表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
231/520

……何でさ!

 …… 


 裏路地の骨董品を扱う露店で買い物を済ませたカンイチ

 交渉も上手くいき、金貨4枚で魔剣のナイフと青い石を手に入れることができたと上機嫌。店の親父の表情を見ても赤字ではないだろう。お互いに良い取引だったようだ

 

 『ちまちまと……盗賊退治で金子だかは余計にあろうに?』

 そんなカンイチの様子を見てフジがぼそり。

 「交渉自体が楽しいのじゃ。フジよ。ま、面白い物が買えたでの」

 『そんなものか? 我にはまだ良く解らん』

 「ま、人の世の事じゃてな」

 「で、カンイチ、そんなナイフどうすんのさ。石ころ? 宝石? ま、奇麗だけど?」

 「うん? ”鑑定”しておらんのか? アールよ?」

 「うん? 鑑定? どら。……? ……石じゃん?」

 「? うん? 石? わしの”鑑定”じゃ”魔石”とあるがの?」

 親指と人差し指で摘まみ、太陽にかざすカンイチ。

 魔石と聞いて目の色が変わるアールカエフ。彼女の知識には無い、青色、真球の物体だ

 「へ? 嘘? 魔石? 触っていい?」

 「うむ。もちろんじゃ。わしのとアールの”鑑定”じゃ違うのかの?」

 「どうだろう? カンイチは特殊だし? どれどれ……お? 魔力の通りも良いね! すごい! 効率がいい? ……うん? ……! ……ひょっとして、これって古代の圧縮魔石か!? こ、これ頂戴! カンイチ! お願い!」

 「お、おう。構わんぞ。アールよ。そいつで風呂釜の出力アップか?」

 『良いな! 我もほしい!』

 風呂好きのフジの食い付きも良い。

 「……違うよ。……何で風呂釜? 今ので十分だろう! さらに出力アップしたら、まっかっかの茹でカンイチになっちゃうぞ! ……もう。研究資材さ。その成果次第じゃ、風呂釜の性能もアップするだろう!」

 「そいつは楽しみじゃな」

 「で、カンイチ、そっちのナイフは?」

 ワクワク顔のアールカエフ。

 「これか? よぅわからんが……こいつにも見えんが魔石がはまっておる。親方に見せてから魔力を入れてみよう。爆発したらたまらんでな」

 「ふ~~ん。本当に魔剣?」

 「さての。その辺りも親方ならわかるじゃろ?」

 「よし! 片っ端に見て行こう! カンイチ! 掘り出し物の発掘だ!」

 「……こういうのは出会い物じゃて。あんまり、がっつくなよ、アールよ」

 ……


 「ふぅ。結構あるものじゃな。掘り出し物」

 「……」

 ぶすっと少々不貞腐れ気味のアールカエフ。

 どうやら値切れなかったらしい……

 「……何でさ!」

 「……まぁ、あれだけ鼻息荒けりゃの。欲しいの丸分かりじゃわい」

 僕が交渉する! そう宣言し、自信満々、交渉の場に立つアールカエフ。

 むふーー! むふーー! と鼻息荒く交渉。店の店主も言い値の”定価”から一歩も引かない。カンイチの言うように欲しいことが丸分かりだ。

 しかも、エルフが欲しがる逸品。明日には値が倍になっていよう。

 そこはサクッと、カンイチが先方の言い値で購入。で、現在に至るわけだ。

 

 「ま、良いじゃろ。素直なアール……。そこも良い所じゃ」

 ぽむぽむとアールカエフの頭を撫でるカンイチ。

 「……カンイチ……でも納得できないよ! 僕は!」

 手をぶんぶん振っての猛抗議。

 カンイチに抗議しても仕方がないのだが。

 それも好ましく思うカンイチ。

 『うん? 終わりか? なら、串焼きを食おう!』

 「だね! 自棄食いだ! 行こう! フジ殿!」

 「おいおい……」

 ……

 

 「ただいま~~」

 「戻った」

 デートも終わり、屋敷に戻って来たカンイチとアールカエフ。

 「外の馬車は何じゃ?」

 門のわきに馬車が止まっていた。昨日の馬車と違うので聞いてみる。

 まさか、アールへの特使かと。

 「おう! 丁度ええ! 今日も飲み会じゃ! カンイチも来るか?」

 「おう! 来い来い!」

 と、勢いよく出てきたドワーフ夫婦

 「はぁ? 今日もかよ? わしは遠慮しておくわ。フジもおるしの。折角だし、親方たち、楽しんできてくれ」

 「そりゃ、残念じゃがな……。アール殿は……大分食ってきたようじゃな」

 ダイインドゥの視線の先には下腹部ぽっこりのアールカエフ。

 「おいおい…。この短時間で妊娠か? アール殿。妊婦みたいだぞ?」

 とディアン。

 「けふぅ……失礼。自棄食い? もう、今日は何もいらないや」

 「じゃろうの……じゃ、参加はガハルト殿か? イザークはどうすんじゃ?」

 「おう! だが、昨日と同じくらいに帰るぞ?」

 「俺も」

 「……今日はそんなに遅くはなるまい……よ? のぉ、ディアンよ?」

 「そうか?」

 ……今日も徹夜で飲み明かすのだろうのぉ……と、思うカンイチだった。


 メイドさんに夕食は要らぬと告げ、裏の牧場に。

 アールカエフとフジは暖炉の前で居眠り中だ。

 カンイチの足音に反応し、駆け寄ってくるクマ達。

 「おうおう。うん? 綺麗になってるの。イザーク君か? 彼にも本当に世話になっておるの……まさに縁の下の力持ちじゃな」

 ”ぅおん” ”わぉん!”

 「ほ! お前たちもそう思か。ふふふ。明日は兎狩りは行けるじゃろうて。ま、ここも広いがの。よかったわい。さてと、ワシはハクの所にいくで」

 

 ハクの体を洗い、奇麗に拭きあげる。

 「お前さんもゆっくりの。だいぶ走って来たでな」

 ”ぶるるるるぅぅうう……”

 

 「おーーーーい! カンイチ! 水臭いな! 誘ってよ!」

 「うん? 鼻提灯で居眠りしてたじゃろが」

 手を大きく振ってアールカエフがやって来た。

 「ほんと? 鼻提灯? うっそ!」

 「ははは。冗談じゃ。折角出て来たんじゃ。庭でも見せてもらおうか」

 「……もぅ。そうだね。折角だし?」

 腕を組んで歩くカンイチとアールカエフ。

 「うん? もう腹、凹んでいるのぉ……」

 「あんなの、ちょっと寝ればすぐに消化さ! 肉食エルフの面目躍如?」

 「……肉食エルフ。実在しているのじゃな」

 と、しみじみ。

 「ねぇ、カンイチ。人族は何で”庭”を造るんだろうねぇ」

 「うん?」

 「だってさ、自然のままのが良いじゃない。それを態々、木を切り倒してまた植えて?」 

 「……そうさな。敷地に木を植えて。もちろん生活の一部にでも緑があれば気も安らぐが……。自然を意のままにしたいという欲求があるのかもしれんな」

 「傲慢の何ものでもないね。園丁さんには悪いけど」

 「ま、自然とは違った、人の技、工夫の美しい所もあるがの」

 「そこがわかんないんだよねぇ。僕達エルフには。人族の城やらこういった屋敷の庭見ても何も感じない」

 「種族特性とやら? かの?」

 「カンイチ! それ、都合よく使い過ぎ!」

 「じゃな。ふふふ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