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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
294/520

うん? 消毒には良かろうが? (殲滅)

 …… 


 賊を排除し、街を突っ切る途中、門衛崩れの盗賊に待伏せを食らう。

 とはいえ、アールカエフの操る大魔法で既に半壊。

 

 「さすがアール様! どれ! かしらどもは俺が頂こう!」

 「ガハルト君! 魔法に過信は禁物! 矢には注意だぞ!」

 「おう! お任せを!」  

 

 こちらは、一家で出て来たダイインドゥ。

 アールカエフの魔法を恐れてか出たり入ったりしている賊に目をやる。

 「ふんむ? 落ちつかんの。……どれ。ほれ!」

 ゴソゴソとポーチから何かを引っ張り出し弓持ちが隠れた建物の二階に放る


 ”ぼぉぉおぅん!”

 

 窓枠が吹き飛び、轟々と炎が吹き上がる。そう、ご自慢の『爆火玉』だ

 

 「う、うぎゃぁーーー!」

 「み、水ぅ! みずぅ!」

 炎に包まれ落ちてくる賊。転げ落ちて来たのに炎が消える気配はない。何某かの延焼物、薬品でも被ったかのように。ブスブスと燃え続ける賊。その首に慈悲の一撃か。ディアンが大斧を落としていく。

 高い建物自体はレンガ造り。隣の建物に燃え移るることは無いだろうが。

 「親父! だめだって! 町、みんな燃えちゃうぞ!」

 「うん? 消毒には良かろうが? どうせ、廃墟みたいなもんじゃろがい。ほりゃ!」

 

 ”どぼぉぉおおぅん!”

 再び放られる爆火玉。今回は建付けが悪かったのか、二階部分が爆発に耐えられずに吹き飛ぶ。

 瓦礫の破片と共に二人の賊が吹き飛ばされて落ちていた。

 「んお?」

 「ひ、ひぃ!」

 槍を構え、ダイインドゥと対峙していた賊の近くに落ちてきた仲間。真っ黒に焦げて。恨めしそうに槍を持つ仲間を見上げる。

 短い悲鳴を上げる槍持ち。

 「ったく! ここはオレに任せろ!」

 と、得物のアーバレストを肩付けで構えるミスリール。

 ”どしゅん!”

 逃げようと後ろを向いた槍持ちの後頭部に鉄の矢が立ち、そのまま建物の壁に昆虫の標本みたいに縫い付ける。

 ”がしゅん!(装填)” ”どしゅん!(発射)” ”ぎちぃ!(装填)” ”ばっしゅ!(発射)”

 続けざまに放たれた矢はアールカエフの残した敵の射手の命を的確に刈り取って行く。


 「お! おい!? 魔法は封じれるって!」

 「ど、どうなってんだ! ホッグ!」

 此方の矢は届かず。しかも、封じたはずの魔法で子分がばっさ、ばっさと切り殺される。

 頼みの綱の魔道具が全く機能しないと狼狽え騒ぐ幹部たち。

 「クッソ! 大枚叩いて買ったのに! あの野郎! 騙しやがったなぁ!」

 「お、おい! あ、あれって……ハ、ハイエルフぅ?」

 「な……」

 フードを跳ね上げたアールカエフを見て目を見開くおかしら

 金、銀の髪ならともかく相手は翡翠色の髪。格が違う。普通のエルフの魔法であれば封じることができたかもしれないがハイエルフの操る魔法は別モノだ。

 ここから逃げるか、部下を捨てて。そう思案してるうちに目の前には両手に見慣れない武器を持った虎人が立っていた。

 

 「うん? どこに行くつもりだ? 貴様らの相手は俺だ。ぐるるるるうぅぅぅ……」

 その手には金属製のトンファーが握られている。もちろん、その虎人はガハルトだ。

 「ちっ!」

 賊幹部が鞘から剣を引き抜き、その流れのまま、ガハルトの胴を薙ぐように横に振る。

 構わず踏み込むガハルト。

 ”がきぃん!”

 その横薙ぎの一撃も途中で止まる。剣の鍔の部分をガハルトが右手のトンファーで押さえたのだ。力が乗る前に。

 “ぐぐぐぐ……”

 剣を両手で握り力を籠めるも、片手で楽々制するガハルト。

 賊幹部の腕は膨張し、血管が浮きだし、筋繊維も脈動するも、びくともしない。

 「こ、このぉ野郎ぉ!」

 「遅いな。ふん!」

 ”ぼぐぅ!”

