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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
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随分と立派な家じゃなぁ (到着~団欒)

 …… 


 「おお? 随分と立派な家じゃなぁ」

 少々ごたついたが無事に研究所にランド・トゥローを納品。途中大量の串焼きを購入しながらティーターから借り受ける宿舎に到着。

 広大な敷地に広い庭。大きな住居を囲むようにこれまた屋敷が3軒。軍の屯所になるような平屋の建物まである。牧場まで併設され、城のような景観だ

 「はい。遷都で不要になった城を再利用してるとか? 別荘の前は迎賓館として使われていたそうですよ? こちらの離れのゲストハウスをお使いください」

 「しかし……勿体ないのぉ。この土地は」

 「ですが、”溢れた”時の住民の避難場所にもなりますので。これだけの敷地はどうしても」

 「なるほどのぉ。高台にもなっておるし、町の建物自体も城壁のようじゃったものなぁ」

 「はい。長年、住む土地を巡って魔物との戦いがありますから」

 それなら、戦争なんてやってる場合じゃないだろうにと思うカンイチ。その限られた土地を巡ってとなんと愚かな、と。逆にその限られた土地が希少、価値があるものということも理解できるのだが。

 

 「お! ハク! ゆっくりせぇよ。うん? もう、体洗ってもらったのか?」 

 ”ぶるるるるぅ……”

 カンイチの姿を見て駆け寄ってきたハク。その首辺りを撫でてやる。馬具も外してもらい、綺麗にしてもらえてご機嫌のようだ。

 「ご苦労じゃったの。長い道のりを」

 ”ぶるるんぶる……”


 屋敷の方に近づくと、門衛のようにクマ達が。犬小屋貨車も設置されている。

 こちらもカンイチの姿を認めると尻尾を振りながら集まってくる

 「おうおう。お前たちもご苦労じゃったな。ゆっくり休んでおくれ」 

 一頭ずつ頭を撫でていく。

 「ううん? クマや、ハナも……大きくなったのか?」

 確か、クマよりもシロの方が大きかったと思いだす。今ではクマの方が大きく、ハナはシロと同じくらいの大きさだ。毎日世話をしているカンイチだが今更ながらに唸る。

 『ふん。まだまだ大きくなろうよ。でなければ我が仔を産めぬではないか』

 「そ、そうかよ。フジ……」

 フジくらいに大きくなるのか? そう心配しながらハナの頭を撫でるカンイチだった

 ”うわふ!”


 「ただいま戻った」

 「おう! ご苦労だったな! カンイチ!」

 「おう。うん? 親方達は?」

 暖炉のある居間に行くと、そこにはガハルトのみ。暖炉の前にごろりと寝ころんでいた。ネコみたいに丸くなっていないので大層邪魔である。

 「親方一家は『鍛冶師ギルド』に挨拶に行ったな。アール様とイザーク、子供らは城の探検だとでていったぞ? ダリオン殿が付いているから大丈夫だろう」

 「そうか。それなら安心じゃな。で、この町での滞在期間はどれくらい見ようか?」

 「そうだなぁ。【スサム】で十分休暇は取れたがな。しばらく時間を取るか。鍛冶師ギルドや、鍛冶師の親方達にも世話になってるしなぁ。それこそ親方一家が戻ったらだろうな?」

 「それもそうじゃな。ほんに世話になったなぁ。それに、まだまだ世話になるかもしれんのだし。親方に任せようかい」

 「ああ、それでいいと思うぞ。ダンジョンの情報収集も必要だしな」

 「そうじゃな。一服するか」

 「おう。いただこうか」

 ……


 「やぁ! 無事に戻ったね! カンイチ! どうだった?」

 「ご苦労様です」

 一服していると、アールがキキョウを。イザークがリンドウをおんぶして部屋に入ってきた。

 走り疲れて寝たのだろう。カンイチがフカフカの羽毛布団をソファに敷き、その上に降ろす。

 生意気な小僧だが、寝てるうちは可愛いものよと頭を撫でる

 「問題無しじゃ。トゥローだか置いて来たぞ」

 「ふぅ。ならいいね! で、この町には例のレストランの系列店てあるの?」

 「うんむ? そうさなぁ……【アティゴナ】……そうじゃ、もうここはアマナシャーゴじゃったなぁ」

 としみじみ。

 「随分と遠くに来たもんじゃなぁ。アールよ」

 「そうだねぇ。休み休みとはいえ、結構かかったね。でも、楽しいことも沢山あったよ?」

 「そうさなぁ」

 疲れてソファで寝てるリンドウとキキョウの頭をゆっくりと撫でる。

 「うん? フジは?」

 「クマ達のところに。そのうち戻ると思いますよ。そうですねぇ。冒険者ならばいつかは! ……というアマナシャーゴかぁ。やっと、村から出たと思ったら、外国、そしてダンジョンかぁ」

 イザーク君もしみじみ。

 「で、レストランは? カンイチ」

 「ん? そうじゃったな」

 

 その日は外に出る事なく”収納”にある物で済ますことに。出来合いのものではなく、厨房でカンイチとイザークが腕を振るう。

 献立は猪肉の焼肉と野菜スープ、パンにするようだ。野菜スープといっても、ますます腕を上げた香草・薬草のスペシャリストのイザーク君の手による滋味あふれる逸品だ。

 

 そんな彼の生活もガラリと変わった。冒険者の時分は採取しても依頼。全て納品していた。それが飯の種、仕事だったから。今はある意味、料理番みたいなもの。自由に使える環境にある。

 仲間も猛者ぞろい。盗賊団も殲滅する凄腕だ。実入りだっていい。今更、香草やらを売る必要もない。

 彼の肩に掛かるバッグ。腰のポーチはそれぞれ魔道具だ。正式に譲渡されている。そう、夢のマジックバッグを。

 

 因みに、ダイインドゥ一家は戻っていない……。薄暗くなったころ、ギルドの職員が”酒宴”になったとカンイチ達を呼びに来た。今日はゆっくりすると丁寧に断ったが。

 

 『ふぅむ。この風味良いな』

 スープを口にして一言。ゆっくりと舌を転がすように味わうフジ

 「でしょう! フジ様の好みだと思いまして! 先日、市で入手した干物のバニャ茸と採取したフレッシュのミニラ、シャッコ草を使ってみたんですよ!」

 『ふむ。この奥行きのある味。獣肉を使わずに面白き事よ。前のレストランの組み合わせの妙か』

 この野菜スープは獣肉を一切使っていない。イザーク渾身の作だ。

 獣肉を一切摂らないダリオン、ティーターたちに気を使ったのもある。ダリオンたちのスープをすくう匙も止まらない。

 「……そこまでかよ。本気で店出せばいいのでは? イザークよ? 俺は応援するぞ。確かに美味い……な」

 「ふむ。畑を耕すよりも食堂の方がええかもしれんのぉ。いや、新鮮な野菜を使ったレストランか……」

 「ええ?! ダンジョン行きますよ! 俺! あ、ダリオンさん、ティーターさんスープはまだありますから」

 「イザーク兄! その前に肉! 肉! おかわり!」

 「わたしも! おにくぅ!」

 「……」

 そしてどさくさ紛れにそっと空の皿を差し出すガハルト……フジの目を盗んで……

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