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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
238/520

そして新たな出会いだってな! (湿原へ!)

 …… 


 クマたちを連れて早速、西門に。

 今回のミッション、参加者は、カンイチ、ガハルト、イザーク、ミスリールの4名だ。ハナが行くところ、フジも参加。

 

 彼等は特に依頼を受けるというわけではないので、ギルドには寄らず直接門に。

 門にはまだ多くの冒険者たちが屯っており、フリーの者が傭兵のように一日幾らと書いた板を持っていたり、その場で人員の募集をしてるチームもある。

 

 「ようよう! そこのお兄ちゃん! 一日どうだ?」

 「おい! 横入りすんな! 今交渉中だ!」

 「採取品は20%でどうよ?」


 などなど。あちらこちらで交渉も行われている。が、カンイチのチームに声を掛けるものはいない。カンイチの雰囲気がそうさせるのか。いや、ガハルトの強面だろう。

 

 「日雇いの冒険者か……怖くて背なんぞ預けられんじゃろうに」

 「まぁな。盗賊紛いの者もいる。注意が必要だな。特に、門の外にいる連中はな」

 確かに、門から離れたところの街道上にも居る。利便性か? それとも脛に傷ある身の上なのか。

 「大体、幼馴染や、研修の時に一緒だったのと組むんですが……。俺が言うのも何ですけど、解散とかもあるし……」

 「そりゃ、しょうがなかろう? イザーク。俺らは人だ。考え方の違いもある。出会いがあれば別れもな、そして新たな出会いだってな!」

 「ガハルトの言う通りじゃ。さて湿地か、何が採れるかのぉ。セリが生えとるとええのぉ。お浸しはアールも好きだで」

 「くくく。お惚気ですかぁ。カンイチさん?」

 「わるいかのぉ。ガハルトさん?」

 「そ、そうですね! そして今がある!」

 「ぅん? ま、その意気じゃで。イザーク君」

 …… 

 

 門を抜け、街道から外れれば、踝くらいの草が繁茂する草原に。この辺りは放牧地にもなってるようで、武装した連中が、馬や、牛を追う。一応だが木の柵もあるようだ。

 「ほう。牧場か?」

 「ああ。馬車の貸し出しも行ってるようだな」

 「湿地じゃ使えんじゃろ? 馬車なんぞ。嵌ったらどうすんのじゃ?」

 「さてな。ちゃんとしたルートもあるのかもしれん。ま、近場での猪狩りでもあった方がいいぞ。”収納”なんてスキル持ちはそうそういない。マジックバッグも高価だからな」

 「そうか……重いものな。あ……そうじゃ。マジックバッグ、分けないとダメだな。金も……」

 盗賊の鹵獲品のマジックバッグ、未だに”収納”に死蔵したままだったことを思い出す。カンイチには必要ないからすっかり失念していたようだ。

 「金……かぁ。額がでかすぎて、逆に皆、無頓着になってるわなぁ。使える時、使えるし……。それに、カンイチの”収納”の中だしな? 安全だ」

 金についても、皆、最小限のものは持っているし、必要な物は直ぐに買う。そもそもが、このチーム。イザーク以外は小金持ちだった。そのイザーク君も今や、蛇や香草でそこそこ稼いでいる。

 女性が三人いるが、うち二人はドワーフ。売る側だ。アールカエフ? 花より団子だ。

 「……カンイチ財布? ぷくす」

 「おいおい、イザーク坊ちゃん……。師匠に悪いだろ……ぷぷぷ」

 「……全部持って夜逃げしちゃる!」

 ”ははははは”


 多くの冒険者たちが毎日、毎日歩き、踏み固めただろう、道を西に向かって進む。もちろん、クマたちの手綱は外してある。危険を感じないのだろう、カンイチ達の周りでじゃれて遊んでいる。

 

