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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
324/520

気分が滅入るのぉ…… (研究棟にて)

 …… 


 ぼちぼちとアールカエフとの馴れ初めをティーターに語って聞かすカンイチ。

 その話にぐすりと鼻を赤くし聞き惚れるティーター。そしてすべては愛の力と

 話も上手く集結したところで研究所のある屯所に到着。

 さすが。帝国軍の屯所。衛兵や門衛の屯所とは規模が違う。

 この町には【剣の山】を警戒した防衛軍が駐留しており、広い演習場と宿舎を有した、もはや基地だ。

 

 「随分と広くて立派じゃのぉ……」

 「はい。主に、トゥローのような人型の魔物に備えています。彼らは武器やら道具、火も使いますから」

 「ふぅん? 他にもおるのかい?」

 「そうですね。よく見かけるのはゴブリン、少し大型なゴブリン……色が黒いので黒ゴブリンと言われています。人族と同じくらいの大きさでしょうか。そしてコボルト。稀にトゥロー。さらに大型のオルグルという人喰いの怪物がいますね。伝説ではさらに大きい人型の魔物もいるとか」

 ゴブリンは見たことはある。コボルトについては先にであった。トゥローに関してもここに来る途中に倒した。そのトゥローより大きい人型の個体、巨人がいるのかと驚きを隠せないカンイチ。

 「おうぐる? しかし、いろんなのがいるんじゃなぁ」

 「あ、人族ですとオーガでしたっけ? そして一つ目の化物もいるそうですよ? 見たことありませんが。いずれも人喰いですね」

 「ほ~~ん。一つ目かのぉ……」

 所謂、サイクロプスだろうが、カンイチには知る由もない。

 

 入口の検問所でティーターが申請。敷地に入ると同時に5人の屈強な騎士に囲まれ建物の中に。

 フジも一緒だ。最初は基地に獣を入れるなどと、難色を示した騎士たちだったが、ティーターが、二、三言葉をかけると大人しく退いた。それだけの権力があるのだろう。それとも、フジがフェンリルと打ち明けたか。

 暫く基地内を進み、研究棟に。そこで騎士たちは待機となる。同じ国の騎士でさえ。この先は機密の部分が多いようだ。

 

 「ふぅう……。気分が滅入るのぉ……」

 すんすんと辺りの匂いを嗅ぐカンイチ。地球の病院のような臭いにたじろぐ。

 地球じゃ溌剌爺さんだったカンイチ。病院は大の苦手だ。余程の事が無い限り行かなかった。大病を患った時も本人ではなく、近所の人々に連行されて行ったほどだ。

 「すぐですから。……ええっと、確か第六研究室……」

 表札を見ながら進むティーター

 その後ろを肩を落としとぼとぼと付いていくカンイチ。何の技術か所々灯る赤い灯火もまた不安を掻き立てる。

 『お爺。警戒位しろ。そのエルフを信じるのはよいが、敵だか味方かわからぬ組織ぞ。先ほども無防備に囲まれて。敵であれば死んでおるぞ?』

 先を歩いていたフジがそんなカンイチに振り返る。そして瞳を真直ぐにのぞき込む。

 「そ、そうじゃな。フジの言う通りじゃ」

 だいぶこの世界に来て考え方を変えたとはいえ、のほほん、平和の日本からやって来たカンイチ爺さん。知り合いだとつい心を許してしまう。フジの警告の言葉に気づかされ、警戒態勢をとる。

 

 「っと、ここね」 

 ティーターが扉を開けると、大きな手術室のような設備が。室温も低めに設定されているのだろう。少々肌寒い

 「カンイチ様、この台と、そちらの台にお願いします。大丈夫ですよ覗き窓も無いですし? 人払いもしています」

 とは言うものの、なんとなく人の気配、見られている感覚を感じる。

 フジもまた壁の一点を凝視する。隠し部屋でもあるのか。

 よく見ると穴が。メッシュと何某かの反射する素材で巧妙に隠されているが、光の加減で四角いの覗き穴が数カ所確認できる。

 

 「ふぅん? そこの壁から誰か覗いてるが?」

 と、ぼそり。2、3人の気配があり、息を潜めているのが分かる。殺気はない。気配もろくに消せていない。暗殺者ではなさそうだが。

 「え? ……。”渡り風”、ふぅうぅ」

 ポーチから砂状のものを宙に撒き、それを風に乗せ、壁に叩きつけるティーター

 「ひぃい! 目、目がぁ! 目がぁ!」

 「い、痛い! いたたたぁ!」

 「ひぃいいぃ!」

 壁がばたりと倒れ、白衣を着た医師のような3人の男が目を押さえ転がり出て来た。

 特務のエルフ。そして人払い。何事かと期待に目を見開いていた処に目つぶし用の砂粒をねじ込まれた格好だ

 

 「ほう。なるほど。面白い(魔法の)運用じゃなぁ。アールもできるのだろうか」

 カンイチの関心は男達より今の魔法に。理にかなった運用だ。

 「はい? スィーレン様ですか? こんなことする前に相手の目玉、十字に割ったり、ぽん! て首飛ばしちゃいますよ? きっと?」

 「……そ、そうかのぉ」

 

 ――わしの女房はそんなに狂暴じゃぁないのじゃが……。うん? ん? ……まぁ、ええじゃろ……

 否定、反論しようとしたがどうやら日頃の様子が。賊に襲撃されたときの魔法の威力を思い出す

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