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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
283/520

面目ない。以後注意する…… (収納には注意)

 …… 


 今日の朝食は各自。朝市覗きを兼ねてアールカエフと街へと繰り出すことに。

 「お! あれも美味しそうだよ! フジ殿!」

 『お爺! あれだ!』

 「はいはい。しかし朝から良く食うのぉ……」

 次から次とあれもこれもと屋台を渡り歩くアールカエフとフジ。

 この時ばかりはフジの手綱をとるのはアールカエフ

 買い求めては木皿に移され、美味そうに頬張る。

 その様子を少し離れたところから愛犬ハナの首回りを撫でながら眺めるカンイチ。

 

 「ハナ。お前さんだけ食べないのは酷じゃの。ほれ、干し肉食うかの」

 ”ぅわふ”

 ……

 

 「カンイチはもう食べないのかい?」

 「うむ。それにしても……朝から肉ばかり良く食うのぉ」

 「肉食エルフだし?」

 本当かよ。と首をかしげるカンイチ。色々なものをたくさん食べるのは好ましいことだが。

 

 ――皆が言う、エルフ族は肉を食べないという話は眉唾じゃのぉ……

 と……。

 

 

 「ふぅん。ワインだけじゃなく食用ブドウも結構売っているんじゃなぁ」

 腹が落ち着いたところで朝市を見て回るカンイチ一行。

 周りの農村から運ばれるのはフィヤマと一緒だ。なにせ、この町は城塞都市。狭い。そんなに大きな農地はない。菜っ葉を作るより、斜面を生かしたブドウ栽培、そしてワインといったところだろう

 大きなザルで売られていたブドウを購入。自前の麻袋に入れてもらう。紙の袋もあるが別途、料金が取られる。昔の人だ。その辺りはしっかりしている。

 そのブドウを摘まみながら、朝市巡りを続行。そんな中、

 

 「うん?」

 これ見よがしに、丸々と肥えたカモを木の棒に括り付け、狩猟から帰って来たであろう冒険者達

 これからギルドに売りに行くのか、それとも今年は高値が付いているという、直接、商人にか。

 

 「ああ! あれだ! あれ! カンイチ! あれがオオタルミカモだよ!」

 「うむ。今戻るということはカモ獲りは夜のうちかのぉ」

 『ほぉう。森では見たことが無い鳥であるな。確かに丸々肥えてて美味そうだな。”ごくり!” これは獲りに行くしかあるまいよ! お爺ぃ!』

 舌なめずりひとつ。フジの美食センサーも反応したようだ。

 ”ぅわう!”

 ハナも賛同の吠え? を上げる。

 

 オオタルミカモ。普通のマガモの3倍はある大型の鳥。しかもまん丸。そのよく肥えた太った体、小さな羽。本当に飛べるのかと心配になるほどだ。

 見たところ、雄、雌の色の違いは見受けられない。繁殖のための渡りではないのか。

 

 「うんむ。確かに美味そうな鴨じゃな。決まりが無けりゃぁ獲れるだけ獲りたいのぉ。おう?」

 カモを獲って来た冒険者達に群がるように人が集まって来た。どうやら、商人達で直接交渉してるようだ。購入されたカモはすぐにどこかに運ばれていく。

 

 運ばれたカモは直ぐに待機している職人に渡され、奇麗に血抜き。羽根を毟り、内臓を抜かれ、丸鶏の形までさばかれる。その後は油紙に巻かれて冷凍の魔道具に入れられる。

 凍ったカモが王都やら他国で待つ貴族の食卓に届けられることとなる。

 

 冒険者を囲む商人達。何やら数字が聞こえてくる。獲物の状態を見て競り(せり)が始まってるようだ。

 「ほう。その場でってるようじゃなぁ」

 「ん? 獲りに行くんでしょ? カンイチ?」

 「うむ。狩猟の権利やら何も無けりゃの。池やら湿地だろうから親方達は留守番じゃろうなぁ」

 「ふ~~ん。そんなの何も無いと思うけど? じゃぁ、僕は留守番していよう! たくさん獲って来てね」

 「おう。じゃぁ、買い物を続けるかのぉ」

 

