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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
295/520

僕たちは何ら悪くないよ? (戦闘の後で)

 …… 


 「大方、済んだようですね。アール様。イザーク! 警戒しながら剥ぎ取りだ!」

 衛士崩れの賊の頭にとどめを刺し、戻ってきたガハルト。その手のトンファーは黒血に濡れている。

 屋根に陣取っていた弓を持た連中もアールカエフの魔法、ミスリールの矢、そして、ダイインドゥの放る『爆火玉』で殲滅。

 「了解。しかし、派手にやりましたね……アール様?」

 と、足元に転がる”割れた”賊の屍を見下ろしながら応えるイザーク。

 「うん? 今回は珍しく精霊様も大はしゃぎだったし? 敵も一杯いたし? まぁ、皆、怪我も無いし? 良いんじゃない? イザック君?」

 「ええ、まぁ? そうですけどね」

 「よぉし! じゃ、後は任せたよ! ダリオン君! ティーター君! 僕たちは何ら悪くないよ?」

 「……はい」

 「は、はい」

 「で、アジトはどうすんじゃ? ガハルト殿?」

 「ふむ? おい! そこの! こいつ等が屯していた場所は?」

 でろんと、髪をもって掻いた”かしら”の首を野次馬たちに向ける、ガハルト。

 「ひ……! あ、あすこの、煙が出ている建物で……」

 掻かれた首と、ニタリと歪むガハルトの顔を交互に見て、恐る恐るダイインドゥが二回目に『爆火玉』を放った建物を指さす。

 「……ほむ。じゃ、ワシらでいこうか」

 「そうだな。アンタ」

 放った本人と奥方が捜索に行くようだ。

 「わしも行こう」


 剥ぎ取り、アジトの捜索を終え、躯を半壊したアジトの前に積んでいると、今度は……

 「そこの者共! 大人しくしろ!」

 馬に跨った将軍? 指揮官が率いる100人ばかりの兵が現れた

 「……軍か」

 「……はぁ? まったく……。ダリオン君! ティーター君! どういう事だい? この国は! もう、うんざりだよ?」

 「はっ……」

 「フジ殿! 今から王都ぶっ飛ばしに行く? 一緒に?」

 『? 良いのか? エルフ殿? では、先ずはこ奴らからだな』

 退屈していたフジ。ゆっくりと立ち上がる。 

 「おい」

 「だってぇ~。もう、面倒くさいじゃん?」

 「あ!」

 ぽん! と、思いだす。特使と騎士団長の書状を……

 「貴殿が責任者の御方でしょうか?」

 言葉を選び、問いかける。余計な怒りを買わないように。勿論両手を上げ、反意のないことを示しながら。

 「なんだ、小僧?」

 「これを」

 許可を得て懐から特使の書状を取り出し渡す。

 「ん? なんだ? こ、これは我が国の国章? 密書?」

 作戦は成功。荒ぶることなくカンイチから差し出された書状を受け取る隊長格。

 書状を読み進めるほどにみるみる顔色が悪くなる。その目は金髪と銀髪のエルフの顔から、背負う紋章。そしてフードを被ったアールカエフ。狼を一頭ずつ順に目で追う……

 「こ、これは失礼を……わ、我らは、この騒ぎを確認に来たまででして。王の命に逆らうつもりはありません。……ア、アールカエフ様」

 ”ざわざわ!”

 アールカエフの名を聞いて場がざわめく。軍に属してるものであれば一回は名を聞くハイエルフの名だ。

 「アールカエフ……様?」

 「た、隊長? ど、どういう?」

 「え、ええぃ! うるさい! 道を空けよ! こ、この書状はお返しします。通行手形でございますから」

 泡を吹きながら部下の言葉を遮り、書状を丁寧にカンイチへと返す。

 「ありがとうございます。では、通っても?」

 「は、はい! どうぞ!」

 「では、失礼。親方!」

 「おうさ!」

 ……

 

 「ふぅ。血見んでよかったの。イザーク君」

 「そうですね。軍と対立するのもアレですし?」

 「しかし、ゆっくり酒飲めると思ったんだけどなぁ。残念!」

 「ディアンさん……ブレないですね……」


 ……

 

 ”かん!” ”きん!” ”かぁん!”

