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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
241/520

うむ。これは良い (遭遇)

 …… 


 「眠いよぉ~~。カンイチぃ~~」

 「ほれ、シャンとせい! シャンと。 門での審査が済めば馬車で寝てていいで。クマもすまんの」

 ”ぅおふ!”

 クマの背に器用にだらんと寝転ぶアールカエフ。

 「うんうん。クマは優しいねぇ。……カンイチの鬼!」

 「昨日、ちゃんと言っただろうに。もう少しじゃて……」

 『お爺! あの串焼き屋! 今までなかったぞ! 良い匂いだ!』

 滞在中、今までなかった屋台から甘く香ばしい匂いが漂ってくる。

 フジが言うのであれば間違いない。それは未知の味。イザークを引きずりながら屋台の方に。

 

 「フジよ……」

 「俺が行ってきますよ。行きましょ、フジ様」

 『うむ!』

 「僕達も行こう! クマ! ゴォー!」

 ”……ぅおふ”

 困り顔でアールを乗せたまま、とぼとぼとイザークに付いていくクマ。

 「しょうがないのぉ」

 「ま、仕方ないさ。次の大きい町まで10日はかかるんだ。買い食いも当分お預けだ」

 ……

 

 北門を抜け、街道の人に。

 ハクの馬車を囲むように移動する。アールカエフは荷台で爆睡。フジは幌馬車の布屋根に器用に上って睥睨する。いつもの風景だ。

 「おい、イザーク、この先に出没する賊って規模は?」

 「結構大きいみたいですよ。ガハルトさん。被害も大きいって話ですね」

 「楽しみだな!」

 そう言って腰に下がるトンファーを撫でるガハルト。

 こちらのトンファーは木製。と、いっても鉄木という繊維が密で、水に浮かない堅牢な木材で出来ており、トンファーを気に入ったガハルトが暇さえあれば練習と常に触っている。人なぞ十分殺傷せしめる代物だ

 「ええ?! 全然ですよ!」

 「おいおい……ガハルトよ。武器を試したい気持ちもわからんでもないが……変な称号生やしてくれるなよ?」

 「大丈夫だろ? 賊なんて害悪以外の何でもない。人ですら無かろうよ。大神様だってお褒め下さるさ!」

 

 ――あの神様はそんな事、気にするお方じゃなさそうじゃがの……

 と、天界の事を思い出す。

  

 「俺も!」

 そう言って、荷台から大蛇を仕留めた大きなアーヴァレストを引っ張り出すミスリール。

 「おいおい……」

 「はっはっは。ま、賊相手なら良かろうよ。カンイチよ」

 「……ええのか?」

 賊に情けは無用だが、同情を禁じ得ないカンイチであった。

 ……

 

 そんなカンイチの気持ちを吹っ飛ばす現場に遭遇。

 今現在、商人のキャラバンが盗賊の襲撃を受けている。まさに現実……あちこちには力尽きた者達が、幼い子供の姿も混ざる。

 賊が近づくカンイチ達に気づき、3人が向かってくる。武器を抜いて!

 

 「カンイチ! ほれ! 来たぞ!」

 「応! ミスリール!」

 「おうさ! 任せて!」

 ”どしゅ!” ”ぎち!” ”どしゅ!” ”ぎちぃ!” ”どしゅ!”

 御車台にはいつの間に設置されたマウントに大きなアーヴァレストが。一矢一殺! 梃子の力で引かれる弦、停滞無く放たれた矢が、その3人を捉え屍に変える。

 「よぉぉし! 向こうから仕掛けて来たんだ! 遠慮はいらぬ! 行くぞ! ぐろろろろろろぉぉぉーーーー!」

 両手にトンファーを持ち、賊の中に突っ込むガハルト。

 「ワシらも行くぞ! ディアンよ!」

 「おう! アンタ!」

 たったと己の得物をマジックバッグから引っ張り出し、駆けていくドワーフ夫婦。

 カンイチもまた、散弾銃を担ぎ続く。

 

 賊の弓持ちもキャラバンに対する接近戦、いや殺戮に参加していたのだろう、慌てて距離を取ろうと下がるも、そこにカンイチが飛び込む。

 銃剣の一突きで心臓をえぐり、隣の賊の顔面に肘を叩き込む。鼻血を吹き出しながら倒れる賊の首に銃剣の追撃、2人目を屠る。

 ナイフを突き出してきた手を取り、そのまま柔道でいう背負い投げ。もちろん引いて背から落とすようなことはしない。顔面から地面にたたきつける。”ごぉきん!”頭が大きく背に折れ曲がる。これで3人目。

 「ひぃ!」

 その様子を見てあとずさりした賊の横を駆け抜けるように踏み込み、今度は大外刈り。足を刈られた賊は、恐らく、天に向かう己の足を見ただろう。そのまま地面に後頭部をしたたかに叩きつけられる。広がる血の池。4人目