 真直ぐ突き出された左手のトンファーが男の胸部をべこりと陥没させる。

 「げはぁ!」

 血を吐きながら吹き飛ぶ幹部

 うむ。と、満足げに頷くガハルト。手応え十分だったのだろう

 「安定の使いやすさだな。このトンファーは」

 クルクルとトンファーを回す、ご機嫌のガハルト

 「な、なんだぁ! そんな棒切れに!」 

 もう一人の幹部が力任せに持っていた大きな手斧を振り回す。

 「棒切れではない。トンファーだ。良かろう! 有用性を教えてやろう!」

 「ふん! そんな棒切れ! 腕ごと飛ばしてやるわぁ!」 

 ”かん!” ”がん!” ”きん!”

 斧の刃が直角に当たらないように鋭角に当てて、受け流し、弾くガハルト。

 「くっはははは! 防戦一方ではないかぁ! それ! それ!」

 構わず手斧を叩きつける賊幹部

 「そうか? では参るか」

 ”きん!”  ”ずぅん! めしぃ!”

 今度は受け流すだけでなく、体が流れた幹部の右肩口にトンファーで追撃を食らわす。金属製の重量のあるトンファーそれに虎人の力が加わる。打たれた骨はたまらず軋む。

 「ぐ、ぐぅ!」

 手斧を取り落としそうになるも何とか踏みとどまり構える賊幹部。

 「ほれ、かかってこい!」

 「こ、このぉ!」

 直線的に向かい、しかも、真正面から手斧を振る。

 ”がぃん!”  ”ぼぐぅ!” ”どぼぅ!”

 横に弾かれ、すれ違いざまに次は追撃二発! 背と尻に。

 「く、クソぉ!」

 「ふん、どうした? 終いか? まだまだ、用法があるのだが?」

 「こ、この野郎! こ、今度は俺が受けてやる!」

 「そうかい。ふん!」

 くるくるくる……

 目の前でクルクル回されるトンファー。その動きを注視しながら手斧を構える賊幹部。

 ”びきん!”

 その無防備になった手斧を握る男の右こぶしに遠心力の乗ったトンファーの一撃が叩き込まれる。

 親指以外の指が完全に砕かれ、破壊され反るように手の甲の方に曲がる。

 「ぐが!」

 ”がらん”

 「あ!」

 砕けた指では得物の手斧を保持できようもなくとり落とす。したたかに打たれ、激痛走るこぶしからゆっくりを顔を上げる……

 クルクルとトンファーを回すガハルトと目が合う。その顔、牙を剥きにんまりと笑う。

 「ま、まて! まて! ま”ぱかぁん!” ”ばきん!” ”ばきゃ!” ”ぼきゅ!” ……」

 金属製のトンファーの連撃を頭部に食らった男、そのまま膝から落ち、物言わぬ屍に

 

 「な、な……」

 「残りは貴様だ。主だった奴らももう死んだだろうさ」

 「ちいいぃーー!」

 たまらず無軌道に剣を振る頭。その剣には国の紋章が。貸与品か何かだろう。元は真面目な男だったのかもしれない。

 ”ぶん!” ”ひゅん!”

 そんな剣筋など完全に見切り、易々と攻撃をかわすガハルト

 「真面目に門衛をやっていればいいものを……」

 「う、うるせぇ! クソがぁ!」

 ”ぶん!”

 怒り任せに、縦に大振りに振られた剣。相手はさらに大きいガハルトだ。下策。易々と躱され、

 ”ひゅ!”  ”ちっ!”

 くるり。と下から回されたトンファーの先が、かしらの顎先を捕らえる。

 顎を捕らえた一撃は首を大きく回し、脳を大きく揺さぶる。

 「あ……」

 ”がらん!”  ”どすん!”

 武器を落し、すとんと膝をつく頭。

 「あ……れ……」

 意識がはっきりしているものの、手足が一向にいう事を聞かない

 ”ひゅん! ひゅん!”

 トンファーをクルクルと回しながらゆっくり近づいて来るガハルト。

 「……あ……」

 鼓動が速くなり汗が滲む。立たねば!

 ”ひゅん! ひゅん! ひゅん!”

 「……あ。ま、待て……待って……」

 ”ひゅん! ひゅん! ひゅん! ひゅん!”

 武器を拾わねば! 逃げねば……

 「待って……まて……」



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