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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
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ガハルト小父さん、かっけぇ! (朝の様子)

 …… 


 身体が若くなったとはいえ、朝は何時もの時間に起きるカンイチ爺さん。昨日の夜は遅かったが昼に仮眠をとったおかげで影響はないようだ。適度の酒精も良い方に働いているのだろう。

 早速と井戸端に行き褌の洗濯。この頃にはリンドウたちとイザークが起きてくる。皆で並んで洗濯だ。

 洗濯が終われば朝の鍛錬が始まる。キキョウは犬達と走り回り基礎体力作りか。

 素振りをするリンドウの手には小さい”十手じって”が握られている。ダイインドゥが作ったのだろう。

 「ほう。十手かよ。イザーク君と一緒じゃな」

 「おう!」

 嬉しそうに十手とナイフを振るリンドウ。

 「うん? ……戦闘センスか? 随分と上達が早いのぉ。鋭さも」

 最初は微笑ましく見ていたカンイチ。だが、目が真剣に。

 初日にも関わらず、十手の使い方が分かっているような扱い。しかも、利き腕の右手に握られているのは十手の方だ。刃物ナイフで牽制し、十手の棒身での打撃を基本戦術にしたらしい。

 牽制のナイフにしたって鋭い。それにこれから体力、筋肉も付いて来るだろう。

 末恐ろしいことだと感じいる。カンイチ。

 

 「やっぱり? そう思いますよね? カンイチさん。狼人族だからかなぁ。バリバリの肉体派だし?」

 「肉体派……。うぅん? リンドウやキキョウもガハルトのようになるのか……の?」

 「そうかも? なんか俺、すぐ抜かされそう……」

 「がんばれ! イザーク君!」

 カンイチもまた散弾銃を出して振る。何時の間にやら隣にはミスリール。彼女もまたカンイチから技を盗むのに必死だ。相手の多少の小細工くらいひっくり返す豪腕の持ち主だが。

 

 「おう! やってるな!」

 嬉しそうにやってくるのはガハルト。彼も顔を洗いすぐに武術の鍛錬に加わる。

 今日はヌンチャクの修練のようだ。

 ”ひゅん!” ”ひゅひゅん!” ”びゅん!” ”ふひゅん! ひゅん!”

  ”ぎゅひゅん!” ”ひゅん!” ”ひゅんひゅん!”……

 恐ろしい速さで体の彼方此方と交差する金属製の棍。精密に制御されているので己の体を打つことは無い。

 あの棍が頭に打ち込まれたらまず無事ではすむまい。既に殺人技に昇華されている。カンイチの見せた演武など欠片もない。

 

 「ぅおお! かっけぇ! ガハルト小父さん!」

 リンドウも興奮! ガハルトが変幻自在に操る棍の行方を目を追う。

 「本当に化物バケもんじゃな。ガハルトは。これが戦闘センスというものかのぉ」

 「凄いですね……あんなので殴られたら頭飛んでいっちゃいますね」

 「……うむ」

 お次は、べん。極太の金属棒に一定の間隔で竹の節のように金属製のリングが装着されており、接触面を少なくし、破壊力を高めている。重さは10kg以上あろうか。

 ”ぶん!” ”ぼっつ!” ”ぶん!” ”ぶん!”……

 それを易々と振るガハルト。風きり音だけで足がすくむ。振り下ろし、突き上げ、下方からのカチ上げ。どれもこれも必殺の一撃だ。

 もう一本取り出し、双鞭そうべんとしての運用も視野に入れてるようだ。

 ”ぼぼぼっ!” ”ぶん! ぼっ!” ”ぶん! ぶん!” ”ぶぼぼぼ!”…… 

 左右、別々の生き物のように繰り出される金属鞭。どの一撃にもしっかりと力が乗っている。

 「げ……あんなの連続で食らったら……」

 「うむ……。頭蓋なんぞ粉々じゃな。程々にしてもらいたいものじゃな。それに親方も着々と武具の開発に勤しんでるようじゃの」

 「……ええ。日中は鍛冶場の方に行ってますからね……」

 「リンドウの十手くらいなら可愛いもんじゃがなぁ」

 「ふぅう……よぉし! 組手するか! カンイチ! イザークよ!」

 型の反復が終わったのだろう。金属鞭を両手に持ちニヤリと満足そうに笑うガハルト

 「わしを殺す気か! こっち来るな! ガハルト!」

 「死んじゃいますよ!」

 「ガハルト小父さん、かっけぇ!」

 その日の内にリンドウがヌンチャクをねだったのはいうまでもない……

 ……

 

 「おはやう……皆の衆ぅ。はぁふぅ……」

 朝食の時間となると眠気眼をこすりながら、アールカエフが起きて来た。

 ベーコンの焼ける匂いが目覚ましの切っ掛けにでもなっているのか。このあたりの時間は正確だ。

 {おはよう}

 「おはよう、アールよ。顔洗って来い」

 「お~~ぅ」

 「で、今日の予定は? 補給は順調じゃし? 毛長猪は明日な」

 「む。まぁ、仕方ないか」

 がぶりと分厚いベーコンを食いちぎるガハルト。中々の迫力だ。

 子供達もばくりと分厚いベーコンに食らいつく。

 「できれば大量に仕入れたいのぉ。毛長猪……そうすりゃ、ベーコンの購入にも一役買うじゃろうな」

 と、その食いっぷりを見て一言。

 ベーコンだって塩漬けの期間やらで時間がかかる。結構な量は確保しているが少々心配になる。持ち込めば、交換で売ってくれる場合もある。

 「うん? 俺は朝からステーキでも構わんぞ? 肉は力になるからな!」

 コクコクと頷くリンドウ、キキョウ。獣人族にしたら肉なら何でもよいらしい。

 「……そうかよ」

 「うん? 僕も一向に構わないよ? カンイチ? ディアン君 ベーコン多目で!」

 顔を洗い、食事に取り掛かるアールカエフ。

 やってきた分厚いベーコンにナイフを入れ頬張るアールカエフ。

 「……」

 さっぱりエルフらしくない肉食エルフ。同じエルフのティーターは肉は食べないようだ。

 カンイチとしては早急に米を見つけ、朝はあっさりといきたいところ。この世界にも発酵食品はある。落ち着いたら味噌やら醤油。梅干しの自作にも挑戦するつもりだ。

 「ふぅ……」

 「なんだい? カンイチ? 朝ッパから溜息かい? 幸せが逃げちゃうぞ? ま、僕は逃げんがな!」

 「おう。そうじゃな。アールよ」

 「朝ッパからアツアツですね! リンドウ! ベーコンもっと食うか!」

 「お、おぅ? イザーク兄? ちょうだい?」

 「キキョウも食う!」

 ……

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