 

 「このガキがぁ! よくもやってくれたなぁ!」

 巨漢の振り下ろされた剣を躱し、身をよじりながら懐へ。その力を利用し、銃尻を鳩尾に叩き込む。

 「うげぇぇぇ……」

 その一撃が巨漢の胃袋を持ち上げる。たまらず膝を突き、胃の内容物を盛大にぶちまける巨漢。

 巨漢も膝を突いては利する所も無く……”ぐずぅり”その喉に銃剣が刺しこまれる。5人目。

 

 この頃になると戦況も決したようだ。ダイインドゥやディアンの周りにも立ってるものはおらず、一人、猿轡さるぐつわをされた者が転がっている。生者は彼一人だろう。

 

 因みにガハルトはというと、最初の突撃で棍棒の用法で二人の賊の頭を割る。

 「き、貴様!」

 「どこから?」

 賊が繰り出した斬撃をトンファーで受けそのまま返すように突き出す。”ぼっこ!”革鎧を凹まし、その後ろの肋骨を砕く。

 取り囲もうと動く賊に対し、的確に顎先に一撃を入れていく。

 「……あ」

 脳を揺さぶられ体の自由を奪われ、がくりと跪く賊。

 次に彼が目にしたものは……ブンブンとふり回される凶悪な木材。そして、にたりと笑う、虎人の顔

 ”ぱぁかぁん!” ”ぱかん!”

 と、とどめを刺していくガハルト。獣人族、しかも、虎人族の膂力だ。頭部に食らえばやすやすと頭蓋を砕き、顔に食らえば、トンファーの棒身の形にべこりと骨を砕き凹む。もれなく両目の眼球が押し出されて。

 「うむ。これはいい。証明できたな」

 満足げにトンファーを見やるガハルト。そこに

 「よくもぉ! やってくれたなぁ! この獣人がぁ! タダじゃおかねぇぞぉ!」

 身長もガハルトと大差ない、人族の巨漢。この賊の頭目のようだ。

 「うん? 貴様が頭目か? タダじゃおかん? もちろん貴様らの貯めこんだ財貨は頂くが?」

 「こ、このぉ!」

 ”ぶん”

 頭目が繰り出す大剣の斬撃をやすやす躱すガハルト。トンファーを合わせることもなく

 「ふん。遅い……遅いなぁ、はっ!」

 大げさな大剣だ。初撃を躱し、するりと肉薄。

 「そんなちっぽけな棒きれで何ができるんだ! アホか!」

 ”びしぃ!” 

 「い、いてぇ!」

 木の棒でなにができると油断している賊の右手拳を狙いすましたトンファーの先端が砕く。

 両手で握っていた剣、思わず取り落としそうになるもなんとかこらえるも、

 「ふん!」

 ”びし!”

 お次は左手。

 ”がらん……”

 こらえきれず武器を取り落とす頭目。

 「は? はぐぅ……き、汚ねぇぞ! この野郎!」

 「はぁ? 何をいってるんだ貴様は……。汚いも汚くないも無いだろうに? いいぞ。拾えよ」

 ガハルトの動きを見ながらゆっくりとしゃがみ、剣を拾う頭目。

 その間もガハルトはブンブン、クルクルと楽しそうにトンファーを回す

 「へっ! へっへっへぇ! バカか! 貴様は! 絶好の好機を! 切り刻んで ”がいん” ……はぁ?」

 再びトンファーで剣を飛ばされる頭目

 「お前はアホか? もういい……死ね!」

 ”ぱかん!”

 「ひぐ!」

 ”ぱかん!” ”ぱかん!”

 「ひぃ!」 

 ”ぱかかん!”

 両の手のトンファーが繰り出す連撃が、頭目の頭部に叩き込まれる。

 ”ばかん!” 

 「……おぐ」 

 ”ぼきゃ””ぼきゃん!” ”ぐしゃ!” 

 「……」

 ”ごしゃ!”……

 その打撃音に段々と湿り気が含まれていく。

 もう息絶えてるのだろうが、ガハルトの絶妙な打撃のコントロールで吹き飛ぶことも崩れ落ちることも許されない頭目。

 ”ぼきゅお!” ”どちゃり”

 やっと解放された頭目。顔……頭部であったであろう物は、骨という骨を細かく砕かれ、倍以上に膨張し、色も紫を通り越して真っ黒に。

 「ひぃい! と、頭目?」

 「ひ……に、逃げろぉ!」

 「逃がすわけあるまいよ! 賊が!」

 背を向け逃げ出す賊。背後から襲い掛かるガハルト

 「ひぃ! ”ぱかぁーーーん!” ……」

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