表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
304/520

リンドウとキキョウじゃ (孤児の兄妹)

 …… 


 「本当に覚えていないのか……の?」

 子供たちの名前。親が思いを込めて付けた名。

 本来であればそれを名乗らせてやりたいが。走り回る子供達を目で追う

 「さぁ? 思いだしたくない……っていうのもアリかもよ? カンイチ。”鑑定”してみるかい?」

 「……いや、そうじゃな……思い出したくない……そういう記憶もあるかもしれんの」

 

 ――いつから孤児かは知らんが、両親と逸れたのは事実。死別か、攫われたでもしたか……

 

 「う~~ん。そうじゃなぁ。……キバ……。なんかええのないかのぉ? イザーク君?」

 「はぁ? 俺? ええぇ~~と……」

 「はぁ! なんで、イザック君? 僕じゃないんだい? カンイチ!」

 「だってのぉ。のぉ。それにイザーク君じゃ」

 コクコクとカンイチに同意の意を示すように頷くイザーク君。なにせ、ハクの名づけの際に考える事すら放棄した人物だ。むくれてそっぽを向くアールカエフ。

 

 「いいさ! 見てろよぉ! カンイチ! イザック君! う~~む。……。……? ……?? ……??? ……ふぅ。夕食何食べる? カンイチ?」

 「じゃろがい!」

 「カンイチさん。俺には荷が重いですよ。やっぱり親、引き取るって決めたカンイチさんがつけないと」

 「……じゃな。責任があるの」

 「うん! 僕もそう思っていたところだよ? なんだい? 君達! その目は!」

 『うぅむ。では……爪と牙にするか?』

 「さすがにそれはのぉ……キバはええが、ツメ……はのぉ。そうさなぁ。……竜胆リンドウと、桔梗キキョウにしようかのぉ。リンドウは竜の胆とも書くでの。どっしり構えた男になってもらいたいで」

 「ドラゴンの胆?」

 「カンイチの世界の話だろう? イザック君。多分? で、キキョウちゃんの由来はなに?」

 「……響き? かのぉ」

 「……そ」

 じとぉ……とカンイチを見つめるアールカエフ。女の子は手抜きかと

 「い、いや、可憐な綺麗な花の名じゃし? そう育ってもらえればと願っての」

 「ふ~~ん。良いんじゃない? リンドウ君とキキョウちゃんね!」

 「うむ。それで決まりじゃ!」

 『……まぁ、お爺にしては上出来だろう。響きもよい。良かろう!』

 「……ありがとうの」

 「うん? どうしたんじゃ? 皆揃って? うん?」

 名前が決まったところで丁度、ダイインドゥ一家が宴から戻って来た。朝帰りだが。

 不思議とアルコール臭はない。

 「うん? 親方、丁度ええ紹介せよう。わしの養子のリンドウとキキョウじゃ」

 「はぁ? 養子?」

 「カンイチ? どういうこと……だ?」

 「し、師匠?」

 何が起きたのか全く理解の及ばないダイインドゥ一家。

 『我の養い仔だ! お爺!』

 「ほ! それは、それは。フジ様。で、どういう事じゃ? カンイチ?」

 ……


 「……なるほどのぉ……」

 「はぁ。……よくもまぁ。じゃ、オレも面倒見てやるよ。子育ての経験者はオレだけだろう?」

 「そいつは助かる! ディアンさん」

 と、身を乗り出すカンイチの服の服の裾をグイと引っ張るアールカエフ。結構な力持ちなので、カンイチはすとんと椅子に戻ってきた。

 「こら! こら! カンイチ! それじゃぁダメだろうに? 僕たちでしっかり育てないと?」

 「そ、そうじゃな。アールよ……」

 『ふん! そんな覚悟でよくものが言えるな! お爺! 我らは覚悟は決めておる!』

 「うぐぅ!」

 「さすが、フジ様だね。男前だねぇ」

 と、ディアン。

 「という訳だ親方。俺もビックリしたがな。このチームで面倒を見るという事で良いだろうさ。しばらくはその裏組織? チンピラどもの警戒だな。面子を潰されたと報復に来るかもしれぬしな」

 と、ガハルト。

 「ああ、馬鹿共の考えそうなことだねぇ」

 「ま、問題なかろうがい? 国やら領主ではないのであろう? 来たら来たで折檻じゃ!」

 と、ダイインドゥ夫婦。

 親方の折檻。せめて生きて帰してやってくれと願うカンイチだった。

 ……

 

