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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
外国へ!
225/520

いい歳こいてダンジョンか?

 農村を出て途中、野営一泊。

 特に変わる事も無く、国境の町。城塞都市【コズクラ】に到着した。

 ぐるりと大きなレンガのようなものが積まれた城壁に囲まれ、国境の町ならではの堅牢さを見て取れる。戦ともなれば前線基地の砦となる。

 

 「ほう。ここの城壁も立派じゃな……焼きレンガ?……版築はんちく(土を突き固めた壁)かの?」

 「いや、これは魔法……土の形成魔法だね。古い時代の建物だねぇ。よくもまぁ、今でも保ってるものだ」

 「アールもできるのかの? これ?」

 「こんなに広いと無理だね。途中で飽きる」

 「飽きる……のかよ。まぁ……分からなくもないがの」

 「そもそも僕はあまり土魔法は得意じゃないのだよ。風魔法が得意かなぁ」

 「他にどんなのがあるんだ?」

 「う~~ん。僕は精霊魔法だからね。どんなものでもあるよ? どんなものにも精霊様は宿るからね」

 「なるほどのぉ。じゃ、草を伸ばしたりも?」

 「うんうん。そういった事が上手な人もいるね。あ、この場合の人とはエルフ族だよ。そうそう、城壁なら、親方たちに頼む方が早いよ?」

 「うむ。ワシらドワーフ族は土の精霊様と火の精霊様をお祀りしておるでの」

 「カンイチも魔法使い目指す? 魔力も十分あるしぃ」

 「わしが目指すのは、この世界一の農家じゃ!」

 「……うん。それでいいよ。カンイチは……」

 「……うむ。じゃの。カンイチは」

 「うん?」

 ……

 

 「エルフ殿、滞在はいかほどに?」

 入町審査に臨むカンイチ一行。

 どうしてもアールカエフは目立つ。

 「そうだねぇ。気分次第? 先に言っておくけど、今は定住は無いよ! これからダンジョンを覗きに行くんだ! 楽しみさ! 補給と休息が取れればすぐに立つよ」

 「……それは残念です」

 「しかし……すごい陣容ですな……ダンジョンの深いところも覗けそうでご座いますね」

 身分証を確認する門兵。ふと、和む……

 「……」

 それをみてぶすっとするイザーク。彼の”鉄”の身分証だ……。


 「おいおい。機嫌直せよ。イザーク。くっくっく」

 「別に……。でも、顔に出さなくともいいじゃないですか」

 「イザーク君、わしの身分証かも知れんぞ? 今じゃ、アールの婿じゃし?」

 「……あ。そうですね」

 表情がぱっと明るくなるイザーク。単純である。

 「もっともワシはどうでもええがの。さて……と。宿を探すかの」

 「貸家聞いてみよう。一週間くらいいるんだろ? ここなら(鍛冶師)ギルドもあるだろうし? なぁ、親父?」

 「ふぅむ。そうじゃな。人数も多いし……その方がええな。」

 「ギルド……?」

 ギルドと聞いてピクリと反応する

 「うん。鍛冶師のね。結構金回りの良いギルドだから遊んでる家の一軒や、二軒あると思うよ? 無ければ商人ギルドに行けばいいし」

 「おお! ミスリールはそのギルドに?」

 「うん。親父も母ちゃんもね。うち、鍛冶屋だし」

 「そじゃったな……」

 

 ――最近、親方は鉄ではなく人を打ってるでのぉ……すっかり忘れていたわい

 と、物騒なことを考えるカンイチ。

 

 鍛冶師として、高名な親方、個別販売等直接商売もしている。よって、鍛冶師ギルドと、商業に関わる商人ギルドに所属している。


 カンイチ達はここで休暇を取ることに。クマ達も一緒に長期滞在できる宿屋、貸家があればだが。町の規模も大きいし、交易都市である。物の流通も多く、退屈しないだろうと。

 

 ”がんらばらんらら……♪”