 

 朝の武術の鍛錬。移動中とはいえ鍛錬は欠かさない。冒険者稼業、体が資本だ。

 ガハルトとイザークの組手を観戦するカンイチ、ダイインドゥ

 「大分動きが良くなってきたのぉ。イザーク君」

 「そりゃぁ、毎日、ガハルト殿に稽古をつけてもらってるんじゃ。強くもなろうに?」

 「そりゃぁのぉ」

 爺さん心に日々、逞しくなって行くイザークに感心するカンイチ。翁心

 傍から見たら今のカンイチの方が若いから滑稽だ。

 「それにしても、あの『十手』。面白いのぉ。下手に双剣にするよか有効じゃな」

 「うんむ。イザーク君、案外器用じゃからなぁ。上手く使いおるわい」

 「でも、親父、力ないだろう? イザークって?」

 ”ぶん! ぶん! ぶん!”

 と、アーバレストで、カンイチの銃剣術の技をなぞるミスリール。風切り音も半端ない。一撃で肋骨を抉る剛の技だ。

 「うん? 懐に潜られたら厄介じゃぞ? 長柄の武器なら防戦一方じゃ」

 「じゃな。スタミナもスピードもついてきたしの」

 「なるほど。師匠、あれの……接近戦のしのぎ方教えてよ?」

 「ん。了解じゃ」

 銃、ミスリールの場合、アーバレストだが、あしらいはもう少し修行が必要だが、下からの銃床打ちに関してはもう免許皆伝だ。一撃必殺の技へと昇華されて。

 力、器用さ共に優れるドワーフ族。クロスボウや、アーバレストを用いた射撃(遠距離攻撃)と、銃剣術(接近戦)の運用。案外、相性がいいのかもしれない。

 ……

 

 「で、この後はどうなるんじゃ? 親方?」

 「う~ん。地図によると……次は国境の町【スサム】かの?」

 「そうすれば、いよいよダンジョンのあるアマナシャーゴですね! うわぁ! 遠くまで来たなぁ」

 「ん? 【スサム】で休憩か? カンイチ? 親方?」

 「そうじゃのぉ。スサムの町でゆっくりできるとええがなぁ」

 「ああ! 酒飲めなかったからな! ゆっくりと飲みたいもんだわ! アール殿、ベーコンもっと食うか?」

 「むぐ。……うんむ? ちょうだい。はふぅ」

 「ちゃんと顔洗ったのか? アールよ?」

 【マロタス】の町でゆっくりできずに通過した一行。

 鍛錬を終え、朝食を摂りながら今後の予定を話し合う。

 王都や内陸の町に寄る事はなくまっすぐ北上し【スサム】へと意思統一。この国にはいろいろと煩わせられることがあったから早く抜けようと。途中の小さい村には寄るつもりだが。

 【スサム】で休暇を取りダンジョンを有するアマナシャーゴを目指すことに。

 

 「はふぅぅいぃ……。”もぐむぐ” で、ダリオン君! ティーター君! いつまで付いて来るんだい?」

 ぼさぼさ頭のアールカエフ。欠伸しながらパンに齧りつく。

 「――はっ!」

 「――あ」

 普通に朝食に混ざっていた二人。指摘されて驚く

 「驚きなのはこっちだよ? まぁ、いいけどさ。てか、昨日は何処で寝たんだい?」

 「あ……幌馬車の方にお邪魔して」

 「あの魔道具。温かいですね。スィーレン様」

 「そりゃぁ、僕のお手製だし? てか、お気楽だな。ティーター君は。んで?」

 「できましたらスサム迄お供したいのですけれども?」

 「昨日のカモ……美味しかったたですね! 野菜のスープも。イザーク殿、料理上手ですね」

 「……本当にお気楽だね。君ぃ」

 美女ティーターに褒められ喜んでいるかと思いきや、相手はエルフの特殊部隊員。若干引き攣っているイザーク君。緊張の方が勝るようだ。

 「どうする? カンイチ?」

 「ま、寝首掻くとか無けりゃぁええがの?」

 「させない……よ。そんな事……。判るよねぇ? 君達?」

 ふわりと服の裾が浮かぶ。

 「「はひぃ!」」

 「アール様! こわ!」

 「おいおい……魔法はなしじゃ」

 「おっと! 漏れちゃった? 精霊様もカンイチの動きに興味津々なんだから、余計な事はしちゃだめだよ?」

 「「は、はい!」」

 旅の仲間にダリオンとティーターが加わった。

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