表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
力の解放
150/520

今日は南の原に

 …… 


 今朝も朝一番。犬達の水を替え、肉を出す。今日は猪のブロック肉だ。

 それからカンイチは元気に褌洗い。

 

 ”ごしごしごし……”

 

 「ふぅ、気持ちがいいの。今日もいい天気じゃわい!」

 「はふぅ……。おはようございまふぅ。眠……」

 「おう! おはようさん。イザーク君。うん? ガハルトは?」

 「朝、食べてますよぉ」

 「もうか? 相変わらず早いのぉ。じゃ、ワシも行くかの。イザーク君は?」

 「う……ん、褌洗ったら行きますよぉ……」

 「お! 自分で洗うとは良い心がけじゃな! じゃ、お先に。フジ行くぞ? うん? フジ? どこいった?」

 「フジ様ならガハルトさんと」

 「そうか……。いつのまに」

 ……

 

 「ふぅ……」

 カンイチの姿は、毎度のことながら買取カウンターの奥にあった。ガハルト達も一緒だ

 「カンイチよ。今日はどっち方面に行くんだ?」

 「うん? 偶には休みにでもするかの?」

 「つまらんだろうが!」

 すでにこの場は、カンイチ・チームのミーティングの場となっている。大抵は、ここでその日の獲物、行く方面が決定される。ドルの親方やルックの意見も汲み上げて。

 

 「……困ったもんじゃ。そうだ、ルックさん、カエルあるけど要るかの?」

 「ええ! もちろん! カンイチさんのは特上ですから。直ぐ売れますよ!」

 「じゃ、出すが。ここでええか。……。で、イザーク君もなんかやりたいことあるかの?」

 解体台に弛緩した大カエルを出しながら。

 「特には。そうだ! 南の原行ってみません? 薬草の宝庫とか?」

 「薬草摘みかぁ。まぁ、基本っちゃ、基本だな」

 あまり乗り気ではないガハルト。彼は剣に生きる漢だ。

 「ガハルトさんは反対です? でも、拠点の回りの産物くらい調べないとダメでしょう?」

 「いやな……そうではないが」

 「珍しいでっかい兎がおるぞ。それを狙えばよかろう?」

 「デカい兎?」

 ぴくりと反応するガハルト

 「確か……ごら……ご……。なんじゃったか? ルックさん」

 サクサクと解体中の手を止めルックが答える。

 「ええ。牛兎。ゴライアスラビットですね。あ、革、もう少しかかります」

 「ほう。ゴライアスラビットか。行こう!」

 「単純じゃの……」

 「ええ……」

 「でも、会敵確率はものすごく低いですよ。あと、開けたところに大きな蜥蜴がいるから注意してくださいね」

 「うん? そいつは食えるかの?」

 「ええ。鶏の笹身ササミみたいでおいしいですよ。ちょっと硬いけど」

 「じゃ、試しに獲るかのぉ」

 「基準が美味しいか不味いかですか? カンイチさん?」

 「当たり前じゃろが、イザーク君。生きるためじゃ。イザーク君も言ってただろうに?」

 「……違う意味でですよ。で、ルックさん、そのトカゲって?」

 「うん? レッド・レザー・リザードね。赤いでっかい蜥蜴だよ。毒は無いけど、噛まれれば足の骨でも粉々だよ。あと、尻尾ね。はたかれたらふっ飛ばされるくらい強烈だよ。死んじゃうかも? 注意ね」

 「はい。注意します……」

 「よし! 出発するか! 目指すは、レッド・レザー・リザード!」

 「ちがわい……今日は薬草採取だぞ。ガハルトよ」

 「あ! ガハルト殿、牛兎の方が買取価格高いですよ~~」

 ……


 ……

 

 「おはよう! カンイチ。今日はどっちに?」

 南門に到着。慣れ親しんだ面々。今日はハンスはいないようだ。

 「おはようございます。ヨルグさん。今日は南の原に」

 「そうか、気を付けてな。おう、クマも元気だな!」

 ”うおふ!”

 クマの首を撫でながら。ここでも犬達は人気者だ。

 「はい!」


 街道に出てしまえば、クマたちの手綱を解放。

 「レッド・レザー・リザードかぁ。どんな魔物でしょうね?」

 「まだ動物の括りだろう? 町の南すぐだし。比較的安全と聞く。あの原っぱも広いもんなぁ」

 「何で畑にせなんだ?」

 「さてな。ま、森も近いし。維持が大変なんだろう。東側の農地で精いっぱいのようだしな」

 「あ……そういえばそうじゃな。柵も不十分じゃった」

 「ま、冊で完全に囲まない限り、安心して畑も耕せないってことだな」

 「そうじゃな」

 ……

 

 「へぇ。街道に近いのに人、あんまり入っていませんね……。街道沿いの草も荒れてないし」

 「ここも川が近いで、毒蛇でもおるんじゃろ」

 「よし! この辺りから行くか! 頼むぞ! クマ!」

 ”ぅおふ!”

 一声、返事をし、藪に入っていくクマたち。

 ”がささささ”

 ガハルトもスルスルと入って行く。

 

 「あんな大きな図体で……音がせんとはのぉ。すごいの」

 「獣人族……。しかも虎人族ですからねぇ。生まれながらの狩人ですよ」

 「獣人族って皆あんなのかの?」

 「いえ、いろんな種族の人が居ますよ。畑耕すのが上手な人やら、細工物が上手の人やら。ガハルトさんみたいな”戦闘種”は狩猟やら、ギルドにも何人か所属してますよ」

 「その割にはあまり見かけないのぉ」

 「そうです? フィヤマの町にも結構いますよ? 獣人の方。もっとも、尻尾とか耳は隠していますし、ガハルトさんみたいに目立ちませんけど」

 「ほぉ~~そうかのぉ。注意してみてみよう」

 『お爺、話しも良いが、注意せよ。蛇が結構いるぞ。イザークよ噛まれても知らんぞ』

 「あ、ありがとうございます! フジ様。引き締めます!」

 腰帯から鞘ごと剣を外し、構えるイザーク。

 『うむ』

 「すまん、すまん。ここに居るのはどんな種類かの。違う種類なら酒に漬けてみるかの」

 「またあれ作るんですか……」

 「うむ。そろそろ、蒸留酒のキツイやつ、仕入ねばの」

 「げぇ。本当に?」

 「強壮剤になるんじゃぞ?」

 「へぇ……」

 ……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