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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
253/520

言葉通じたら是非とも畑手伝ってもらいたいのぉ(コボルト)

 …… 


 「うん? 何じゃぁ? ありゃぁ?」

 ピタリと止まるカンイチ。額に手を当て遠方に目を向ける

 「どうした? カンイチ? 魔物か?」

 「わからんが……人? かのぉ? 狩りでもしてるのかの? こんな森の中で」

 カンイチの視線の先。離れた森の中に黒ずくめの二本足で歩く人のようなものが。

 その数、20くらいか。獲物を囲い込んでいるような動きを見せる

 ガハルトも並び、額に手を当て窺う

 「どれ? ……。あ、ああ。コボルトだな。コボルト。ほう。長く生きてるのだろうな。革鎧も着てらぁ。武器もそれなりの持っていそうだな。距離もあるだろうから大丈夫と思うが……。イザーク! 山の斜面にコボルトだ。20はいるな。一応警戒を!」

 「は、はい! こ、コボルトか……了解!」

 馬車の方に駆けていくイザーク。ダイインドゥたちとの情報共有のために。

 『うん? あ奴らはくるまいよ。とても臆病な奴等ぞ』

 と、隣を歩くフジ

 「そりゃぁ、フジ様相手じゃ、どいつも臆病になりますよ……」

 「うん? ガハルトよ。魔物かいの?」

 「ん? ああ。人と犬を足したような容姿だ。黒く見えるのは体毛だな。ゴブリンより強いとされている。群れの力もな。ゴブリンはただ数で押してくるが、コボルトは狼のように連携してくる。厄介な相手さ。あの集団はさらに……だろうな」

 「で、言葉は通じるのかの?」

 「いや、公式には通じなことになっている。が、ゴブリンと一緒だな。独自に言葉もあるだろうし、ほれ、見事な統率力だ。獲物を追ってるのだろうさ」

 「なるほどのぉ」

 「で、どうする? カンイチ?」

 「……あれも、人じゃろ?」

 「くくく。さてな。ま、我らとは相いれない敵性生物だな」

 「まぁ、あまり気が進まんがのぉ。そおっとしておこう。襲ってきたら……じゃな。距離も結構あるしの」

 「くくく。そうか。ま、それもよかろう?」

 「器用そうだで。言葉通じたら是非とも畑手伝ってもらいたいのぉ」

 「はっはっは! いいな! 今度、交渉してみるか! カンイチよ!」


 コボルトの集団も特に襲って来るでもなく。彼らは鹿を追って見えなくなった。

 「色々と居るのぉ」

 「まぁなぁ、おれら人間だって色々いるしな。カンイチが居たところはどうだったんだ?」

 「人といわれるのは、わしのような人族だけだな」

 「へぇ! エルフ居ないの? エルフ? カンイチ?」

 興味深そうにリツの上から覗き込むアールカエフ

 「うむ。エルフはおらんな。肌の色やら目の色、髪の色の違いがあるがのぉ。人族しかおらんぞ」

 「ふ~~ん それはそれで面白くないな。獣人だっていないのだろう」

 「だね! ゴブリンとかも?」

 「うむ。怪獣やら魔物もおらんのぉ。動物だけじゃな」

 「随分と安全な世界だねぇ」

 「そうかもしれんなぁ 盗賊なんぞも昔はいたじゃろが……。じゃが、戦争なんぞは恐らくここよりも酷いぞ……いかに手を掛けずに大量に人を殺すかとな」

 「そうか……」

 「うむ。アールの比じゃ無いわい。お互いが大量の必殺の兵器を持っていてのぉ。どちらかが使えばもう片方も報復という塩梅でのぉ。で、地上は長年消えぬ毒で満たされ、生き物の棲めない星になっちまう。愚かな事じゃて」

