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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
目指せ! ダンジョン国!
209/520

まさに財宝だな!

 …… 


 ぽつんと一人残されたカンイチ……

 ガハルトの方も直ぐに終わりそうだ。

 

 ――ワシ、さっきからすることがないのぉ。……ダイの親方夫妻があんなに凶暴だとは思わなんだわ……

 と、ダイインドゥ夫婦の消えた建物に目を向ける 

 

 『ギャーーー!』

 その小屋から絶叫が……

 「うん? 小屋に未だいたようじゃな。ワシも他の小屋、調べたい所じゃが……爆火玉あれ放られたら不味いのぉ。ここは大人しく待っているか……」

 「師匠! お疲れ様?」

 そこにミスリールがやって来た。愛用のアーバレストを肩に担いで。

 「おう! ミスリール。射撃は上々、見事なものよ」

 「ありがとう! でも、ガハルトさんの作戦……。隙を突いての突貫あるのみ? 分かり易くていいけどさぁ……」

 「ま、脳筋さんの作戦だで。それにしても……親方達ものぉ……」

 「ああ、あれなぁ。うちの母ちゃんがなぁ……。ちょいと恥ずかしいわ、脳筋で。うん?」


 村の方から帰って来たのか。荷物を背負ってきた男がカンイチ達に向かって剣を構える。

  

 「お、おい! ガキ! これは……いったい、ど、どういう事だぁ!」

 威勢よく声を出したつもりが、声は震え後半は上ずる

 カンイチ達に警戒しながらぐるりと見渡す

 ”ごくり”

 彼の目にも血溜まり……多くの死体が飛び込んでいるのだろう。中には見知った顔もあるはずだ。

 

 「どうも何も……盗賊退治じゃ。知らんとは言わせんぞ。で、お前さんも盗賊の一味か? なら、ここで排除せんといかんが? ミスリールよ。盗賊相手の商売は何かの罪になるのかの?」

 「そこまでは罪に問えないんじゃない? お貴族様なんか盗賊みたいなもんだわね。中には裏で盗賊をなさっている御方もいると聞くしね」

 「本当かよ……。で、お前さんは、盗賊の一味か? それともここに商いに来たのか?」

 「……お、おれは、む、村の者で……荷物を届けにここに……」

 「そうか。なら、死にたく無かったら、さっさと去ね!」

 「ひ、ひぃ!」

 尻もちをつく男、剣も放り、尻を摺りながら一刻も早くここから離れようとするも、

 「うん? カンイチ。なんだ? そいつは? 賊の援軍か?」

 「ひ……」

 血刀を下げて現れた、大男。そう、ガハルトだ。その姿を見て村の男も卒倒寸前だ

 「あの手前の農村から物資を届けに来たそうじゃ」

 「ほぅ……」

 「一応、賊と知っていて商売してたんじゃ。国境の連中に言うくらいでええか?」

 「ま、言ったところでどうにもなるまい。特に違法でもないしな。放っておけ、放っておけ。サッサと財宝回収して先に進もう!」

 「それもそうじゃの……で、財宝は?」

 「うむ。見つけたぞ。これだけの規模だ。結構な量だぞ! まさに財宝だな!」

 「じゃぁそうするかの。おい、若いの。余計な手出しは無用じゃぞ」

 「あ、ああ!」

 村の男を残し、中央の建物の方に歩を進めるカンイチ達。

 

 ダイインドゥ夫妻の小屋の調査も終わったようだ。今は、小屋に死体を放っているところだ。帰り際、燃やすという。

 「ご苦労じゃな。親方」

 「うむ。どうしても盗賊は無くならん……」

 「人の命を奪うのに何の躊躇もない屑共。殲滅あるのみさ。一応、頭目の首は掻いておいたが?」

 「国境警備の連中に検分させればいいだろう。カンイチこっちだ」

 ”頭”の出て来た中央の大きな建物に入って行く……


 すでに、床は剥がされており、そこには、ため込まれた金貨が几帳面に丈夫な革袋に入れられ積まれていた。銀貨等は木の箱に。宝飾品や、剣やら盾の武具も混ざる。

 「ほぉう……凄い……のぉ……」

 「ああ! ここまでため込んでる賊も珍しい。ここに在るってことは、このバッグとポーチ。この麻袋に見えるのもマジックバッグの類だろうさ。大儲けだな! はっはっは!」

 と、ご満悦のガハルト。

 「どれ……ほうほう。中々に良いナイフだな。こっちの剣は魔剣の類……かのぉ。 「どれ!」 ガハルト殿には使えんわい。折れちまうの」

 「それは残念……」

 ガハルト、ダイの親方、ディアンが金貨そっちのけで武具類を漁る

 それをポカンと見守るカンイチ。それでも警戒は忘れない。

 