 朝市。主に朝絞めた肉やら野菜等の屋台が立つ。肉用の生きた鶏やら山羊。見たことも無い小動物、今風に言うとブッシュ・ミートというものだろう。

 コウモリやらオオネズミ、猿に似た動物なども生きたまま売られている。低い気温の割に野菜も思った以上に種類が豊富だ。果実なども並ぶ。

 ダンジョンの備蓄も考え、新鮮なものはどんどん購入していくカンイチ。

 そっとその裾を引くアールカエフ

 

 「カンイチ。たんま! 野菜嬉しそうに買うのは良いけどぉ。”収納”もう少し隠しなよ。……また攫われちゃうぞ? 人攫いに?」

 と、カンイチの耳元でボソリ

 「はっ――!」

 アールカエフの指摘にはっ! となり辺りに視線を巡らせる。何人かすぐさま目を逸らす者も。

 一応、ダミーのバッグは持っている。持ってはいるが、これだけ買えばそのバッグだって容量の大きなマジックバッグと思われる。それにしたって大変高価な品物だ。

 しかも、それを持つのは成人したての小僧……。悪目立ちする。

 大きな狼を二頭も連れた”狼使い”ということで今のところ手は出されていないが。フジとハナがいなかったら、すぐさま囲まれて裏通りに直行だろう。

 武はあっても魔法の国。前回攫われたときのように動きを封じる未知の力があるかもしれない。

 

 『ふむ。邪な視線を多く感じた。なるほど。そういうことか……』

 「そうそう。フジ殿。僕も感じたんだ。で、なんでかなぁ? って。僕は変装してるし? で、隣見たら、カンイチ、ホイホイ大量に買い物してるし? もうビックリさ!」

 「う、うむ。油断しとった……。面目ない。以後注意する……」

 「まぁ、来たら来たで、やっつければよし! どのみち盗賊か人攫いだろう。見せしめに?」

 「……まぁのぉ。今日は念のため”収納”は無しじゃな……」

 

 気を取り直して散策再開。買い物も慎重に行う。

 中央の大広場の入り口付近。この辺りは猟師が店を広げているのか。干し肉や、燻製肉と共に鞣した革の敷物なども売っている。

 各馬車用に厚手の革の敷物を購入。丸めて背負う。

 尾行者はいないようだが、油断はできない。

 

 『ふむ。その干し肉も買ってくれ。燻製じゃない方だ』

 「うむ……じゃが、結構重いぞ? もう持てん」

 アールカエフの指摘から”収納”は封印。今ではカンイチの両手も荷物で塞がっている。そして背には先ほど求めた敷物用の巻いた革……

 『”収納”に……。……面倒な事よ! 我の背に載せろ!』

 先ほどの事を思い出し言葉を切るフジ。

 「うむ。すまんの」

 『大量の物資の買い物にはガハルトが必要だな……』

 「面目ないの……」


 そのまま中央広場で休憩。ベンチに座り、のんびりと景色を楽しむ。山を利用して作られた城塞都市。景色も良く、斜面を利用して作られた建物群も規則正しく並び美しい。長く延びる城壁も上から見れば武骨には見えない。森と城を分ける綺麗な輪郭線のようだ。

 

 お茶を一服。

 「ふぅ。こういうのもええなぁ」

 久しぶりに多くの荷物を持ったカンイチ。御加護のお陰で疲れはしないが。

 隣にはアールカエフ。新婚夫婦の買い物のようだ。

 「そうだね! あなた♡ ……なんて!」

 「アール……」

 「ちゅーする? あなた♡」

 『やれやれ……』

 ”ぅわふ……”

 「「……」」

 カンイチ。赤面

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― 新着の感想 ―
[一言] 収納持ちをもう隠すことなんてできないのだから、堂々と使えばいいと思う。隠そうとするのは、無駄な努力でしょう。
[一言] さんざん見られた後に隠しても・・・爺ちゃんも学ばないねぇ。さらに指摘するのがあーる君とは(笑)
[一言] 自分もこの年(泣)なんで、カンイっつぁんの反応も分かるけど、復活したてのアール様の欲求不満が、そろそろ爆発しそうで怖い(笑)
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