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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
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ありゃぁ、やばかったわ…… (暗躍する者)

 「ふぅ。ありゃぁ、やばかったわ……」

 

 弟分の右手を破壊した野郎をボコボコにして慰謝料をたんまりふんだくろうと、人数集めて出張ったはいいが

 恐ろしい程の手練れの冒険者ガハルトの顔を見て敵わぬと尻に帆を立てて逃げて来たゾット。

 数ブロック離れた裏路地でここまでは追ってこないだろうと”ほっ”と人心地だ。

 一緒に逃げて来たのは普段から目に掛けてる弟分の三人(昨日の五人組の内の三人)のみ。他の者は衛兵の姿を見て散り散りに逃げて行った。

 

 「あ、アニキぃ……?」

 「こ、これじゃぁ、示しがつきませんぜ!」

 「お、俺の治療費、とってくれるって……」

 子分の小言。包帯を巻いたのは半泣きだ。

 「う、うるさい! うるさい! あのやばさ! お、お前らには解らねぇのかぁ!」

 「だってよぉ……」

 「……そういわれても……なぁ」

 「それに、あんな虎人の大男がいるなんて聞いていねぇぞぉ! おい!」

 「そ、そりゃぁそうですが……。昨日はいなかったしぃ」

 「それにしたって……アニキぃ。逃げるのは……」

 子飼いの子分に指摘され、普段威張りくさっているゾッドも語気が弱くなる

 「う、うるさい! うるさい! ちっ! 面白くねぇ! 飲みに行くぞ!」

 「アニキぃ」

 「いいんですかい?」

 「ふん! いいんだよ! くそ! ぅん?」

 「……ほんと、ガッカリよ。その図体で。必ず一当たりしなさいって言ったでしょう?」

 建物の陰から細身の女、少女が現れる。耳は尖り、その髪は薄緑色。そう、ハイ・エルフのファロフィアナだ。

 「あ……。ファロフィアナ様、で、でもよぉ! あんなのがいたら……」

 「町中で武器抜かなけりゃ大罪にはならないし? 向こうが武器抜いたら、しめたもの。こっちで捕まえるって言ったじゃない。で、万が一、殺しちゃっても私がどうにでもしてあげるって言ったでしょう?」

 「そ、そうはいってもよぉ……。あんなのが相手じゃぁ俺がられちまうよぉ」

 「そのために人集めるお金だって上乗せしてあげたじゃない? それに貴方が死んだら、それはそれで罪を問えたでしょうに? ふふふ。あの細身の男(カンイチの事)の力……見たかったのだけれども。ま、いいわ。で、次は何時やるの? こっちの準備もあるしぃ?」

 「次だぁ? じょ、冗談じゃねぇ! やったとしても、あの虎人が付いているんだぞ! 報復されちまうだろうがよ! 顔だってバッチリみられてるし! それに……俺が死んでもだとぉう! や、やるわけねぇだろが!」

 さすがに頭が少々鈍いゾットも自分の命を何とも思っていないファロフィアナの言動にカチンと来たようだ。

 「……ふぅ。たとえよ、たとえ。ほんと随分と立派な腰抜けさんね。顔役なんて大きな顔してたけど……。所詮ゴロツキ。屑の人族だし? ま、こんなもんねぇ」

 「お、おい!」

 「ア、アニキぃ? こ、これは?」

 「ハイエルフ様? ど、どういったことで?」

 話を聞いていた子分たちも何が何やら。包帯男の敵討ち、報復と思っていたが……。この件に、ハイエルフ、しかも帝国の特務のファロフィアナが絡んでる。

 「……いいわ。依頼未達ね。じゃ、お金返してよ。そうねぇ違約金は勘弁してあげるわ。ほら」

 ゾットに手のひらを向ける。

 「い、依頼金? アニキ?」

 「どういう……」

 「ちょ、ちょっと待ってくれよぉ? 違約金はこっちの話だろう? あんな虎人いるなんて一言も言ってねぇじゃねぇかよ! そんなもん払うかぁ!」

 「ゾットのアニキ?」

 「あ、相手はハイエルフ様ですよ……」

 「ふふん! だからどぉしたぁ! 役所や衛兵に全てぶちまけてやる! さっきの虎人の連中にも? ぶちまけ……やる? ん? あ? あれ?」

 「しょうがないわねぇ。短慮のアホは。ま、いいわ。お金はあげる。葬式代にでもとっておいて」

 「っへ? へぶぅ!」

 ”ぶしゅうううぅぅぅぅーー”

 「ひぐぅう!」

 首が”風の刃”で中ほどまで断たれ、勢いよく、噴火でもしているかのように血が噴き出る。

 隣にいた包帯男、頭からゾットの血を被り真赤に。

 「ひ、ひぃ!」

 「ア、アニキぃ!? アニ……」

 「あぶひゅ! あぶぅ?!」

 上半身を真っ赤に染めながら、ファロフィアナを睨みつけ最後の力を振り絞り、報復と両手を伸ばし掴みかかるゾット。

 「あら、ほんと、体だけは丈夫ねぇ。はい。空っぽの頭は要らないわね」

 ファロフィアナが手をかざすと、すとんと、首が落ちる。

 地から恨めしい目をファロフィアナに向けるゾット。その体も風に押されでもしたか後ろへと倒れる。

 「あ! アニキぃ?」

 「ひ、ひぃいいぃ! アニキぃ! ゾットのアニキぃ!」

 「あ、あわあわ……」

 「さて……。と」

 今度は子分たちの方に向き直るファロフィアナ。にやりと笑いながら。

 「ひ! い、命ばかりは!」

 「た、たす……な、何も見ていませんからぁ!」

 「ひ、ひぃ! ひぃい!」

 「目撃者居ると後々面倒くさいしぃ? ほら、大好きなアニキが先に地獄で待ってるわよ? 彼も一人じゃ寂しいでしょう?」

 「ひ!」

 「ひぃぃ!」

 「た、助けて……」

 「最初から貴方たちを生かしておくわけないでしょうに? ほんと、馬鹿なんだから。くすくす……」

 ……

 

 「はぁ。なかなか上手くはいかないなぁ。……が、今回は仕方なしか。手駒があれじゃぁなぁ。まだ機会もあろう……」

 フードを被り、何事もなく人ごみに紛れ消えていくファロフィアナ。

 裏路地に切り刻まれた四人の惨殺体を残して……

 ……

 

 ……

 

 時を同じくしてアールカエフの外套がふわり

 「うん? ……。ふ~~ん……」

 空を見上げ、なにやら一人頷くアールカエフ。

 「どうしたんじゃ? アールよ? 何かあったかの?」

 「いや、何でもないよ? カンイチ? つまらない事さ。さて! お昼何食べる?」

 「なら、ええがの。そうさなぁ。キキョウ何食べたい?」

 「おにく! おにく! おにくぅ!」

 「そ、そうかの……。お肉か。なら屋台街で良いか……の」

 『うむ。色々と楽しめるだろう。行こうか』

 ……

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