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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
265/520

町人は触らなくとも…… (捕虜たち)

 …… 


 昨日から尾行され、襲われたイザーク達。早朝から、ついでと襲われたカンイチ達……

 どうにも穀物購入の際にマジックバッグが悪目立ちしたようだ。財宝に群れる賊。が、相手が悪かった。実行部隊は壊滅。生き残りを連れてアジトに向かう事に。

 

 拘束した二人の尾行者にカンイチらが捕らえた”案内人”を加え、再び【ガべゾンの町】、北門にやってきたガハルトとイザーク。フジも一緒だ。

 

 「うん? ギン? ホシーロ?」

 「お、おい? どうした! その恰好……」

 列に並ぶ者の中に異常を見つけ、集まってきた門衛。

 「うぅううむぅ! うむぅ!」

 手を拘束され、猿轡。腰には太いロープが結ばれている。良く知る者達が罪人の格好で。

 驚きの表情を隠せない門衛たち。

 「こ、これはガハルト殿。この者達は?」

 「こいつ等は盗賊だ。仲間の首もある。おまけに町の中にアジトがあるそうだ。貴殿らを信用したいが、留守番らに宝を持って逃げられてもつまらん。通してくれ」

 「た、隊長?」

 「はい、そうですか。……という訳にはいかない。話を聞いても?」

 「……グルでないことを願うがな」

 「……そこは信用してくれとしか言えん。今、ここにいる班の者は席を立つことは許さん。これで良いか?」

 「ガハルトさん、これ以上は。ますます時間が……」

 「うむ」

 先ずは、追尾者のリーダーの猿轡をずらす

 「こいつが追跡者のリーダー格だ。先行していた賊と挟撃するつもりだったらしい」

 「おい、ギン。これはどういうことだ?」

 「た、タッカベさん! こ、これは違うんだ! お、俺達、仲間と一緒に採集に……。そう! 採集に出たんだ! そ、そうしたら、こいつらの仲間に! いきなり!」

 「ほほう。この期に及んで……」

 「随分と往生際が悪いですね……盗賊のくせに」

 「と、ギンは言ってるが?」

 と、隊長かガハルトに。知り合いだ多少の贔屓もあろう

 「言うだけならタダだろう? ほら、御自慢の判定石にでも触らせてみればよかろうが」

 「……判定石を持ってこい!」

 「「はっ!」」

 隊員が掃ける。と、急に慌てだすギン。

 「は? 町人は触らなくともいいはず……でしょ!」

 「ギンよ。お前はバカか? ここまでの事になっていて触らないはないだろう。お前の話が真実であれば、そちらのガハルト殿が罪人になるのだぞ?」

 大きな台ごと二人の隊員によって運ばれてきた。

 「先ずは、俺が触ろう……」

 タッカベ隊長が石に触るも特に変化なし。

 「さて、ギン。お前の番だ。手の拘束は解かせてもらうが?」

 「構わん。好きにするといい」

 「……」

 手の拘束は解かれたギン。が、腰のロープはそのままだ。その端は、ガハルトの手に握られている

 一向に手を伸ばさない。

 「おい?」

 「……」

 「本当に往生際の悪い屑だな。時間が惜しい……おい。お前」

 ギンの部下? 一緒について来た者の猿轡を外す

 ガタガタ震え、その震えが喉にも影響を与えているようだ。

 「は、はい……お、俺……」

 「すべてを申せ。コハン」

 隊長が問いかける。ギンに一瞥くれてからゆっくりと話しだす

 「……は、はい……も、儲け話があるって……。サウワラァ穀物問屋のアコヤさんから……たった……ふ、二人の冒険者が、大きなマジックバッグを複数持ってると……金貨も沢山……」

 「お、おい!」

 言葉を遮ろうとギンが大声を上げるも後の祭り。

 「そ、それを襲う計画……三〇いれば……でも……でも……」

 「ふぅ。コハン、ギンよ……で、ホシーロもか」

 「ああ。そいつは”案内人”だ。盗賊団のな。他の首も出すか?」

 ガタガタと震える案内人。ぐるぐるに布で巻かれた己の手に視線を落とす。その布は所々赤黒く染まっている

 ”案内人”アジトまで生かされた罪人。案内後には”首”になる運命

 「ああ……頼む。場所を変えよう。そいつらは縄を打ったまま牢に入れておけ! 明日、斬首だ!」

 「ひ、ひぃ!」

 「お、俺は知らねぇ! 知らねぇよぉ!」

 腰ひもを引っ張られ、屯所の奥、牢へと。

 

 首検分をするにはさすがに通行量の多い門前ではと詰所に移動。

 マジックバッグからごろり、ごろりと。さすがに割れたのは放置してある。併せて身分証もだす

 「……おいおい。どいつも、こいつも……この町の住民やらここを拠点にしてる冒険者じゃないか……」

 隊長の顔も曇る。ほとんどの物が顔見知りだ。中には町で問題ばかりおこす青年、少年も混ざる

 「た、隊長、当分は町民の”判定”も必要ですね……」

 「ああ。大きな町だからな……。まずは兵からだ。俺達も厳格にせねばな。不正してる奴もいるだろう……頭が痛い」

 頭を抱えるタッカベ隊長。全ての門で特に入る時の検査が厳しくなる。今までフリーだった住民にも当分は審査が。時間も人出もかかる。大事だ

 何より危惧するのは仲間内。どれだけ不適合者がでるか。定期的に判定は行われているのだが、平和が続くとおざなりに。

 「そっちは勝手にやってくれ。で、罪状は明確。俺たちはアジトに行きたいのだが?」

 つまらなそうにガハルトが声を上げる。とっとと通せと。

 「わかった。すまぬが判定石を。で、アジトは? ホシーロ?」

 「……コウマイの処の地下だ……」

 「コウマイだって? アコヤは? しかし……いくら二人とはいえ、よくも、あのガハルト殿に手を出したもんだな……お前ら」

 「……」 

 ……

 

 タッカベ隊長から隊を出すと言われたが、敵にバレるおそれと、隊の準備の時間が惜しいと断る。代わりにコウマイ一家、アコウの関係者の逃亡防止の通達を各門に頼む。

 タッカベ隊長と副長を伴い、コウマイの家、金物商という店を目指す。

 金物商とは言うが店頭に碌な商品はなく開店してるかも疑わしい店だ。

 

 「さて! どうすっか! イザークよ!」

 「どうって、生け捕りにして地下の階段を捜す……でしょ? アジトは地下っていうのでしょ?」

 「……よし! 行くか!」

 「……何も決まってませんよ……。どうします? 隊長さん?」

 「もう少し待ってはくれまいか。直、捕りものの準備を終えた部下が追いつこう。動きがあれば待つ必要もないが」

 「だそうですよ。協力してくださってるし? 待ちましょうよ?」

 「俺達に協力するのは当たり前だろうが。被害者だぞ。で、あの店にいるのは賊だ! ま、イザークのいう事もわかる。隊長殿の顔を立てよう。動きがあれば踏み込むぞ?」

 「ああ、構わぬ」

 

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