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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
247/520

その話、詳しくお聞きしてもよろしいか?(レストランへ)

 …… 


 暫く門で待っていると、40前半の執事のような身なりの良い男性。こちらも安くはない服装の商人風の男性が二人。護衛を五人引き連れてやってきた。

 「ご用命いただきありがとうございます。ガハルト様、カンイチ様でしょうか? 私は『レストラン・ディチェーコ』の支配人、アルディと申します」

 執事服の男性が腰を折る

 「これはご丁寧に。アルディさん。私はカンイチという。態々、お呼びだてして、すいません。一つ、相談なのですが、この馬達を引き取っては頂けないかの……買い取っていただけないでしょうか」

 「はい。問題ありません。まだまだ馬は足りませんので。それに、ここは国境の町の商都。直ぐに捌けますよ」

 「あ……識別ナンバーじゃったか? それは?」

 「勿論確認しますよ。盗賊からの鹵獲品でしたら、所有権の全ては退治した者に帰順いたしますから。新たな番号の発行になります」

 「ではこの、15頭。こっちの軍馬みたいのは?」

 15頭の馬は、足も太くガッチリした、農業や、馬車牽きの商用馬。他にサラブレッドのような馬が5頭。騎士と子爵の乗馬だろう。

 「全く問題ありません」

 と言い放つ、オーナーのアルディ、

 が、慌てて、馬商だろう男がアルディの元に駆け寄る

 軍馬の一頭、そう、件の子爵の乗馬だ。とても跨れるようには見えなかったが

 「アルディ殿……この馬は、貴族の家のものですね。確か……ツーバス子爵家所有と記憶しております。近年の名馬に数えられる一頭です。少々騒ぎに……」

 「うむ。確か、盗賊の親分の子爵がそんな名だったな」

 と呟くカンイチ。

 「な……。子爵様が盗賊? 親分? その話、詳しくお聞きしてもよろしいか?」 

 「勿論じゃ」

 ……


 「……なるほど。そういう事でしたか……。やはり。以前より領地無しの子爵なのに金回りが良すぎると、噂になっておりましてな」

 「なら、うちで引き取った方がええかのぉ。……ところで、ウチの……呼びにやった連中は?」

 アールカエフと、ミスリールの姿が見えない。

 「アールカエフ様は、お食事をと」

 「……困ったもんじゃ。皆で摂るというのに……」


 とりあえず、名馬というもの以外はすべて引き取ってもらい、一旦、鍛冶師ギルドの宿泊施設、例の貴族の別荘に。

 そこには話を付けたディアンとギルド職員のナラが待っていた。

 「ご苦労じゃったな。ディアンさん。そしてナラさん。また世話になるで。で、親方は?」

 「いえ。聞くところによると首魁が貴族の盗賊団だったとか。良くご無事で。ゆっくりお休みくださいませ」

 「ああ、もう、レストランに向かってるぞ。オレ達もハク預けたら行こう!」

 「ありがとの、ナラさん。イザーク君、クマたちを頼む!」

 「応! いくぞぉ、クマ、ハナ、シロ!」

 ”ぅおふ!” ”ぅわん!” ”ぅをふ!”

 イザークの後に付き従う犬、狼達。そのまま裏庭に。

 日頃のブラッシングで信頼を勝ち得たに違いない。

 

 早速、フジを加えたメンバーでレストランに。

 「やぁ! やぁ! 待ってたよぉ! カンイチ! ……けふぅ」

 「オレ、待ってようって言ったんだけど……」

 「いんや、ミスリールは悪くないで。まったく困ったもんじゃ」

 

 そこには下腹ポッコリのアールカエフが転がっていた。腹を天井に向け。

 にっこり笑いながら手を振る様は、赤子のように何とも言えない愛嬌がある。

 

 「で、親方は? 姿が見えないの?」

 「親父? ああ、隣で一杯やってるよ」

 「よっし! オレ達も行こうぜ! ミスリール!」

 「おう! 母ちゃん!」

 「ほどほどにの。今回は何が起こるかわからんで」

 「承知! んじゃ!」

 ディアンとミスリールは隣に。

 

 「すまんな、ガハルト。行きたいだろうが……」

 「いや、さすがにな。カンイチの言う通り、出発まで油断できん」

 『話は終わったか? ならば飯にしよう』

 「じゃな」

 「フジ殿ぉ! ここの甘タレの鶏のロースト。絶品ですよぉ!」

 『ほう、エルフ殿の推挙する料理。では、それから行こうか』

 ……


 「ふぅ。食べたねぇ。お腹一杯。どうでした? フジ殿?」

 『うむ。あの甘タレ……なかなかに蠱惑的であったな……鶏自体の味も良い。山鳥に比べ身も厚いし、柔らかい。歯触りも良い』

 「……益々グルメじゃな。フジよ。アールは食い過ぎじゃ……しかし、良くはいるのぉ」

 「ふふふ! 肉食エルフの本領発揮さ! 食い貯め、からのぉ、高速消化ぁ!」

 ポッコリ出た下腹をさすり、さすり。

 「……おいおい。食い貯めじゃったら、高速で消化しちゃダメじゃろがい」

 「あれ?」

 「あれ? じゃないわい。しっかりと貯めとけ」

 「いいじゃん。消化終わったら、一緒にまた食べに行こう!」

 「……うむ」

 「ナカヨサゲデイイデスネ(仲良さげで良いですね)……お二人さん」

 「出たな! ひがみ怪獣イザァック!」

 「イザーク君じゃ」

 「くくく。しかし、代官だったか? 特に接触してこないな。すぐに反応するやと思ったが、拍子抜けというか。店の外に兵を並べてると思ったぞ」

 そういって腰に下がる武具トンファーを撫でるガハルト。

 「……言えてますね。お得意の不敬罪でしょうか? まぁ、アール様が明日の朝まで町に居るといいましたし? 文句あれば……あるでしょうけど? 準備して門で待ち構えてるのでは?」

 「ええ? 僕のせい? では、責任取って、どれもこれも魔法でぽん! だね! 任せてくれたまえ!」

 「……まったく。で、親方達、置いてきてよかったかの?」

 「大丈夫だろう。それこそ代官だって、国だって【鍛冶師ギルド】にゃ、手を出さんだろう。それにドワーフの連中は屈強な戦士だからな」

 「そうじゃな。特に親方らは、武闘派じゃしなぁ」

 「違いない」

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