北へ!
3月1日 2022。18:30投稿。前回のミス投稿等、お騒がせしました……
連載再開しまぁす! とりあえず、ストックが切れるまで……
カンイチと共に気張ってダンジョンに乗り込みたいと思います!
よろしくお願いします!
明日からはまた、22時投稿で
”がたごとがたたがったごと……”
街道を北に向かう一台の馬車。その周りを囲む男たちと犬と狼。
【フィヤマ】の町に別れを告げ、北のダンジョン国、【アマナシャーゴ国】を目指すカンイチ一行だ。
フィヤマのある【サヴァ国】を出れば、【カブジリカ国】、【シター・シャモイ国】を越えていくことになる
「おう! イザーク君、馬車に乗れ。疲れたじゃろ?」
「まだ大丈夫ですよぉ! 行くぞ! クマ!」
”うおん!”
駆けていくイザークとクマ。ハナとシロは馬車犬らしく護衛のように馬車のわきを歩く。
フジ? 馬車の屋根の上で日向ぼっこしながら居眠り中だ。
「元気じゃのぉ……」
「まぁ、まだ、初日だしな」
ハクと並行して歩くのはカンイチとガハルト。そして、ハクの背にはアールカエフ。
手綱を握るのはダイインドゥ。
「イザック君! 張り切るのは良いけど! 明日、地獄だぞぉ!」
「イザーク君じゃ。ま、若いし大丈夫じゃろ……」
「本当に爺臭いねぇ! カンイチは!」
馬車から顔を出したのはダイインドゥの妻、ディアンだ。ドワーフ族の連中は馬車の住人に。スタミナ、筋力があるのだが、いかんせん足が遅い。特にダイインドゥが
「が、そろそろ、ハクの休憩をとろうかの」
そのダイインドゥが御者台から休憩を告げる。
「了解じゃ!」
街道に人の往来がいないことを確認し、馬車を”収納”に仕舞う。ハクの轡を取って、そのまま草原に
「ほれ。行け」
”ぶるるるるるぅ……”
水桶を出し、なみなみと水を注ぐ。後の馬の世話は、ミスリールが中心にやる事になっている。馬の周りにはクマ、ハナ、シロが。
イザークにはフジが付いている。なにやら、一人と一頭のコンビで薬草などを採取しているようだ。
「……良いコンビじゃな……」
そんな風景を見てポロリと漏らすカンイチ。
「何だかんだいって、フジ殿は面倒見はいいからね! この群じゃイザック君が一番弱いし?」
「なるほどの……って、イザーク君じゃ。そうじゃ! この先の村で漬物を買っていこう!」
「あ! カンイチが前に買って来た村だね! いいね! いいね!」
「うむ! 新鮮な野菜もたんと買えるぞ!」
……
「おう! 何時ぞやの銀の兄ちゃんか!」
「随分と大人数だな! 依頼か何かかい?」
以前、カンイチが『不審者騒動』を起こした小さな農村に到着。
「ええ、まぁ。仲間たちです。ナッツ村長は?」
「ああ。居るぞ。! ……って、あ、アールカエフ様?」
馬車の中からひょっこり顔を出す翡翠色の髪の少女。
「やぁ! やぁ! 野菜を売ってもらおうと思ってね! 通っていいかい?」
「ど、どうぞ! どうぞお通りください!」
「ありがと!」
……
「こ、これはこれはアールカエフ様…このようななにも無い村までご足労いただき……」
「村長! カンイチに聞いてるよ! 美味しい野菜が沢山あるって! 僕たち、ちょっと遠出をするんだ。野菜、分けてもらっていいかい? もちろんお金は払うよ?」
「……ちゃんと払う。なぜに疑問形じゃ? アールよ……。安心してください」
「い、いえいえ……」
出迎えに来た村長一家。皆、アールカエフの前で恐縮しきり
「ナッツ村長。騒がせます」
「い、いえいえ……カンイチ……殿」
野菜を買ってすぐに出るつもりだったが……。
キリが良いだろうと、この村の空き家を借りて、今日の宿にすることにした。
歓迎の席にと、またもや村の財産である鶏が潰されそうになったので、収納内にあった猪肉と、兎を供出し、鶏を救出。
「うんうん。お日様が沢山当たってたから美味しいね! 甘い!」
もぎたての真っ赤なトマトにかぶりつくアールカエフ
「うむ。栽培技術も高い。よおできとる。ワシも早く畑を作りたいのぉ……」
片やカンイチは、良く肥えた畑の土を握りしめて、いささか、しょんぼり
「元気出してって! カンイチ! その畑の購入資金を稼ぎに行くんでしょうよ! ……誰に払うのか知んないけどぉ?(ボソ)」
「そ、そうよな! アールよ! 気合い入れんとの!」
