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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
248/520

……亜人共め (代官)

 …… 


 カンイチの心配をよそに接触も無く、静かに朝を迎える。

 朝食時には親方一家も戻り、メンバーすべてが顔をそろえる。

 「いやぁ~呑んだ! 吞んだ!」

 「朝からご機嫌ですね。ディアンさん」

 「おう! 美味いツマミ、美味い酒、楽しい仲間! これ以上はいらないわな!」

 「おっさんみたいですね……ディアンさんて」

 「言うねぇ! イザーク! お前も次来い!」

 「ほれ、ディアンよ。飯ぐらい静かに食わんか!」

 「おう。……イザークのせいだぞ!」

 「すいません!」

 「ベーコンもう少しくれ、イザーク」

 『野菜食え、ガハルト!』

 「はいぃ」

 「……おはよ。お腹減ったよぉ」 

 「おはよう。アールは先に顔洗ってこい」

 ……と凡そ、賑やかな日常の風景。

 

 「じゃぁ、カンイチ。一服したら、出発で良いか?」

 旅装に身を包む仲間たち。

 「うむ。そうせよう。門でなんかあるかもしれんが。ま、そん時ゃ、その時じゃ。脳筋のガハルト君。武力行使は最終手段じゃぞ!」 

 「……カンイチよ。解ってるわ」

 ……


 馬車を牽くハク。その馬車を守るように展開するカンイチ、ガハルト、イザーク、ディアン。クマ達は犬小屋貨車の方に繋いでいる。

 ”がらがらがら……”

 門に到着。

 が、何時もは空いている門は閉まり、サス又等の武具を持った困り顔の門衛達。

 子爵の愛馬を届けに来たディチェーコの関連商会の方。

 そして、文官風の男が5名。なにやら、協議しているようだ


 「うんん? 十中八九、ワシら……じゃろうなぁ」

 「……たぶん?」

 「……いざこざか? ふふふ」

 すっと、トンファーを撫でるガハルト

 「おいおい……まぁ、備えをの」


 「止まれぇ! 止まれぇ!」

 「門の前、止まるに決まってるだろうが、ご丁寧に門まで閉めて。で、我等に何の用だ?」

 辺りに聞こえるように、大声で答えるガハルト

 こういった手合いは陰でコソコソする。であれば、公の場に引っ張り出すという訳だ。

 「……亜人共め」

 忌々し気に、呟く文官。5人の中でも一人だけ違った服を着ている

 「だ、代官!」

 

 ――あいつが代官かの。あじん? 何じゃそれは?

 

 「……で、代官殿? もう一度聞く。我らに何の用だ?」

 良く通る声で再び問うガハルト。

 門も閉じており、出発のために集まっていたもの、様子を見に集まった野次馬たちにも良く通る声で。

 「良いだろう。ワシはこの町を預かる、シヒノじゃ! ツーバス子爵殺害の嫌疑についてじゃ! 申し開きがあれば役場で聞こう! 捕らえよ!」

 捕らえろ! と、命じられたが、動かない門衛達

 「はぁ? ワシ等は、盗賊の首を取ったまで。そちらで”鑑定”もしたであろう? 門衛の方々?」

 と、ダイが、その門衛に向かって問いかける

 が、誰一人応えない。

 「ふぅむ。ま、代官がしゃしゃり出ておるで仕方なかろうの。さて、どうしたものかの」

  

 「だまれ! ツーバス様を襲い、その財貨を奪いしこと明確! この馬が何よりの証拠!」

 アルディたちの連れて来た名馬を指さし吠える代官。

 その顔は、自信に満ち、笑みすら浮かべる

 その表情が気に食わないのか、ガハルトが牙を剥く。

 「この! 猿が」

 「まて、ガハルト。で、代官殿だったか? ワシらの出した訴状は見たのか?」

 「ガキが……話にならん! 大人しく縛に付け!」

 「くっくくく……カンイチ。見掛けがな……」

 「……じゃな。こんな木っ端の若造の言葉は届かぬか。……町に泊まれなくなるが……ええか?」

 「ああ! 酒は惜しいが、牢に入る謂れはねぇ!」

 とディアンも歯を剥く。

 「そうだな! 母ちゃんの言う通りだ! それに、あいつ、亜人言いやがった! 降ればどさくさ紛れに殺されちまうぞ!」

 「うんむ。ミスリールの言う通りじゃな……それに、あまりのんびりしてると軍も出てくるやも知れんぞ? カンイチよ」

 「じゃ、そういう事でええの!」

 たった! と走り出すカンイチ、代官、シヒノ男爵に。

 まさか、己に手を挙げよう者はおらぬと思っていたところに、カンイチが飛び込み、襟口を取り、捩じ上げるように首を締め上げる。

 「ごぶぅぅ! ごひゅ!? は、はひゅぅ?!」

 「だ、男爵!」

 「だ、代官!」

 「動くな……。動くと、この細首、このままへし折るぞ……で、そこの、ワシらの書状……どうした? 門衛殿の”鑑定”書もあったじゃろ? ……答えろ」

 「おぶぅぅぐぶぶぶぅぃ!」

 息も絶え絶え真赤な顔で手をばたつかせる代官。きゅっと締めると大人しくなる。

 「ま、待てぇ! そ、そんな事をすれば!」

 「どうじゃと言うんじゃ? 我らはこの国の民でも無し……。それに大人しく死ぬ気も無い」

 ”ぎゅ”

 「びびぃぃーー! はぐはぐぅぅ」

 紫色の唇を、餌を求める鯉のようにぱくぱく開き、必死に空気を吸おうとする代官。

 カンイチも落とさないように丁寧に気管を締め上げる


 この頃になると門の周りは人だかりに。噂が噂を呼び娯楽に乏しい、この世界やじ馬で溢れる。

 

 文官の一人が逃亡を図るも

 「どこに行くんだい? 仲間を置いて?」

 ぽんと肩に手を置いたのは、ディアン。

 「ひ、……き、貴殿らのこの行動は我が国に、にぃ? ”ぐきり” い……た、助けて! 助けてぇ!」

 どうやら、鎖骨辺りを握りつぶしたようだ。

 もう一人の文官の前にはガハルトが立つ。護衛の門衛とは別の、衛兵? 領兵も20人余りついていたが、ガハルトの迫力に一歩も動けず。

 「さて。答えてもらおうか? 数々の証拠もあっただろう?」

 「す、すべては……代官がぁ、シヒノ男爵が決定されたこと……」

 「わ。我らはし、知らん! 知らぬ!」

 「と、捕らえろぉ! この者共を! どうした! どぉしたぁ!」

 「うるさい!」

 ガハルトに頬を張られ飛んでいく文官。

 「うん? お前さん……知ってたな。あの子爵とグルじゃな……。ということは領主もか。! ……昨日の虜囚じゃった方々はどうしたぁ! まさか……ガハルト!」

 「うぐげぇぇ!?」

 代官の締め上げる手に力を籠める。

 だらしなく涎を垂らし虚ろな目の代官。

 「おう!」

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