 ディアンが古びた一本の剣に手を伸ばす。

 「アンタ! これって!」

 「ん? お? おお! なんでこれがここに!」

 一本の剣を巡り、驚くドワーフ夫婦。

 「うん? どうしたんじゃ?」

 「これな。ワシの師が打った最高の一本。手本に売らずに置いといたものだったんじゃ。ある冒険者に売れとせがまれてのぉ。断ったんじゃ。そしたら、その日の夜に盗まれてしまったわい」

 「ああ……オレが見せちまったのが悪かったんだが……。ハッサンの野郎! ……ここでくたばったか? 俺が素っ首、叩き落してやろうと思ってたのにな!」

 「ディアンよ。もうどのみち、生きてはおらんじゃろうさ。人族だしのぉ」

 「そうだなぁ。くそ!」

 「うん? ハッサンと言えば……”ミスリル”だったか?」

 ガハルトの記憶にもあるらしい、最高位、ミスリルの冒険者。

 「ああ。口先野郎だったがな。おまけに手癖も悪いときたもんだ。”偽ミスリルの詐欺野郎”だ!」

 「とんでもねぇ屑野郎だな。断られたからって盗むか?」

 「ほれ。ガハルト殿、貴殿が使うと良い」

 ひょいと、再会の叶った剣をガハルトに放るダイの親方

 「うん? 良いのか? 親方?」

 「うむ。使ってナンボじゃ。飾りじゃないでの。普段使いに良かろうが」

 「ほう……」

 スラリと鞘から引き抜き、その白く輝く刀身をじっくりと堪能するガハルト

 「どうじゃ? ワシが打った方がモノは良いじゃろが! はっはっは!」

 「頂こう!」

 「のぉ、ガハルト、親方。検分しながらじゃキリが無いで、”収納”に入れちまうぞ?」

 「うん? ああ、そうだな。悪い」

 「うむ。頼む。カンイチ」

 「”収納”っと。さてと。アールに合流しようかね」

 穴倉にしまってあった金銀財宝、武具類が”ぱっ”と消える。地面に空しく空いた穴が残るのみ。

 「…あっという間……本当に便利じゃの……”収納”とやらは」

 「うん? この木の棚の物は”本”か。持って行くかの」

 本棚が一つ。その本棚にはぎっしりと分厚い本が納められている。

 今までの日々の生活で、こういった物を拝む機会も無かったカンイチ。そもそもがあまり見かけない。図鑑等はあるが

 「うん? カンイチよ。焚き付けにでもするのか?」

 「するか! 本は知識の宝庫じゃぞ! 脳筋のガハルト君! ”収納!”っと」

 「好きにすれ……お? おお!」

 「うん?」

 カンイチが手をかざし、本棚を収納すると、本棚のあった壁に奇麗に畳まれたバッグが3つ現れた。

 「でかした! カンイチ! こいつもマジックバッグっぽいな! お? おお? 金貨も入ってるぞ!」

 バッグの一つを手にし、喜びの声を上げるガハルト。

 「頭目の私物かもしれんのぉ。良さげなバッグじゃわい。容積も大きそうじゃな!」

 他のバッグを調べながらダイインドゥも少々興奮気味だ。

 マジックバッグは希少で恐ろしく高価だからだ。

 

 「はぁ? これで何個目だぁ? 普通、ダンジョンでもこんなに見つからねぇぞ?」

 ディアンも興奮を隠せない。

 古の時代には作成する技術があったと言われるが、今は新たなマジックバッグを入手する手段はダンジョンしかない。

 「国境付近じゃし。大きな盗賊団だった。荒稼ぎの成果だろうのぉ。こっちは紋章みたいのが入ってるぞ? 持ち主に返すのか?」

 貴重とは理解しているが、”収納”持ちのカンイチにとっては他人事。しかも、落とした財布が返って来る国から来た、お気楽爺さんだ。

 「は? なんでよ? カンイチ?」

 「うん? もうこれらはワシらの物じゃぞ?」

 「ああ。その貴族だかが買い取りたいと願い出れば交渉位はしてやるがな」

 キョトンと。何言ってるんだお前さんは? という表情の3人。

 「そういうものかよ……。じゃ、後で山分けじゃな」


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