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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
258/520

ほんむぅ? その手があったのぉ。(捕虜)

 …… 


 「なんと……」

 領主が軍を率いて出て行き、再びアールカエフ町に戻った。領主の首を携えて。

 驚きを隠せない『商人ギルド』ギルド長、ベルナール

 「仕方あるまい。戦だろう? 領主殿は負けたのさ」

 とは、腕を組んだ筋骨隆々の50代の大男。『冒険者ギルド』ギルド長のハーヤだ。

 「ま、そうなるじゃろのぉ。アールカエフ殿がいるでな」

 と、頷く、ドワーフのドルトムンドゥ爺様。こちらは『鍛冶師ギルド』の代表だ。

 この町の名士ともいえる三つのギルドの長を集めた会合。今後の相談だ。

 

 ダイインドゥから聞かされた領主撃退劇の一部始終。そして、領主の死。拘束されたハンセンの姿もある。

 こちらの出席者はダイインドゥ夫妻と一歩下がってカンイチ。

 

 「じゃぁ、兵の連中は無事なのだろうな?」

 と、ハーヤ。

 「うんむ。ワシらは手は出しておらぬ。領主と騎士のみじゃ。急いでたので追い越したでな。直、町に帰ってこよう。途中、何もなけりゃの。その辺りは関せずじゃな」

 こちらは主にダイインドゥが交渉に。見た目若造のカンイチは大人しく成り行きを見守る

 「ふむ。さて、どうするか……。か。ベルナール殿?」

 「そうですね」

 「それよか、よくもまぁ、無事だったの? 貴殿らは」

 ベルナールもハーヤ、他の職員たちも拘束、拷問された痕跡はない。

 「うん? 鍛冶師ギルドはどうしたかは知らんが、俺の処は、例の子爵、男爵の件、領主の関与が疑われると即日、緊急回線で王都の本部に通達。本店の総括に直に王に直訴してもらってるからな。今更口封じも無かろう? もっとも簡単に口封じなぞされぬがな!」

 と、腕をめくるハーヤ

 「私どもの方も。これでも一応は王の臣下、男爵ですので。そもそも、冒険者ギルド、商人ギルドの封鎖、ましてや排除などできませんよ。国から撤退なんてことになったら国が立ち行かなくなりますから」

 とはベルナール。

 では、鍛冶師ギルドはと……

 「爺様? ウチは?」

 「ほんむぅ? その手があったのぉ。ばっはっはっは!」

 「爺様ぁ……」

 高笑いのドルトムンドゥの爺様

 何もしていなかったらしい……

 

 ――確かにな。王の耳に入っていれば最早、おおやけ。今更動いても評価を落とすだけ……ではなぜ? 追撃なぞ……

 それにしたって私怨。あわよくば討ち取り、名を上げ、王の心証でも良くしようと思ったのだろう。護国の英雄フックラーギここに在り! と。今は首だけになってしまったが。


 「まぁ、こうなっては我らで王に訴状を上げるしかあるまいよ。ありのままをな」

 「ええ。そうですね。ハーヤ殿。で、ダイインドゥ殿、……領主殿の御首みしるしと、証人としてハンセン殿の身柄を預かっても?」

 「……」

 一言も発することなく項垂れているハンセン将軍

 「そいつは構わんが……。証言をとって首、落とした方が良いではないのかの? 万が一解き放たれれば貴殿やら兵に害になるのでは?」

 「そうしちまった方が良いと思うぞ?」

 と、ダイインドゥ夫妻。彼らからしたら既に二回敵対している。

 ディアンなんかはなんなら落してさし上げようかという勢いだ

 「ひ、ひ!」

 「いや、ディアン殿。一応は王国貴族。国境軍の総括の重職にある者です。それに、その証言は重い。とりあえずは王の下に」

 「が、後は王の裁量。どうなるかはわからんがな。ま、生きながらえたとて、これに懲り大きな顔はしないだろうよ。無様な姿、多くの民も見てるしな」

 「ぐぅぅ……」 

 

 ――確かにのぉ。国としての面子を潰されたと思えば派兵止む無し……か

 と話を整理していくカンイチ。

 

 「うむ。貴殿らと兵たちに累が及ばねばええで。ワシらも急ぎ国を出るで」

 「恐らく大丈夫でしょう。各ギルドからも訴えますので」

 「ああ。その点は任せろ。しかし、とんだ目にあったな」

 「仕方なしじゃの。まさか、子爵やら伯爵が副業で賊なんぞやってるとは思わなんだわ」

 と大袈裟にお手あげのポーズ。手を挙げてみせるダイインドゥ

 「違いないな。ウチも変なのが混ざってそうだしなぁ。こりゃ忙しくなりそうだ」

 冒険者ギルド、商人ギルドにしても件の賊に情報を売る者や、護衛任務と偽り、賊の目前に献上して来る者。挙句、既に一味になってる者。

 町を挙げての調査となり、調べが付けば役所の方にも芋づる式に広がり、公になる事だろう

 「ええ、お気をつけて」

 「ハンセン殿、もう、戦場じゃぁ会いたくないのぉ」

 「……」

 ……


 「と、こんなもんじゃが、カンイチよ」

 首と捕虜のハンセン将軍を町に引き渡し、交渉を終え皆の元に戻る途中。

 「まぁ、上出来じゃろうよ親方。それにしても、皆、無事でほんに良かったの」

 「ああ、爺様や同胞らの安全も確認できたでな。恩に着るわい」

 「じゃぁ、すぐに?」

 「ああ、そうせようか。国が動く……というのも全くないとはいえんでなぁ。恥の上塗りじゃがな」

 「そうじゃな。なるべく早くに抜けてしまおう」

 「酒……ぇ」

 「ほんむ。ディアンよ……。当分町には寄れん。野営じゃで。我慢じゃ」

 「おう……わかってるさ。……アンタぁ。はぁ……」

 この期に及んで酒とは……。

 呆れると同時に、酒に対する情熱に感心させられるカンイチであった。


 ……と、ここにも己の欲求に素直なのが


 「皆の衆、忙しいが、今から町を出るでな」

 {おう!} ……けふぅ」

 「ぅん?」

 ゲップの先には、ぽっこり下腹が出ているアールカエフ。フジもまた満足げに毛繕い。

 そして、少々困り顔のイザーク君

 「ほら! 僕の言ったとおりだろ? すぐに出立だって! 串焼き食べておいて正解だったろう! イザック君! けふ! けふぅ……」

 「……何やってんじゃ。……アールよ」

 「安心して! カンイチ! オミヤあるよ?」

 「馬に揺られて気持ち悪くなっても知らんぞ……まったく」

 「カンイチ! 馬は処分(売る)しておいたぞ! ん? どうしたカンイチ?」

 「……何でもない。ご苦労じゃったな、ガハルト」

 「おう?」

 ……

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