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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
237/520

あ、危な! あぶ、あぶ!

 …… 


 「おはよう! カンイチ! イザーク!」

 「んぉ? 今朝はやけに早いなガハルト。おはよう」

 「おはようございます。ああ……なるほど……」

 イザークの見るもの。ガハルトの首に掛かる金属製のヌンチャク。両手にはそれぞれトンファー。

 そして、満面の笑み

 「ああ! さっそく鍛錬だな! カンイチよ!」

 「でしょうね……ガハルトさんだし……。ふぅ」

 ため息ひとつ

 「おいおい……。褌洗ってからなぁ」

 ……

 

 さっそくとガハルトにせがまれ、トンファーの使い方を説明。

 「ガハルト用じゃて、少々重いの……が、ワシだって使い方までわからんぞ?」

 映画のように取っ手を握ってブンブン回したり、そのまま突いてみたり。

 「この握り手がメインだが、ほれ、こっちの短い方を握って棍棒のように使ってもいい」

 トンファーの握り手の生えている短い方を握れば、鍔のついた棍棒のように使える。

 「面白い! どれ!」

 ”ぶぉん!” ”ぶぉん!”

 「ふん! ふん! なるほど。で、ここで受ける……と」

 さすがの戦闘種。こういったセンスはピカ一だ。受けの姿勢から流れるように打ち込み、突き、体術も織り交ぜ、仮想の敵を意識してかトンファーで受け蹴りを繰り出す。

 「なんか、凄い……ですね?」

 動きが段々かみ合って来た。すでに殺人技へと昇華されている。シャドウの相手が見えてくるくらいだ。

 「うむ……ワシがやった演武……必要じゃったか?」

 「まぁ、一応? 基本の使い方してるようですし?」

 と、イザークがフォローを入れる。

 「これは、刃物なぞ要らんな……。単純な形状だが、良く練られた武具だ! 素晴らしい!」

 ”ぶんぶん!” ”びゅ!” ”びゅうう!” 

 「うむ、打撃のみならず、棒のように体の自由を奪う用法……。こう……ふむ。腕や肩、捻るように……。こう絡め首を絞めるように……」

 武具の形状、今までの戦闘経験からどんどんトンファーの有用性を掴んでいくガハルト。既に体の一部のように振り回す。

 「……もう放っておいていいかの? あれ」

 「良いんじゃないですか? カンイチさん……」

 「じゃ、行くか……」

 ガハルトを置いて己の鍛錬に向かう

 

 「待て! カンイチ! こっちの……”ぬんちゃく”? だったか? どうやって使うんだ?」

 「うん? そんな物、ガハルトの好きに使えばよかろうが?」

 「……カンイチさん、さすがにそれは……」

 それは流石にと、

 「良いか、ガハルト……よく見とけ」

 渋々、ヌンチャクを手にするカンイチ。勿論、形状は知っているが、今まで使ったことなどない。

 「うむ。頼む」

 身を乗り出し、カンイチの一挙手一投足を見逃さないように目を凝らすガハルト

 その目は期待に輝く。

 「ふぉぉーーー! あちょぉーー!」

 ”ブンブン”と昔見た、香港の映画スターばりに振り回す。

 「あ、危な! あぶ、あぶ!」

 じゃらりとヌンチャクを近くに放る。

 「重すぎじゃ! なんでこいつも金属性なんじゃ! ミスったら死んじまうぞ! こんなもん!」

 「……物騒な武器ですね。カンイチさん……自爆用?」

 「イザーク君もやってみるか?」

 「死んじゃいますって……」

 「……で、カンイチ、結局どういう用法だ?」

 命がけで振り回したのだが……どうにもガハルトには通じなかったらしい。

 「……ブンブン振り回して幻惑からの遠心力を生かしての打撃、この鎖で武器を絡めたり、首絞めたり?」

 「なるほど……フレイルに似た用法だな。幻惑か……どれ!」

 ”ふひゅん!” ”ひゅん!” ”ひゅん!” ”ひゅん!”

 カンイチの触りの部分。肩や、腰で回したり、

 ”びし!”

 小脇に挟む

 「なるほどな……この質量なら……」

 ”ふひゅん!” ”ひゅん! ひゅん! ひゅん!”

