど……狂暴って話は聞きますね」

 と、何時もの如くイザークが補足。

 「わしが知ってる豹であれば、狂暴というよりハンターじゃな。物陰に紛れ、隙を窺い、ガブリじゃ。そいつと熊? ……バケモンじゃな。で、ティーター殿、その辺りは?」

 完全にガハルトを無視し、話を振る

 「はい。カンイチ様。年に1~2頭、食料を求めてか、町の近くに現れます。この町くらい頑強な城壁であれば防ぐことはできますが、警戒を怠ると登って侵入することもあるとか。厄介な獣です。農村程度の板塀や、木柵じゃ防ぐのは無理ですね」

 「……で、そいつらは仕留められてるのかの?」

 「うん? カンイチ? どういうことだ?」

 「いやのぉ、毎年来てるんじゃろ? 同じ個体か、仲間呼んでるのかと思ってのぉ。数がわんさか居るのなら別じゃが……その場合、もっと来るじゃろ? なにせ熊は頭が良ぉて執念深いでのぉ」

 「おっしゃる通り……極力、国として討ち取るようにしているようですが……軍で当たっても被害がかえって増えてしまって。高位の冒険者、軍の武芸に秀でた者のチームで当たるそうですよ」

 「あんたらのようなエルフは? 森の中ならいくらでも手があるじゃろ?」

 と、話を聞いていたダイインドゥ

 「ええ、ただ、魔法が効きづらいのですよ。ダイインドゥ殿。熊自体が風の属性と申しましょうか。風魔法がかき消されたという話も聞きます。それに我らの弓では熊の脂肪や頭骨は抜けません。スィーレン様のようなハイエルフの方が操る魔法なら問題ないのでしょうけど」

 「なるほどのぉ。属性持ちは厄介じゃな」

 と、納得したようにうなずくダイインドゥ。

 「なら、ファロフィアナ殿が対応しとるのか?」

 「いえ? 態々、他所の国の、しかも人族の為に動く方じゃありませんよ? スィーレン様だってそうでしょう?」

 「……そうじゃったの」

 その当のスィーレン様は暖炉の前でフジを枕にリンドウ、キキョウとこっくり、こっくり。もう会議は飽きたようだ。

 「私達は特には。エルフですと有名どころでは冒険者として活躍されている、ハイエルフの水使い、エウリュアレー様が偶に討伐に乗り出すくらいでしょうか?」

 「ほう」

 「ああ、聞いたことあるな。エウリュアレー様。最強をほしいままにする特級のハイエルフの冒険者だ。何処の国にも属さずにチームと彼方此方へと移動されてると」

 「はい。気の合った仲間たちと自由に。エウリュアレー様が滞在してる間は戦争も停戦するほどですよ。万が一、お泊りになってる村を襲撃したりしたら……まぁ、今は、スィーレン様も同じなんですけどね。おまけにフジ様もいるし……危険度はエウリュアレー様の比じゃないですよ?」

 

 ――……なるほどのぉ。そりゃぁ、お国から見たら厄介だわなぁ

 と、暖炉の前で昼寝してるアールカエフとフジを見る。勧誘以前にその所在を正確に知る必要もあるという訳だ。根を下ろせば”守護のハイエルフ”と言われるのも頷ける。

 ……

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