 「……恐ろしいね。人の都合でその星に生きてる生物、全部、道連れ? なんて傲慢なんだ!」

 己の身を抱くアールカエフ。余程のショックなのだろう

 「じゃな。アールの言う通りじゃて」

 「……。ん? てか! カンイチ! 僕は兵器じゃないぞぉ!」

 「お? おお! そうじゃな。ワシの可愛い女房じゃて」

 「ぬぅ! ……。可愛い? ぇへへへ~。そうだよ! それだぁ! カンイチ~~! ……ガハルト君! 何を笑っているのだね? イザック君を見習いたまえ!」

 「ふんだ!」

 「ほら! 羨ましがってくれたまえ! 拗ねてもいいぞ!」

 「アールよ……あまりいぢるとイザーク君に嫌われるぞ」

 

 ……

 

 「お! 気をつけよ! イザーク! そっちに行ったぞい!」

 「よっと! 任せて! 親方!」

 毒蛇の頭を足で押さえ、易々掴むイザーク。

 「本当に上手く捕まえるもんじゃな。主、”鉄”のままじゃぁ、もったいないの」

 イザークの手際にうんうんと頷くダイインドゥ

 「ええ、大分コツがつかめてきました」

 その後もブッシュマスター捕りに精を出すイザーク。

 ダイインドゥは邪魔になろうと上がり、カンイチと茶を楽しむ。

 「のぉ、アールよ。毒蛇の解毒薬やら血清って作れるのかのぉ?」

 イザークの様子を見ていたカンイチ。保険が欲しいとアールカエフに聞いてみる。

 一応、フィヤマでブッシュマスターから作られた毒消し、血清は持ってはいるが

 「うん? 当たり前だろう? 要るのかい? カンイチ? じゃぁ~ん! 特級毒消薬、【キエキエちゃん、7号】! どうだね! カンイチ君! この優れた薬効は虫毒から、蛇毒。血の毒、おまけに貴族の毒気までもが抜けてしまう優れものさ!」

 怪しい黄色の液体が満たされた瓶を握りしめ、胸を張るアールカエフ。

 「なんじゃ……貴族の毒気って……。うさん臭いのぉ。もっと普通のがええんじゃが?」

 「ふぅむ。折角だしぃ。イザック君に料理される前に毒とるか? うん? ついでに対貴族毒殺用に、【ドクドク君シリーズ】の開発にも着手するか……」

 「物騒じゃのぉ。わしは、ごく普通の『毒消し』が欲しいのじゃがのぉ……用心のためにの」

 「うん? イザック君が噛まれたら、僕が魔法で出してあげるよ? 毒ぐらい。強烈なのだって。ま、僕で対処できると思うけど、それでもだめならフジ殿に頼めば?」

 「は? フジ、魔法つかえるのかの?」

 「あったりまえじゃん! 本来、山脈のうんと深い奥に居るんだぞ? ”洗浄”使ってんじゃん。フジ殿のは凄い効果が高いんだぞ? ”回復”やら”解毒”なんかお手のものだろうさ! じゃないとすぐに死んじゃうぞ?」

 アールカエフが”解毒”の魔法を使えるのも驚きだ。だが、それ以上にフジが……と、屋根の上で日向ぼっこしている魔獣に目をやる。

 「フジ……フェンリルというのはとんでもない生き物じゃの……」

 「だから、そうだって言ってるだろうに? 残念君だな! カンイチは! お偉い貴族だって乗り込んできただろう? 人の心を狂わすほどの存在さ! 野望にもボン! と火が付くってものさ。まぁ、僕は神様に会っちゃったけどぉ。それが無かったら神のように拝んでるところだぞ? ドラゴンと並ぶ神獣様だぞ?」

 「良くわからんのじゃが……神獣様か……のぉ」

 欠伸しいしい、屋根から半分、だらりとぶら下がるフジ。あれがのぉ……とは、カンイチだ

 「ま、そういうことだ! じゃ、毒集めておいてよ。ヘマして噛まれないようにね!」

 「お、おう。了解した」

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