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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
目指せ! ダンジョン国!
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貴殿の幸運に

 門衛に案内されて隣の詰め所に移動。

 馬車にぶら下げていた血濡れの麻袋を開けて収穫物を披露する。

  

 「うん? こいつは! グリストじゃないか? 鑑定士! 頼む!」

 「……”鑑定”そのようですね。間違いないようです。鑑定証を発行いたします。こちらのは、ホルですね。徒党を組んでいたか……。他に首は?」

 「うん? 他のは道に打ち捨てて来た。アジトにいた連中のは燃やしてきた」

 「そうか……で、カンイチ殿、こいつは何処で?」

 「街道で襲われ、確か……ハッサク……じゃなかった、ハッサンだったか? ……奴の治める町の裏山の炭焼き小屋がアジトじゃった……だったな。盗賊村のようだった」

 「! ハットと、テナージを拘束しろ! 奴ら金貰ってんな。裏切り者め!」

 「はっ! 今日は非番、捕えてまいります!」

 「小隊で行け! 歯向かえば斬ってかまわん!」

 「で、ですが……隊長、容疑は? ハット副官は……」

 「盗賊との癒着だ。ハッサンの村、前から良い噂、聞かねぇだろう? 何もねぇのに金回りが良い……。そんで、裏山の炭焼小屋へ調査に行ったのがハットたちだ」

 「そういえば……その後も村の調査には……」

 「そういうこった! 気を付けて行け!」

 「「はっ!」」

 「すまん、身内の恥だ。今、”懸賞金”を用意している。もう少し時間を頂きたい。役所に取りに行っている。金額が大きいからな」

 「そいつは構わんよ」

 「しかし……あの村にも調査を入れんと行かんか……」

 「あ……その村長のハッサンとやらはもういないぞ。うちの仲間の”因縁の相手”じゃ……だったそうで、真っ二つだ」

 「……因縁の相手? それはどういう?」

 「ディアンさん」

 カンイチに呼ばれてディアンとダイの親方が前に。

 「めんどくせぇなぁ……昔、ハッサンに騙されてなぁ。家族皆苦労したんだ」

 「ワシからも説明を……昔の事じゃ、訴えの控えなぞ残ってないかもしれんが……」

 

 ハッサンの正体、過去の盗難事件などをダイが説明。なぜか、現場にいなかったイザーク君の補足も入る。ディアンが喋るより、数倍の情報量を持っているから不思議だ。

 イザーク君にも精霊とやらが付いてるのかと、真剣な面持ちのカンイチ。精霊は見えないが

 

 「なるほどな……どれ……」

 キャビネットの端に納められた古い書類の束を引っ張り出し、捲っていく隊長。

 「一応、”人族”の手配は容疑者の年齢が100になるまで取ってあるんだよ。それ以上、生きて逃げおおせれば、恩赦、ご褒美ってね……っと、あった、あった。ハッサン……鍛冶師のダイインドゥ殿で間違いないか?」

 「うむ」

 「しかし……よくも会えたもんだ。貴殿の幸運に」

 「うむ!」

 「うん? 衛兵さん斬ってしまったが、お咎めなしか?」

 ふと、疑問に思ったことを聞いてみる。窃盗で死罪かと。

 「ああ。仇みたいなものだしな。構わんだろさ。強盗、窃盗……強姦……と。結構な訴えが出てる。盗賊村で好き勝手やってたんだ。真っ当じゃ無かろう。どうせ斬首さ」

 「しかし、逃げ得じゃなぁ」

 「ま、本来は調べないといけないのだが、町、村には判定機があるだろう? それに……この量な。……到底……な」

 壁一面の巨大キャビネット……これが全て手配書ならば……

 「……町に入ってこなければ良しと言う訳じゃな」

 「国境もな。重犯罪人は周辺国の間でも情報交換してるんだ。が、罪人が今回のように村を作ったり、乗っ取ったりする場合も結構ある。流れ者の町な。盗賊や、馬賊の交易の場にな。罪人も集まりやすい。貴殿のおかげで一つ潰せたんだ。ここらも少しは良くなるだろう」

 ……


 報奨金が届くまでの時間で、クラフトから紹介された系列店の書かれたレストランの案内を確認するカンイチ。それによるとこの町にも店舗があるらしい。

 そのレストランの名は『ママーのレストラン』。家庭料理が主なのだろうか、とぼんやり思うカンイチ

 それともう一枚取り出したのは、この世界初のポイントカード。そう、アカリノで厄介になった従魔と共に泊まれる高級宿屋、『従魔の友』だ。詰所に居た隊員に聞いてみる。

 

 「ああ、あるよ。大通りを真っすぐ。右側に。結構大きい建物だからすぐにわかると思うよ」

 と。これで、その宿を押さえられれば、この町での宿泊が決まるのだが

 「オレが先に入って宿押さえてくるよ!」

 それを聞いたディアンが勢いよく立ち上がり、それにダイの親方ものそりと続く。

 宿泊が決まらない事には安心して酒も飲めない。

 

 このパーティの特徴である従魔たち。大きな町での宿泊時にはいささか問題となる。

 いや、本来ならば、特殊な従魔以外は『冒険者ギルド』の用意した宿やら、狭いが安く従魔と泊まれる宿、少ないがペットホテルのように従魔のみを預ける場所もある。その場合は宿が用意した檻か、自ら持ち歩いてる檻に入れて管理することになる。『従魔の友』なんて高級宿は余程実入りのいい動物使い、魔獣使い、特殊な従魔使いくらいしか利用しない。

 尤も、フジが加わった今。従魔の友クラスの宿でなければ納得しないだろう。

 

 「構わんが……? 親方?」

 「しょうがないのぉ……ワシも一緒に行ってくるわい」

 そういって夫婦二人して宿を押さえに出て行ってしまった。

 「……余程、酒が恋しいのじゃなぁ……」

 「ごめん……師匠……恥ずかしい……」

 「ま、仕方なかろう」

 「ねぇ! まぁ~だぁ~? 僕、滅茶苦茶、暇なんだけどぉ……。ねぇ、フジ殿ぉ!」

 フジの背にだらりと抱き付くアールカエフ。フジは少々困り顔だ。

 「もう少しじゃろ。これが終われば飯にしよう。……わるいのぉ、フジ」

 『……かまわん。が、先に、ハクに水を』

 「うん? 了解じゃ! 助かる。フジ」

 ハクに水を与えてる間に、懸賞金が届いたようだ。ガハルトが処理を行い、晴れて入町を認められた。

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