 「しかし、広いですねぇ~~。あ! あれが、昔の外壁でしょうか?」

 「かもしれんの」

 なにも遮蔽物の無い草原。そこに、2mくらいの緑の壁が。城壁も朽ち、崩れ、その身を自然に任せている

 「こう見るとかなりの面積、喰われたようだな」

 と、周りを見渡してのガハルト。

 カンイチもこの壁が生きていたらばと思いを馳せる

 「人も見えますね。結構いるなぁ。採取ポイントかもしれませんね。ガハルトさん」

 イザークの言う通り、緑の壁と化した古代の城壁に動くものが。魔物ではなく冒険者のように見える。

 「行こうか! あの先が湿地だろ? 採取にしたってそこからが本番だ! 行くぞ! クマ!」

 駆けだすガハルトと犬達。

 「……狩りもじゃろが。……注意せぃよ」


 ”ぶっぴ……ぶぴぴぃ……”

 「うげぇ! 気色悪いぃ……足がぁ……」

 脛の中ほどまで泥に沈む

 木の棒を杖代わりに奮闘するイザーク

 「おぅ……もっとミズゴケとかが繁茂してるかと思ったが……」

 カンイチは、ミズゴケや水草のある場所を選んで踏み込んだが結果は同じ。

 ”ぶぷぷ……ぶっぴ”

 「……湿地はダメだな。道を征こう。こう足を取られてはな……」

 ガハルトはすぐに固い道に上がる。そもそも、ガハルトが泥に嵌ったら大変だ。

 「それに臭い……ですねぇ。あれ、クマたちは? ……軽いから?」

 4つ足というのもあるのだろう。泥の上を沈まずに器用に歩いている。だが、クマたちも不快感を感じているのだろう。必要以上にカンイチ達を追わない。普段であれば前を行くのだが……

 フジは、はるか後方。湿地には近寄らない。カンイチ達の様子を窺う。汚れたくはないのだろう。

 「ま、どのみち、湿地はダメじゃ、道に戻ろう。ガハルトがはまったら引っ張り出せんぞ」

 「はまらんわ! ”ぶっぴぴぴ……” お? おお! や、ヤバイ!」

 慌てて駆けあがるガハルト。

 「それにしても……正解でしたね、ミスリールさん」

 そんな彼らを横目に、水草と泥の上を、すいすい……というよりも、ずるりずるりと移動するミスリール。その足元には、例の”潟スキー”。

 そう、有明海の干潟で使われている、長さ、約2m、幅30cmの泥ソリだ。御丁寧に道具入れの箱も載っている。カンイチが重いドワーフ族もこれならばと提案したものだ。

 「うんうん。これなら沈まないで移動できるね。泥を蹴るのも楽だし。こういった場での採取にも向いてるんじゃない? 後は体力次第?」

 小さい身体でも、太い筋繊維と頑強な体を持つドワーフならではと言ったところか。一向に疲れを見せない。

 「まずまずの成果じゃな」

 「うん。親父と母ちゃんの分も作るか。ガハルトさんも要るか?」

 「う~ん。そうだなぁ」

 「あ、ミスリールさん、オレ、欲しいかも? 採取用に」

 「まいどぉ~~!」

 

 湿地から上がり、人の作った道を伝い奥に向かう。

 最初はあちこちに走っていた道もだんだん少なく、細くなっていく。

 「ふぅむ。ここらは入口と違って、湿地も幾分綺麗か? ミズゴケが結構生えておるの」

 そういいながら、ミズゴケをバンバン収穫していくカンイチ。落ち着いてから楽しむ”園芸”のためだ。

 「カンイチさん? そんなのどうするの?」

 不思議そうに尋ねるイザーク。もちろん食えぬし、依頼にも出ない植物だから。

 「うん? ちょっとの……ランやら面白いのがあれば栽培しようとおもっての。趣味じゃ、趣味」

 「ふぅ~~ん」

 「おい、気を付けろよ。比較的安全と言ってもな」

 ”ぅおん!” ”ぅわん!” ”ぅをん!”

 「うん? 何かいるのか? 行ってみよう!」

 クマ達がいる方に駆けていくガハルト。湿地も意に介さずに。

 「……嬉しそうじゃな。……まったく。行くぞ。イザーク君」

 「はい。”ぶっちゅ!” ぅげ、はまった……でも、このジカタビ、いいですね」

 「うんむ。ユーノさんと、カエル殿のおかげじゃて。今も繁盛してるじゃろか……」

 ふと、極上のハグを懐かしむカンイチであった

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