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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
冒険者カンイチ フィヤマ編 チーム
148/520

弱点を突け!

 …… 


 「で、カンイチ、如何すんだ?」

 ハンスより領主の動向を聞いたカンイチ。

 「う~む。”戦力”としては御免被る。”居るだけ”で良いのなら考えもしようが……。で、隣国はどうなっておるんじゃ」

 クマたちの手綱を外しながらガハルト、イザークに聞く。

 「そうだなぁ。国境の北はカブジリカ国。人に紛れるのならその先のダンジョンを有する、シターシャモイ。ここも冒険者の町だ。紛れるには都合がよい。東は王都を抜け、その先は大穀倉地帯を有する、イヴァーシ。この国とあまり仲が良くないな。何処も”山の富”が欲しいからな。その先は……よく覚えておらん。で、南は、ノドゥグキロス。この国もあまりここと仲良くねぇな」

 「ええ。特にイヴァーシとの間ではちょくちょく軍の衝突があります。是非ともフジ様の力が欲しい所じゃないですか?」

 「そうか……戦争しちょるのか」

 「ええ。森に近いですし」

 「それだけじゃないがな。この領地を欲する貴族も多い。同じ国の連中がだ」

 「うん? その話はアールより聞いてる」

 「カンイチの言う通り出奔して僻地に村を作るのも良いが……もう一つ方法がないわけでもない」

 「うん? 何じゃ?」

 「”ミスリル”の冒険者になっちまうって事さ。そうすりゃ、少なくとも余計な手出しは無くなるだろうさ」

 「面倒な……」

 「狼やら魔獣引き連れて完全に潜れはしまい? なら、いっそ、堂々と……な」

 「ええ、クランも作れますよ」

 「なんじゃ、イザーク君、クランとは?」

 「簡単に言うと、冒険者ギルドの小さい奴?」

 「そんなもん、作る意味はあるのかの?」

 

 ――全く意味がないように思えるがのぉ

  

 「税金対策と言いますか。カンイチさんの日当も”経費”になりますし? 今の%より、細かい節税対策が出来ますよ?」

 「なるほどの。うん? イザーク君はそれを知っててギルドに?」

 「……入れるものなら入りたいですよ。この国ににはありませんし、審査もものすごいキツイと聞きます」

 「ああ、帝国やら、大きい国にあるな。この町にもあって不思議じゃないんだがなぁ」

 「ガハルトは関心ないようじゃが?」

 「俺か? 獣人だしな。そもそも一人のが良かった。背を任せる奴がいなかったからな。それに、クランの連中は、好かん。大した実力も無いくせに威張り腐ってな。ま、全てがそうとは言わんがな。ああ、思い出したら腹が立つ!」

 

 ――何があったんじゃ? 獣人が下に見られる風潮があるようじゃが……

  

 「そうなんですか?」

 「俺の知ってるところはな。有名どころの冒険者の集まりってんでいい気になってんだ。群れてるだけのザコだ」

 「そりゃ……。ガハルトさんに敵う人なんかそうそう居ないですよ」

 「うむ。剣一本で魔猪に突っかかるバカはそうおるまい」

 「誉め言葉として受け取っておこう! また、行きたいものだな!」

 「ちぃとも褒めておらんがの……」

 「ええ……」

 「それにしても……なかなか上手くいかぬのぉ」

 「そうだな。それだけフジ様の存在はデカいものな」

 ……

 

 ……

 

 「お? そっち行ったぞ! イザーク!」

 ”げっこげこ!”

 「ひ! こ、この! ”ばしぃ!” か、硬てぇ!」

 『非力だな。フン!』

 ”どきゃ!”

 ”げっこーーーー!”

 フジの犬パンチ、魔獣パンチか。頭部をひしゃげさせ、飛んでいく巨大カエル。

 「こら、フジ! イザーク君の鍛錬にならんじゃろ!」

 『イザークが怪我したら、誰が兎を剥いて、我のブラッシングをするのだ?』

 「わかったわい。が、怪我する寸前までは手ぇ出すな」

 『細かいお爺だな。 ”ざばぁ!” 話の途中ぞ! 生意気な! 我を食おうてか! ふん!」

 ”ばきや!”

 再びの魔獣パンチ炸裂。大口を開けてフジにとびかかったヨロイオオナマズは陸地へと飛ばされる。

 ”びちびちびち……”

 「化物め……」

 『生意気なナマズめ! ほれ、イザークよ。とどめだ!』

 「は、はい!」

 ”かきん!”

 イザークの振り下ろした斬撃を易々とはじき返すナマズ。鎧鯰の名に恥じない堅牢の護りだ。

 「か、硬い……」

 『己の頭は飾りか? イザークよ! 折角、陸地に打ちあげたのだ。良く観察し、柔らかそうなところを刺せばよかろうが!』

 「は、はい、フジ様!」

 「うむ。フジの言う通りじゃ。急所、弱いところをつくのも立派な戦術じゃ。鍛えられない所、目やら、口やら、尻の穴やらの」

 「え、えぐいですね……」

 「そんなこと言ってるとやられるぞ? イザーク君。そいつの場合は、呼吸器……鰓穴にでもぶっ刺せばよかろ」

 「は、はい! やぁ!」

 イザークの突きが、鰓穴に。大量の血を吹き出し、ナマズは息絶える。

 「な、なるほど……」

 「真正面から行くのはガハルト一人で十分じゃわい」

 ……

 

 「ふぅ。今日も結構獲ったな!」

 ドラゴンフライに襲われないように、林の中で一服。

 そう、魔猪と死闘を繰り広げた場所だ。カンイチはトンボ除けのつもりだが、ガハルトは内心、再びの邂逅を願っているのだろう。その手は設置してあるボーラを弄ぶ。新しい痕跡はないが

 「うむ。想定外のナマズも獲れたでの。上々じゃ。早速、卸してバター焼きにしてもらおう。美味いぞぉ」

 「いいな! で、カエルはどうすんだ?」

 「何やらアールが欲しがってたからのぉ。あ、ちゃんと補填はするぞ」

 「いや、構わん。世話になってるしな。風呂の例もある。俺達の生活の質の向上にもなるんだろう?」

 「うむ。アールが言っておったからなぁ。ついでにワシの生活も良くしてくれるとの。ふふふ」

 「エルフ族らしい考えだな。はっはっは」

 「でも、カンイチさん、アールカエフ様に惚れてます? 結構マメに」

 「う~~ん。どうじゃろか……安心できるのは確かだな……母のような……?」

 「……怒られますよ?」

 「うん? 1000年生きてるんじゃ。よかろうが!」

 「え、ええぇ! 1000年……?」

 「ああ。イザーク。翡翠色やら、青藤色の髪のエルフの方々はハイエルフっていってなぁ、かなりのお年を召した方が多い。多くの知識と、それななりの力をお持ちだ。余計な手出しするなよ」

 「1000年……かぁ」

 「で、この後はどうすんだ? まだ時間もあるし、山の方に行ってみないか?」

 「ええぞ。沼回りはこの前見たしの。キノコでも採って行くかの」

 「良し! ならいくか!」

 ……

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