 「でじゃ。今日からお前さんはリンドウじゃ。で、嬢ちゃんはキキョウな」

 二人を呼び、新しい名を授けるカンイチとアールカエフ。

 「リンドウ……?」

 「キキョウ? 私、キキョウ?」

 「イヤ、かの?」

 「キキョウ……うん! キキョウ! リンドウお兄? 変なの!」

 変かのぉ……と、少々へこむカンイチ。

 「……リンドウ? ま、よくわからないけど、恰好良いな! 兄ちゃんありがとう! うん? 父ちゃん? になるのか?」

 「……うぅむ?」

 少々考え込むカンイチ……。この世界では15、6?歳。成人したての若造だ。父にしては少々若すぎる。養子なのだからどうでもいいことなのだが。

 「ううむ。そこは、兄ちゃん……かの?」

 「僕は、お母ちゃんでいいよ?」

 胸を張るアールカエフ。

 「母ちゃん? ……背もおっぱいも小さいのに?」

 「お母ちゃん?」

 目の前に立つのは少年少女……。首を傾げる兄妹。

 くくくと笑うカンイチ

 「……。カンイチ。後で話を聞こうか!」

 中身は100と、1700の爺さん婆さんだが……何とも複雑だ。

 『まぁ、この群で面倒を見る。あまり気にするな。リンドウ。キキョウよ。食って大きくなれ!』

 「は、はい。フジ様」

 「フジ様ぁ!」

 フジの地位は絶対のようだ。

 「……まぁ、ええがの。じゃぁ、勉強しようかの。アール頼むの」

 「うんむぅ。……納得いかないが。勉強の方は任せてくれたまえ。その前に服やら日用品の買い出しに行かないと?」

 現在、下着は布を切った簡易な褌と、アールカエフのシャツとズボンのみ。それでも大きくてだぼだぼだ。ズボンはずり落ちないように紐で括ってある

 「そうじゃな。おーい! ガハルト。買物さ行くで付き合ってくれ」

 「応!」

 『我も往こう』

 「俺も行きまーーす!」


 リンドウ、キキョウの日用品を購入すべく、街へと繰り出す。

 ドワーフ一家に関しては留守番だ。夜の宴に備えて仮眠をとると。

 「服だと仕立てるのには時間がかかろうな?」

 「カンイチさん、服屋でもある程度置いてるだろうし。古着屋ってのもありますよ。そこで揃いますよ」

 と、イザーク。

 「ほう? なるほどのぉ。古着屋か……。が、アマナシャーゴに着いたら仕立て屋、探さんといかんの? そろそろ新しい褌が欲しいわ」

 「そうですねぇ。布切っただけだとほつれちゃいますものね」

 「うむ! 確かな仕事が必要じゃ!」

 『褌だかの話はよい。まずは腹ごしらえからだな! あの屋台だ! ゆくぞイザーク! リンドウ! キキョウ!』

 「はい!」

 「はい! フジ様ぁ! おにくぅ!」

 「了解です。行ってきますねカンイチさん。キキョウ逸れるなよ?」

 「うん! イザーク兄ぃ! おにくぅ♪ おにく♪」

 「すまんのぉ。イザーク君」

 屋台に向かう三人と一頭の背を見送る。イザークは右手にフジの手綱、左手にはキキョウの手を引いて


 「しかし、フジ様、本気なのか? 確かにリンドウたちもよく慣れてるようだが……」

 フジ達の背を見ながらガハルトがボソリ。

 「さてなぁ」

 昨日の添い寝の効果だろうか。リンドウたちもフジには心を許しているようだ。それに絶対的強者。その辺りも理解してるのだろう。幼くとも。

 キキョウにしろ、フジに敬意をもってか、アールカエフのように抱きついたりはしない。

 

 「フジ殿はイザック君の面倒も見てたしぃ? 満更でもなさそうだしぃ? いいんじゃない?」

 「イザーク君じゃ。そこよなぁ、まぁ、暫く様子見じゃな」

 「ふぅむ……」

 「ま、ダンジョンにしろ、クマとシロがいりゃ問題なかろうさ」

 「まぁな。そもそも俺たち自身の力で征かねば意味はないな!」

 「うむ。もう少し時間もあろうさ。その間に考えようさ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