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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
246/520

いや、討伐だ! 討伐! (門にて)

 …… 


 「は、はぁ? 子爵を手に掛けたってぇ?」

 【コズクラ】の町に戻り、門衛に訴状と共に訴えでたカンイチ一行。

 交渉役はガハルトと、ダイインドゥ。脅し要員でアールカエフ。

 門衛も隊長やら控えの隊員も出て来た。

 「いや、討伐だ! 討伐! その書状の通りだ。盗賊のアジトに行ったらそのまとめ役がそのツーバス子爵というではないか。騎士もいて襲ってきたから斬ったぞ。撃ち捨てておいても良かったが、虜囚も居たしな。それに王国の一大事でもあろう? まさか、王国子爵様が盗賊の頭だなんてな」

 「し、子爵……さまが? 盗賊? そんな馬鹿な……」

 「ご丁寧に馬車の紋章を隠していたがな。ああ、馬車は破壊したぞ」

 鹵獲したが引き渡すのももったいないので嘘をつくガハルト。

 「ふん。盗賊をやってるもんに”様”なぞいらんわ……」

 と、ぶすッとした表情のカンイチが漏らす

 「盗賊? ……昨日のキャラバンの一行の件でしょうか?」

 と、門衛の一人が前に出る

 「そう言えば……盗賊に襲われ、助力が入ったと。……確か、ガハルト……殿?」

 「ああ。ガハルトは俺だ。確か、セクム殿だったな。護衛の頭は」

 「た、隊長! 証言と一致します。こ、これは……」

 「ツーバス子爵? 色々と噂があるお方だったが……」

 隊員の一人がぼそり。

 「おい!」

 同僚が言葉を遮る

 「……その件にも子爵が関与していると……」

 と、隊長も心当たりがあるのだろう。

 「その辺りも書状に認めてある。後はそちらで確認を願おう。一応、証人の娼婦たちだ。現場にいた」

 「それと、虜囚の方々じゃ。悲惨な目に遭っていよう。後は任せるでな」

 「だね! 文句があるなら、明日の出発までに言いに来てね! さてと。町、入れてくれるよね?」

 「は、はい、アールカエフ様。だ、代官様に……」

 「うん? 構わないよ? じゃ、明日朝まで居るからそれまでに文句は言って来るようにね。じゃ! ご飯食べに行こう!」

 「は、はい。アールカエフ様。お、おい! 代官にこの書状を!」

 「はっ!」

 「あ……それとだなぁ。一緒にいた盗賊の首も持ってきたのだが?」

 「は、はい! こちらに、ガハルト殿」

 「それが……な。少々なぁ。”鑑定士”をお願いしたい……」

 「はぁ……”鑑定”でございますか?」

 ……

 領軍所属の鑑定士もよばれ、皆が見守る中、

 ”ごろり”と出された首……副頭目、そして、干し柿のようになった、頭目……

 「な……こ、これですか?」

 「ちと、丁寧にな……」

 「はぁ……」

 「どうやったら、人の頭がこんなに?」

 「か、鑑定士!」

 「それと、こっちが件の子爵様だ」

 麻袋に入ったまあるい物体。

 騎士の首は双方とも損傷が激しい――一つは大穴、一つは兜と一体化している――ため、放置してきた。

 「は、はい。お、お預かりいたします……」

 「で、馬も処分したいが? 紹介しては貰えないか?」

 「ガハルト。その点は、クラフトさんの伝手でやってみよう。あれば……じゃがの」

 「うん? カンイチ? 馬、食うのか?」

 「……違わい。買い取ってくれるか打診じゃ。系列店のリスト……は……と。ここはコズクラじゃったな?」

 「そういえば、ドワーフ族の連中に世話になってて、すっかり忘れていたよ! ご飯そこで食べよう!」

 「うむ。ワシは先にギルドに行ってくるわい。家借りにの。夕食は別になるかもしれんで」

 「オレも行くよ、アンタ」

 ドワーフ夫婦が一足先に”鍛冶師ギルド”に向かう。またぞろ飲み会を見越してだろう。

 「どれどれ……? ……【レストラン・ディチェーコ】? うん? ……どっかで聞いたのぉ?」

 「師匠、そりゃ、親父達が屯ってる店じゃん」

 「おお? なら、ミスリール、悪いが店の人呼んできておくれ。あんまり無理はの。買い取れんのなら仕方ない。他の商会紹介してもらってくれ」

 「了解~~行ってくる」

 「あ! 待って。僕も行くよ! 途中でお菓子食べよう!」

 ……

 

 「ふぅ。大事になるな……これは」

 と、子爵の首の入った麻袋を見つめる隊長。

 「で、隊長殿。実際のところどうなんだ? まったく”知らなかった”訳でもあるまい?」

 侮蔑を隠そうともせず言葉を言い放つガハルト

 「いや、ガハルト殿。貴殿から見たら信じられぬであろうが、”知らなかった”だな。そりゃぁ、いろんな噂があるお方だが、わざわざ危険を冒して自ら手を出すことも考え辛いだろう? 金子だって女だって献上させればいい。それに、普段は王都にいる。そう易々と出歩くこともできなかろう?」

 「うん? 確かに……な。仮にも子爵様だ。王の許可なくば出られんか。それに、仮令、討伐軍の動きは掴めても、他の手練れだっていようしな……。危険だな」

 「ああ。貴殿のように殲滅すればアジトだって検めるだろうよ。その危険をわざわざ、それも子爵が冒す必要性を感じない」

 「なるほどな」

 「あのアジトを見るに、身の回りの世話の者まで連れて来ておったのじゃ。遠足気分での。大方、人殺しの”快楽”にでも取り付かれたのじゃろうよ」

 と、怒りを隠そうとせずに言い放つカンイチ。

 「あり得るな。とうとう我慢できずに出てきた……とかな。お貴族様の特権とやらで貴族専用の門には判定石はないからな」

 「ふん。そんなに特別かのぉ。貴族とやらは。ほれ、首になったら賊と変わらんだろうに?」

 「……」

 「ま、隊長殿に愚痴っても仕方あるまいよ。後は代官とやらの出方を伺うのみ」

 「じゃな。すんなり通してくれればええがの。隊長殿。こっちは退かぬでな」

 何も悪いことはしていない。襲って来れば反撃をすると。

 「ま、アール様もいるし。そこまでしてこないだろうさ」

 ……

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