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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
239/520

おお! カッコいいのぉ! (蛇狩り)

 …… 


 「こ、これが……水蛇? ……で、でかぁ!」

 「ニシキヘビ……いや、アナコンダってやつかのぉ」

 「うん? ニシキヘビ? 師匠、知ってるのか? でも、十分化物だな。人も飲めそうだ」

 湿原を奥に進み、クマたちが反応した場所。その目の前、コケやらがぽっかりと空いた水中からこちらを窺う大蛇。長さ14、5mは優にあるだろうか、全貌は見えなくとも、巨大な頭……そして連なる極太のボディ。湿地なのだが、所々、こういった、穴の開いたような深場が散見される。どのようにできたのかは不明だ。

 カンイチの言う通りアナコンダによく似た個体だ。この穴を巣穴にしているのか。

 

 「いや、こいつは、大丸太蛇だな。毒は無いが、締め付ける力がすごい。巻きつかれたらあの世行だ。情報じゃもっと奥にいるのだがな」

 「これが丸太蛇かぁ。美味しいって言いますけど……。なんか、ふやけて不味そう。どうします?」

 と、イザーク

 「ふむ。水の中か……分が悪いな。手の出しようがない」

 『ふむ? 美味いのなら我がいこうか?』

 少し離れたところからついてきていたフジ。

 「……紫電使うでないぞ。フジよ。わし等も丸焼きじゃ」

 『ふむ』

 「はい! はい! オレが行く! 師匠!」

 「うん? ミスリール? 大丈夫か?」

 「まかせてよ! 日頃の改良の成果が試せるぅ!」

 

 そういうと再び”潟スキー”を出し、ソリの上の箱を前に倒すように開ける。

 すると何やら、ネジや、金具で構成された固定具マウントが姿を現す。

 続いて愛用のアーヴァレストの一回り大きいものを出し、そのマウントに”かちり”とセット。

 他にも、照準器やら、マガジンのような矢置き場やら用途不明の装置が取り付けられる。開けた箱自体も矢除けの防楯のようで、ちょっとした戦車のようだ。

 

 「お? おお! カッコいいのぉ!」

 「……なんかすごいな。なんでだろう? いいなぁと思わせる? 心躍る?」

 それが男の子、浪漫というものだ。イザークよ。

 「へへへ。いいでしょ!」

 そういいながら、用途不明の装置――梃子の原理を利用した装填器を引き、一気に弦を引く。

 ”ぎぎゅん!” ”かちり!”

 そこにロープが結んである長さ50cmはあろう矢、矢というより、返しのついた銛と言っても良い代物が、セットされる。

 「はい。ガハルトさん」

 「うんむ?」

 矢に結ばれたロープの末端をガハルトに渡せば準備完了だ。

 

 「いっくよぉ~」

 ”かち!”

 ”どぅぉおん!”

 おおよそ、アーヴァレストが発する音とは思えない発射音と共に、極太の銛が放たれる!

 大蛇も慌てて潜水するも時すでに遅し。大きな水しぶきを上げ矢が、大蛇の後を追う!

 水の抵抗も何のその! 大蛇の頭部を抜け、胴に深々と刺さる銛。

 ”がきん!”

 再び装填器が引かれ、流れるように次弾装填!