 「いらっしゃいませぇ。鍛冶師ギルドにようこそ。親方衆ですね」

 「うんむ。ギルド長か、その下の……ま、偉いもんはおるか?」

 「身分証よろしいでしょうか?……はい。ダイインドゥ様ですね。少々お待ちください」

 身分証を見て、小走りに奥に行く受付嬢。受付嬢、目に付く事務員は皆、普通の人族だ。

 「うん? 親方、知り合いがいるのかの?」

 「どうじゃろかの? 十年くらい前まではおったがのぉ。ま、一人くらいはおるじゃろがの」

 ”どがどがどがどが!” ”どん!”

 大きな足音と共に、扉が吹きとぶように開けられる……が、誰もいない。いや、背の低い白髭の老人。ドワーフ族だ。

 「おうおう! ダイインドゥ! 久しぶりじゃの! ディアンも一緒か!」

 「おう! まだ、生きておったか! 爺様!」

 がっしりと抱き合うドワーフ達。

 「よぉおぉおし! 再会を祝して一杯行こうぞ! ナラ(受付の女性・人族)! ドノヴァンのジジィにも知らせてやっておくれ! そうさのぉ……『ディチェーコ』におるでの! さぁさ! 征こうぞ!!!」

 「おう! 爺様ぁ! 久しぶりだなぁ! オレの娘のミスリールだ。親父に似て鍛冶と、細工物が得意だ!」

 「初めまして! ドルトゥムントの爺様! ミスリールです」 

 「おうおう! なかなかの別嬪じゃ! 鍛冶師とは結構結構! よし! 酒じゃ!」

 「うんむ。酒もええが、その前に相談じゃ! 爺様!」

 「うんむ? なんじゃ?」

 「ギルド所有の貸家、あるかの? ワシら、ダンジョン覗きに行こうと思うての。ほれ。仲間達じゃ」

 「なるほどの。……いい歳こいてダンジョンか?」

 「爺様には言われたくないの。ま、そんな訳で、途中のこの町で休憩せようとおもってのぉ」

 「ふんむぅ……」

 腕を組んで少々考え込む老ドワーフ。

 「老師様、去年買い取った貴族の別荘……あそこなら広くていいのでは? 管理人も置いてるから奇麗ですし?」

 と、ナラ女史が耳打ちを。

 「そうじゃ! あったのぉ、そんなもん……。うん? もう売っぱらったと思ってたぞい?」

 「……もう。年度末の会議で『宿泊施設』に改造するって決めたでしょうに……老師様」

 「そうじゃったけか? ……ま、都合がええの! そこ使え! ダイインドゥ!」

 「おう! で幾らじゃ?」

 「構わん、構わん。どうせ一年もおるまいて。自由に使え! ぃよっしゃ! 家、案内して酒じゃ! 酒ぇ!」

 「では、老師様はここでお待ちください。私が案内してきますから」

 「む? 何でじゃ?」

 「老師様は早く早くとせっつくでしょ? ダイインドゥ様は到着したばかり。ひと時の休憩も要りましょう? 老師様はお仲間の親方衆に声を掛けられたらいかがでしょうか?」

 「なるほど……の。じゃ、日が暮れたらディチェーコに集合じゃ! 客人も来るとええ! 歓迎しよう! ではの!」

 ”どすどすどすどす……”

 そう言って、奥に駆けてゆく老ドワーフ。とってもパワフルで元気だ。

 「じゃ、参りましょうか。ダイインドゥ様」

 「うんむ。が、良いのか? 爺様はああはいったがのぉ……」

 「はい。問題ありませんよ。遊んでる施設ですし。それに、初めまして、アールカエフ様。ご案内出来る事、光栄にございます」

 「うん? そう? それは良かった! うんうん!」

 「……アールよ」

 「では参りましょう。馬番もおりますので。そのままで」

 

 ――ほぅ。この女性は出来る……のぉ。知性が感じられるわい。感心感心

 と妙なところに感心しているカンイチだった。

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