表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
243/520

君ぃ。何やってるんだい? (アジト襲撃)

 …… 


 商人を襲っていた盗賊を駆逐し、アジトを襲撃に来たカンイチ一行。

 ”案内人”から首謀者が、貴族。子爵と聞かされる。

 その言葉を裏付けるように、豪華な馬車――さすがに紋章は入っていないが。軍で使うような頑丈な輸送用の馬車、囚人を護送する檻馬車までもがある。その周りに賊どもの居住用か多くのテントが並ぶ。

 今までのアジトと違う点、残っている賊が多い。それに貴族の側使えだろう者の姿もある。まるでレジャーで訪れるキャンプ場のようだ。


 「はぁ、頭目たち遅せぇなぁ……もうじき帰って来ても良い頃合いだけどなぁ」

 「ひょっとして、いい女でもいたかぁ?」

 「おいおい。子爵様がいるんだ。手は出さんだろうさ?」

 「だなぁ、変態子爵がおっ立てて、腰降ってお待ちかねだぁ。ははははは」

 「ははははは。だな。情報だと村回りのキャラバンだろう? いい女なんかいねぇだろうよ」

 「違いねぇや!」

 下卑た笑いをあげながら頭目たちの帰りを待つ賊ども。 

 

 「ふん。子爵か。本当のようだな」

 音もなく、見張りの背後に立つガハルト

 「な? だ、誰だ! ”ばがん!”」

 一人の見張りの頭の頭頂が砕け、頭の形が変形する

 「お、おい! ”がぎょん!”」

 振り向いた賊も側頭部にトンファーを叩き込まれて同じ道を辿る。

 「”ずがん!” はぐぅ!」

 馬車のわきで雑談に興じていた三人はガハルトにより一瞬で物言わぬ屍に。金属製のトンファーの威力だ。

 そこに合流するカンイチ達。

 「む、修練であれば木製の方がいいな……」

 「そういう問題じゃ無かろうが。……油断するなよ。じゃ、ディアンさん、ミスリール……アールの事頼む」

 「おう!」

 「おう! 僕に任せたまえ! カンイチ!」

 

 隊を二つに分ける。女性陣は捕虜の女性の救出に。カンイチ達は眼を引くように正面から乗り込む。騎士が女性陣の方に行かないためだ。

 

 「だ、誰です? あなた達は?」

 と、ワインの瓶を抱えた執事風の男がカンイチ達の前に立ちふさがる。

 「うん? ここに盗賊の頭をやっている不届きな貴族がいると聞いてな。是非ともそのご尊顔を覗いて行こうと思ってな」

 と、トンファーをクルクル回しながらガハルトが応える

 「な! だ、誰か! だれ ”ばきゃん!”」

 横面を金属製のトンファーで、張られ、クルクルと回りながら吹き飛ぶ執事。そのまま馬車に激突し、動かなくなった。血だか、ワインだかが赤い水溜まりを作る

 「ふん! 屑が」

 その騒ぎを聞き付けて、馬車やらテントから10人ばかりの盗賊が現れる。

 「ふふふ。行くぞ! カンイチ! 親方!」

 「おう!」

 「おうさ!」

 ……

 

 一方、女性陣。こちらは丁寧に馬車を覗き、虜囚の女性を捜しながら進む。表に置いてあった檻馬車は空だった。何処か違う馬車に捕らわれているのだろうと。

 「楽しいねぇ! こういうのも! ねぇ! ディアン君!」

 足取り軽く、ズンズン進むアールカエフ

 「まぁな。だが、アール殿、気を付けておくれよ。アンタになんかあったら……オレがカンイチに怒られちまうからな」

 「うんうん。出過ぎだって。それより、なんか調査の魔法みたいの無いんです? アール殿?」

 「ぅお? いい事言った! ミスリール君。すっかり忘れてたよ! 任せて! 精霊さん? 精霊さん? 教えて頂戴。何処に……ん? 面白い事? 面白いことは今度ね。でもカンイチ、面白いだろ? うむ! そうだろ、そうだろ!」

 「アール殿?」

 「うん? ……ほら! 君達のせいで怒られちゃったよ! さ、行った! 行った! よろしくねぇ!」

 何もいないところに手を振るアールカエフ。

 「精霊様?」

 「うん。そうだよ? ミスリール君。風の精霊様さ。面白いことが大好きなんだよ。お? ……一番奥とその手前しか人いないって」

 「了解……んじゃ、行きますか。注意して…… !」

 ”ばさり!”

 その時タイミングよく、賊が、アールたちのいる馬車の帆布を上げる。

 「うん? 人いるじゃん……」

 ”ぶぅん!”

 「お、お前 ”ごきゃ!”」

 ディアンの大斧が一撃で首を落す。

 「アール殿……エルフ殿?」

 「言い直さないでよぉ。ディアン君。うん? 何? 精霊ジョーク? はぁ? 全然面白くないよ! ……一個一個見て行こ……」

 「……文句言いたいが……相手は精霊様だものな。……行くか。ミスリール」

 「そうだな。母ちゃん。てか、本当に精霊様? アール殿の悪戯?」

 「失敬な! この僕でも場位弁えるさ! まったく! 君達のおかげでガッカリエルフになっちゃうよ!」

 プリプリと虚空に文句を言うアールカエフ。

 それは前から……とは、口には出さないドワーフ母娘だった。

 ……

 

 「ここが案内人君が言っていた馬車か……」

 「ちっ、こりゃ、軍隊で使ってる奴だね。お貴族様ってのも本当のようだねぇ」

 そこには、分厚い木材で出来た頑強な物資輸送用馬車が。側面には窓も無く弓用の竜眼が開いているのみ。

 「ん? ……人がいる? ディアン君、この鍵、開けられる?」

 アールカエフが、出入り口に付いた、丈夫な金具と、開封を妨げる南京錠を指さす。

 ”どごぉ!”

 大斧の背で叩き落とすディアン。金具も南京錠もバラバラに。

 「……もっとこう。せっかくの隠密行動だし?」

 「いいじゃん、開けるぞ」

 ”がちゃり”

 「うん? こっち、出入り口じゃなかったのか?」

 「はぁ?」

 アールカエフたちが踏み込んだ馬車の中を見直す。

 馬車の中には大小さまざまな檻が……ほぼ、空だが、数人の影が。

 檻に入ってはおらず、大きなソファに腰を掛けている女も。

 もう一方の扉は開け放たれており、もう一つの大きなソファーの上で

 「おい。こいつは一体? 何モノ?」

 「おう。昼間っから、屑野郎だな」

 ふくよかな女性の上でへこへこと腰を振ってる小太りの50中ごろの全裸の中年男

 「君ぃ。何やってるんだい?」

 その顔を覗き込むアールカエフ

 「なぁ? 何だ! 貴様らは! 見張りは? 誰かある! 誰”びしゅ!”」

 ”ごろり……””ぶしゅぅ!”

 魔法で首が飛ばされ、勢いよく血が噴き出る。

 「ひぃ!」

 下に居た年配の女性も男の血を頭から被り血まみれだ。

 「おいおい。アール殿……いきなり斬り飛ばしちゃダメだろうに?」

 「そう? ん? おおお! すご! 面白いね! まだ動いてるぞ!」

 ”へこへこへこ……”

 「こんなことしかやることないんだろ? お貴族様は。猿並みだな」

 「ディアン君! あながち間違いじゃないぞ! 貴族なんか世継ぎを残してナンボだし?」

 「そうか?」

 「う~ん? ……違う気がするけど?」

 「それで、君達は虜囚? それとも娼婦?」

 ……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