 「うん? 良さそうだな。どう? ガハルトさん?」

 ピンと張られるロープ。ぐるぐると見えない獲物の動きに合わせて円を描く

 そのロープをグイと引くガハルト。

 だんだんと、その円も小さくなり、抵抗も止む

 「うむ。……抵抗はほぼ無いな。引き上げられそうだ。ちと重い……な。手伝え!」

 {おう!!}

 「うん? ”収納”できるか試してみるか……”収納!”」

 水中の大蛇が消える。

 「すげぇ……」

 「おお! 便利だな! カンイチ! さすが、天の恵み!」

 「相変わらずすげぇな! 師匠は!」

 「成功のようじゃな。あれ? 銛はどうしたんじゃ?」

 「ロープとも無事みたい。水の中だね。面白いね。どうなってんだ?」

 ミスリールの言う通り、ガハルトがロープを手繰ると、凶悪な矢もそこにあった。

 「さてなぁ? まぁ、死んだもの限定じゃがな。生物は入らんのじゃ。それにしても……凄い、弓じゃな」

 「本当だ。カンイチさんの”収納”で驚いて忘れたけどぉ……」

 「ひどいな! 今研究中の改良型の大弓だよ。ちょっと大げさだったね。オレの普段使いの奴でも事足りたと思うよ」

 「ダイの親方といい……一体、お主らは何処と戦争したいんじゃ?」

 大鑑巨砲主義もほどほどにとおもうカンイチだった。

 ……

 

 「これが水蛇でしょうか?」

 「うん? 蛇かこれ? ミミズみたいじゃな……」

 湿地と未知の境、うねうねとピンク色の物体を発見。

 鱗はあるのだろう。が、滑らかで薄ピンク色の体色。鉛筆のように細く、長さは30cm程度。口と思われる穴からチロチロと舌が出る。目は見当たらない。退化しているのだろうか。大人しそうな蛇だ

 

 「で、これ、どうするんだ? イザーク?」

 「ギルドで聞いたら、茹でてスープの具になるそうですよ? ……一回分獲って行きましょうか。折角ですし?」

 「うむ……。クマたちも食うとるし。……美味いのか?」

  ”ぅおふ!”

 「……だそうじゃ」

 「じゃ、捕まえますね……」

 

 「端っこのエリアだけあって、魔物はいないな」

 「さっき、いたじゃろが……。でかい蛇が」

 もう忘れたのかこの脳筋は! そんな表情のカンイチ。が、ガハルトにも言い分が、

 「ありゃ、ミスリールが狩ってしまっただろが!」

 

 ――仕方ないのぉ

 

 「じゃ、あのでっかい亀は?」

 カンイチの指さす方、大きな大きな亀が。甲羅の大きさが直径5m高さ3m。コケやら、草が生えており、小山のように。時折、おっとりした頭を持ち上げる。今見る範囲だけでも10体の巨亀が確認できる。

 「ありゃ、ダメだ。カンイチ。確か、【水護亀】様って言ってなぁ。水の神様のお使いって言われてんだ」

 「ええ。水源の主とも言われていますね。傷つけちゃいけないことになっていますよ」

 「ほぅ。そういった常識もわしに教えてくれ」

 『うん? あの亀はあまり美味くないぞ。イザークよ。泥臭い』

 「……フジ様ぁ」

 「……まぁ、フジには人の世の事は関係ないでな」

 

 敷き物を敷いてまったり。屋台飯をつまむ。

 「どうする? 奥にあるという、【苔沼】、覗いていくか?」

 「またぞろ、カエルやら大鯰か?」

 「カエルはいるようだぞ。後、水オオトカゲ、それと、ランド・トゥローの目撃例もある」

 「らんどとぅろー? なんじゃそれは?」

 「大きな人食い鬼ですよ。カンイチさん。俺は見たことないけど。なんでも、人のはらわたが好物だって……うぇ」

 自分の腹を押さえて補足するイザーク

 「ああ。身長3mくらいか? 人型の魔物だ。頭……というより口がとにかくでかくてな。手も長い」

 「人型? ゴブリンみたいなもんかの? 話、通じるのかの?」

 「ゴブリンなんぞと一緒にするな。危険度は段違いだぞ。恐らく仲間内には何らかの言葉はあるだろうさ。俺達には通じねぇけどな。見つかったらすぐに棍棒振り回して襲って来るぞ。で、捕まったらはらわた引きずり出されて喰われちまう。交渉なんか無理だ。諦めろ」

 「ふぅむ。色んなのがいるのぉ」

 『話は終わったか? 帰るのなら、お爺。ブラッシングだ』

 「うん? 沼、ちょこっと見て行こうと思うが、ええか?」

 『うむ。なんか美味いものがあると良いな』

 「そうじゃなぁ」

 ……

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