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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
287/520

フジ様というのですね。 (取り調べ)

 …… 


 ファロフィアナに請われ近くの宿屋に移動。ファロフィアナが滞在している宿という。高級な部類だ

 そのホテルの貴賓室を一時の取調室にと貸し切りにする。部屋の入り口に兵を立たせる念の入れようだ。

 お茶も回ったころで、

 

 「フジ様というのですね。ウチの者が無礼いたしました」

 フジに頭を下げるファロフィアナ。

 『フン……』

 「それでフジ様は、どちらに? これからも人界に?」

 『……』

 すでに関心は無い。完全にそっぽを向くフジ。

 「ファロフィアナ君。先ほどの件の事情徴収じゃないのかね? 用が無いなら帰るよ?」

 「少々、お待ちを。今、私の秘蔵のお茶を淹れますんで。エルフ国から取り寄せたものですよ。それで、フジ様は 「ファロフィアナ君! いい加減してくれたまえ」 ……あ、は、ははは……。だって、フェンリル様でしょう? フジ様って」

 「まぁ、気持ちはわからんでもないけど? 僕たちの友だ。余計な手出しは無用でお願いするよ? ねぇ、フジ殿ぉ!」

 ”ぼふん!”

 フジの首に抱き着きモフるアールカエフ

 「いいなぁ……。じゃ、なかった……。で、スーィレン様。本気でダンジョンに潜るつもりでしょうか?」

 「君に嘘ついたって仕方ないだろう? ダンジョンに遊びに行くんだよ? それでお金、沢山稼ぎに?」

 「金子です? それなら帝都の一等地に屋敷と金子用意しますけど?」

 「そういうのはもう結構。ファロフィアナ君! 自由勝手にプラプラするんだ。ねぇ、カンイチ?」

 「プラプラはせんがの。それで、ファロフィアナ殿。もう、ええのかの?」

 「……エルフ? じゃぁないみたいだけど? 人にしたら随分と爺臭いねぇ。カンイチ殿? おっと、失礼。もう少し。では本題に入りましょうか」

 ……

 

 「……それでは、カンイチ殿の”収納”がバレて、マハセ一党に誘拐されそうになって……反撃? ま、そういうことでいいでしょう……。罠に引っかかったフリ? ……面白かったです? スーィレン様?」

 「心外だな! ファロフィアナ君! まぁ、途中まで面白かったよ? まさかハナに蹴り繰り出すとは思わなかったよ? どのみち結果はそう変わらなかったと思うけど?」

 「そうですねぇ……で、この町にはいかほど?」

 「そうねぇ。寒さ対策やらが済むまで? 2~3週間くらい? そんな事より、マハセ君やらジョーンズ君やらは?」

 「一応はこの町の衛兵の方で対処させていただきますよ。私の名で領主や代官にも一筆入れておきますから。重い尻も上がるでしょう」

 「ふ~~ん。じゃぁ、ついでにここと、ダンジョン国の王様やら皇帝陛下にも一筆入れておいてよ? 僕たちの事は放っておいてって」

 「はぁ」

 「そんな気の抜けた返事しないで! 頼むよ! ファロフィアナ君! お茶、ご馳走さま! じゃぁ、行こうか! カンイチ?」

 「ん? もうええのかの? アールよ」

 「いいだろう? どうせ”事件”の事なんか、ファロフィアナ君にしたら些事。どうでもいい事だし? 5人死亡? エルフならどうってことない事件だし? ファロフィアナ君だって聴取なんて言ってるけど、フジ殿の事しか関心ないし?」

 『うむ。もう良かろうが。我は腹が減った。飯だ。飯』

 「そうか。では失礼する。ファロフィアナ殿」

 「何食べようかぁ! カンイチ!」

 「あ、スーィレン様ぁ! もうちょっと……」

 ばたばたと部屋を出ていくカンイチ一行

 ……


 「チッ――」

 どさりとソファーに身を沈めるファロフィアナ

 先程までの”作り笑い”を脱ぎ捨て、忌々しくアールカエフの出て行った扉を睨む。

 「ファロフィアナ様、後をつけますか?」

 そのソファーの背に新たに二人……若いエルフが現れる。

 黒ずくめの衣装、顔も布に巻かれ。鋭い目だけが覗く

 「止めておけ。恐らく既に気づかれてる。後をつけようものなら切り刻まれて終いさ」

 

 ファロフィアナ、酔狂でこの町にいたわけではない。サヴァの国の騒動以降、アールカエフの動向を窺っていた。

 エルフ族には珍しく、先祖代々帝国の皇帝に仕える家系。各国の軍事地図に名が載る凄腕の精霊魔法使いの一人だ。

 

 「チッ――! あの婆さん。本当に『御籠り』から生還したようだね……。あわよくばと思ったが……格が別物だ。しかも若返り、魔力量も桁外れ。おまけに精霊様も今まで見たことない化物だ……。むしろ、神に近いのでは……」

 ”ごくり”

 つばを飲み込む若いエルフたち


 あわよくば。

 帝国に招き入れる。これが帝国、皇帝の意思だが、それよりも力が落ちていようものなら、勝てそうであれば独断で”除く”つもりだった。ファロフィアナ。

 が、実際、正対してみて敵わぬと退いた。

 周りを囲むエルフたちを総動員したところで、弓やら剣は届かない。風の壁で矢は逸れ、人は肉片に。

 精霊魔法を使おうにも、あの場ではアールカエフの精霊の方が格が高い。呼び出した精霊、皆、アールカエフの精霊の支配下に入ってしまう。そのまま己の友であった精霊たちに殺されるのみ

 名門イタドリィー家のプライドをすてても敵わぬと認めざるをえない相手。

 

 「『御籠り』から戻ってくるなんてあり得るのでしょうか……ファロフィアナ様?」

 「眉唾だったけどねぇ。一応、歴史上に二人いる。……って事になってるけどねぇ。真偽のほどはね。それに私は会った事無いし? 昔の人だ。【水神王】ラーナンキュロッス様、【薔薇の女王】ローゼンセイラー様。ローゼンセイラー様は、今も【ヤーメイヤ】の大聖堂にいらっしゃると聞くけどね。それもどうだか……。が、実際、目にしちゃうとな。ハイ・エルフの先あるようだねぇ。三人目、さしずめ、【暴風女王】スーィレン様ってところかねぇ。もちろん手出し無用だ。ふぅ、困ったものだ。まぁ、あの性格だ。カンイチだったか? あの小僧に手出ししなければ問題なかろう……。しかし、いや、なんか違う……この世界とは何か……ふぅむ……」

 思案に入るファロフィアナ。カンイチへの違和感。その正体について。

 事情を知らない彼女には正解にはたどり着けないだろう。

 

 「ファロフィアナ様?」

 「うん? ああ、あの連中には当面手出ししない方がいいな。こちらから手を出さねば大人しくしてるだろうさ。フェンリル様もどうやら成体のようだし。陛下に報告しないとなぁ。一応、父上にも知らせてやるか……。確か、スーィレン様は父上よりもずっと年上だったよなぁ……」

 「それにしても美しい髪でしたね……スーィレン様……」

 「はい。宝石のような。正に翡翠……」

 「ああ。これまでだって、【風の精霊様の愛し子】って言われてたものなぁ。婆さんだけど?」

 「ファロフィアナ様……」

 「で、ジョーンズはどうします?」

 「うん? ジョーンズか? あの人族は使える。マハセだったか? 奴の首ださせて終結で良かろう? 手配頼む」

 「はっ――!」

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