アールカエフの発破で気合が入った様だ
「うむうむ! それでこそ僕のカンイチだ! がんばれ! トマト、買っていこう!」
「単純だな……。カンイチさんは……」
「男なんかあんなもんさ。ミスリール。さて、オレ達も明日に備えて準備しようか」
「おう。母ちゃん」
……。
日のあるうちに、この村で出せるだけの野菜、果物を収穫させてもらい、保存食(漬物)も購入。
しかめっ面の野菜嫌いのガハルト。半面、ほくほく顔のカンイチ。
野菜も存分に触れて大満足だ。
トマトの収穫の時になど、手に着いたトマトの青臭さにうっすら涙が。
野菜の香り、供出した肉の焼ける匂い。収穫で程よく動かした身体も食料を求め、腹を鳴らす。
そしてこれから夕食という段に……
「村長……」
「うん?」
村長邸の前に多くの村人の姿が……宴をやるには人数も多いし、村人全員なんてものは年一回の”収穫祭”位なものだ。
今晩の夕食も村長一家とカンイチ達だけで摂る予定だった。それに表情も暗い。
「お、お前たち……」
「お、お寛ぎの所……す、すいません……。あ、アールカエフ様。高位の冒険者のガハルト様がいらっしゃると聞いて……」
「ぶ、無礼は承知で! お、お願いに上がりましただ!」
「何事? 村長? ねぇ?」
ワクワク顔のアールカエフ。彼女の好奇心もさらに。こちらの方も若返った様だ。
「俺に? か?」
こちらも何事かと興味津々のご様子。荒事のようだし、声も若干、上ずっている。
「村長? 何かあったのか? 構わんで」
カンイチがナッツ村長を促す。
「……はい。この近くに”大熊”が出ましてな……。未だ命に係わる被害はありませんが……」
「ほう……大熊か」
ぐっと身を乗り出すガハルト。
やれやれといった表情のカンイチ。更に促す
「この村に狙いをつけたのか、中々森に帰らなんで……。近くの林に潜んでいます」
「領主には?」
「もちろん……救援の要請を出しました……。しかし、領主の方からはそのうち何処かに行くだろうと。取り合ってもらえず……恐らくは人的被害が出るまで放置されるかと。村としてもフィヤマのギルドに討伐依頼は出しましたが……。ギルドの方にも依頼を受けてくれる冒険者もおらずに……」
「ん? そんな依頼があったのかの? ……何も言われなんだな」
「カンイチさん、そもそも俺達、掲示板に行かないでしょ。それに、カンイチさんもギルドを抜けるって言ってたから、ライン・ギルド長も声かけられなかったんじゃないですかね?」
「ああ。それと、”熊”は、割が合わないからな。普通の熊ならまだしも、大物には魔物も混ざることがある。カンイチがやった、デュアルベアなら一目でわかるがな……。見た目が普通のクロクマでやってみたら中身は別物。魔物の”ダーク・ファング” ”レッド・クロー” ”カース・ベア”だってことも良くある。危険度はクロクマに比べりゃ段違いだ。それに、依頼料、取引価格も危険度に比べてかなりお安いしな。普通の冒険者は、まず手を出さん。領主……領軍の案件だな」
「なるほど……の。で、普通の冒険者じゃない、ガハルトさんはどうすんじゃ?」
「無論! ダンジョン入る前の景気づけだ! 行くぞ! それに、この身体……今の己の実力も知りたいしな!」
だん! と立ち上がる虎人の大男!
ナッツ村長たち農民勢はその勢いに押され、一歩下がる
「ふう。……だそうじゃ。ナッツ村長。脳筋ガハルトさんが手を貸してくれるそうだ」
「お、おお! そ、それでは!」
「早速案内してくれ! 村長! 今晩の晩餐の一皿に加えてやろう! カンイチ! クマたちを借りるぞ!」
「好きにせぃ。じゃ、行くかの。アールは留守番かの?」
「もちろん観に行くさ! がんばれ! ガハルト君! 熊の丸焼きだ!」
「俺も行く!」
とイザーク君。
「オレも!」
こちらはミスリール。
「ふんむ。ワシらは留守番をしていようかの」
「ああ。旦那としっぽりと一杯やりながら待ってるよ。カンイチ」
こちらはダイインドゥ夫妻。
「よし! それじゃぁ熊退治に出発じゃ! ガハルトよ、前みたいに無理するなよ。動けなくなったら置いていくぞ!」
「ああ! 高々前哨戦だ! わかってるわ! くっくっく」
「……本当かよ。脳筋は直ぐに忘れるで……」