 「はぁ!」 

 質量の乗ったヌンチャクが、

 ”ばかぁああぁん!”

 イザークの風呂樽を捉える! 樽が水をぶち撒きながら爆散!

 「ほぉおう!」

 ”ふひゅん!ひゅん!ひゅん!” ”びしり!”

 脇にヌンチャクを挟み、残心……満足に頷くガハルト

 「俺の……風呂……」

 憐れ、イザーク君の風呂が木っ端微塵だ

 「凄い威力じゃな。水が入った樽がバラバラになったわ」

 さすがのカンイチじいさんもびっくり仰天。まさか一撃でと

 「うむ! こいつは面白い!」

 「面白くないですよ! ガハルトさん! 替わりの樽、貰って来てくださいね!」

 「お、おぅ、すまん。イザークよ。よし! カンイチ! 手合わせだ!」

 「アホぬかせ! そんなもの食ろうたら死んでしまうわ! 鍛錬もええが、ちゃんとイザーク君の風呂樽、貰って来いよ!」

 「そうですよ! じゃ、俺、飯食ったらギルド行ってきまーーす」

 「イザーク、俺も行こう!」

 

 ……

 

 それから、一週間。カンイチ、ガハルト、イザークは午前中は鍛錬、午後はクマ達の散歩。

 ドワーフ一家の方は、ダイインドゥとミスリールは鍜治場に。ディアンは午前中はカンイチ達と鍛錬、午後は細工所に。ああ見えて、ドワーフの装飾品の細工師でもある。

 アールカエフ? 彼女は自由だ……

 

 その間にもカンイチのイラストを基にしたユニークな武具類がダイインドゥの手によって続々と生み出され、ガハルトを大いに喜ばせることとなる。特に中国武具がお気に入りだ。都度、試し、用法とカンイチが連行される。

 平行してダイインドゥは”大砲”の研究にも着手。只今、手筒花火のような物が完成している。小さなバズーカのようだ。さらに大型化を狙っているという。

 ミスリールは愛用のアーヴァレストの改修、連射機能と、鉄球射出の考察をしている。鉄球は脳震盪狙いだ。もちろん熊などの大型動物・魔物用だ。人であれば食らえば肩から上が消し飛ぶだろう。

 

 ……

 

 「よし! 予定通り、今日はイザーク君提案の湿地帯に散策に行くんじゃが……親方達はどうする?」

 「ワシか? う~む。一応、”潟スキー”じゃったか? カンイチが言うとった物……作ったが……」

 普段であればハンマを振って飛び込むダイインドゥも、浮かぬ表情。どうにも行きたくないようだ。

 「オレ、湿原はパス! 行かない!」

 ディアンははっきりしてる。最初から行かないと宣言済みだ

 「よし! ディアン君! 僕と買い物に行こう!」

 「おう!」

 「……じゃ、アールもパスじゃな」

 アールカエフも同じ。

 「悪いね、師匠。ドワーフ族ってどうしてもねぇ。水辺はね」

 「ミスリールも無理せんでいいぞ?」

 「オレは行くよ。”潟スキー”の検証したいしね。”自然環境型”のダンジョンだったら湿地もありだもんなぁ」

 「ん? 何じゃそれは?」

 「あれ? 言わなかったっけ? ダンジョンの階層に山やら川、砂漠ってのもあるみたいだよ?」

 「うん? ダンジョン国のダンジョンって一個じゃないのかの?」

 「ああ、大きいのが3カ所あるぞ。小さいものは多数」

 「ほーーん。……一階から底まで、全部畑のダンジョンって無いかの?」

 とぼそりと漏らす。

 「ははは! ホントだね! 師匠が欲しがりそうだわ!」

 「カンイチらしいのぉ!」

 「カンイチ、態々、餌まで用意して人喰うためのダンジョンだぞ? 呑気に畑なんぞ出来まいよ?」

 とガハルト

 「そうですね。……安全なダンジョンって無いもんなぁ。でも畑だけのダンジョン……あったらいいなぁ」

 最近、畑の良さに気づいたイザークも賛同の声を上げる

 「だのぉ。じゃぁ、とりあえず行くとするか」

 ……

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