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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
249/520

王の英断に期待だな。(商業ギルド長)

 …… 


 「うん? お前さん……知ってたな。あの子爵とグルじゃな……。ということは領主もか。! ……昨日の虜囚じゃった方々はどうしたぁ! まさか……ガハルト!」

 「おう!」

 目の前の文官の鳩尾を殴り、卒倒させ、昨日の門衛隊長に迫る。

 慌てて抜いた剣、振られる前にその右手、拳をしたたかにトンファーで叩かれ、砕けた拳は剣の重さを支えられるでもなく、”がらん”落とす。

 「聞いただろう? 昨日の方々はどうした? よもや……口封じに殺してはいまいな?」

 ぎろりと睨みつける。

 「ひ……。ろ、牢に……い、生きています! 生きてますから! た、助けて……助けて! す、全ては代官の指示で! 領主様の命令と!」

 「……何故に、盗賊に捕まり、苦労した人々が牢に入っておるのだ? ううん? 答えろ!」

 「ひぃい、だ、代官の……代官のぉ……領主様の……」

 「なんじゃぁ、この町のお偉いさんは、皆、盗賊と繋がってるようじゃなぁ。で、一応、聞くが代官殿、盗賊はどうするんじゃ?」

  喋れるように首の拘束を緩めてやる。

 「ぶひぃ……は……はひ、はひぃ、ふぅ……と、盗賊は……縛り首じゃぁ……ふいぃ……何を当たり……! ……わ、ワシは関係ない! ワシは ”ぎぎゅ!””ごきびきん!” ……」

 締め上げ伸ばした頸骨を、顎をひねり上げ一気に砕く。

 「そうじゃ。死刑……じゃな。ゴミが……」

 だらりと首の伸びた代官の死体を門のわきに放る。

 「やった……」

 「やりやがった……あいつら……」

 野次馬たちから声が上がる。一部の者は気に食わない貴族、役人たちの狼狽する姿を楽しみ、多くの者は、代官を殺害したカンイチたちの身を案ずる


 「カンイチ! こいつ等もぶった切るかい? 賊は斬首ってのもありだぞ? 門に晒してやるか!」

 得物の身の丈ほどある大斧を構えるディアン。

 「ひ、ま、持って……待ってぇ! ……命は! 命ばかりは!」

 「た、助けてぇ! 助けてぇ!」

 なりふり構わず悲鳴を上げる、文官たち。

 先ほどの高圧的な態度も”死”の前には吹き飛んでしまったのだろう

 「うん? ディアンさん、そいつ等、役人にはこの顛末を書かせよう。もう一人の……ガハルトの奴、手加減間違えたようじゃわ……」

 ガハルトの拳を鳩尾に受けた文官。鼻と口からおびただしい出血、すでにこと切れているようだ。恐らくは内臓破裂。

 

 「まったく……よかったのぉ。生き残れて……さ、ここで書いてもらおうかの」

 ”ずざざぁ!”

 文官たちの隣に、門衛隊長がガハルトに蹴飛ばされ合流。

 「お前の証言もいるな。知ってることを残らず吐け! それと残りのお前ら、門衛共! 牢に居る虜囚の方々をここに連れてこい! 行け! 逃げたら……わかるな?」

 「ひ、ひぃ!」

 「わ、解りました!」

 ……


 「ちょっとよろしいか? ガハルト殿とお見受けするが」

 人族の、身なりの良い50代と思しき、白髪の男性がガハルトに声をかける。

 頭の先からつま先まで……じろりと目を通し、

 「うん? なんだ? 貴族か?」

 「ワシは、この町の『商人ギルド』の長を任されている、ベルナールと申す。この度の事について聞きたいのだが。一応は、王国男爵位も許されている」

 「ふん。……俺より、カンイチ! カンイチ! アレに聞け。このチームのリーダーだ」

 「うん? 何だ? ガハルト? ……そちらの方は?」

 「ここの商人ギルドのマスターだそうだ。俺達に聞きたいことがあるんだと」

 「ベルナールと申します。この件について少々話を」

 「そこの文官殿に聞かれるがよかろう? 内情もよぅ知ってるようじゃて。ワシが提出した訴状、門衛さんの鑑定書もお持ちじゃろう?」

 「おい、俺達の訴状はどうした? だせ!」

 「……だ、代官様が……しょ、処分、ひぃ!」

 「だそうだ。カンイチ」

 「じゃ、どうにもならんの。で、実際、ここんちの領主様も一枚かんでるって事で良いの?」

 「……」

 「だそうじゃ。思ったよか大事じゃなぁ」

 「な、何を呑気な……カンイチ殿、指名手配に……」

 「構わん。とっとと隣の国に逃げるだけじゃし。追手を出すならどうぞ。皆、死んでもらうがの」

 「おいおい。カンイチよ……頭に来てるのは分かるがの。落ち着け。交渉になっておらんぞ」

 「うむ……」

 「ワシはダイインドゥという、鍛冶屋じゃ。で、こいつが、訴状の”控え”じゃ。虜囚の方々の今後の生活の手助けをしてくれるのなら、渡すがの。役所は当てにならんで」

 「うむ。誓おう! 元々が我等の仲間。生活が出来るようになるまで。心と体の傷を癒すまで」

 「ええかの。カンイチ」

 「任せるで。親方。でも、大丈夫か? ベルナールさんとやら。どうも領主もグルっぽいぞ?」

 「勿論、検証、裏付けは要りますが……商人ギルドとして訴えれば問題ありますまい。今、ここで取りまとめて、本店から訴状を上げてもらいます。……通るかどうかは分かりませんが……」

 「ま、これだけ大騒ぎになっておるんじゃ。王の英断に期待だな」

 「親方、そんなに腐っておるのか?」

 「う~~む。関与の仕方もわからんでなぁ。それに国境の町。辺境伯やら、侯爵やらの上位貴族が治めてるだろうからのぉ。色々あるじゃろて。ここはどうだか知らんが、大きな力を持っていれば、下手すりゃ、国が割れちまう」

 「なるほどのぉ……貴族社会……か」

 「そう。ダイインドゥ殿の言う通り。私の男爵の位なんか、鼻息で吹き飛ばされようなもの。ですので、”商人ギルド”として訴えるのです」

 「わかった。頼む……の」

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