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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
冒険者カンイチ フィヤマ編 チーム
136/520

俺…

 …… 


 『ふふぅ……。今日の山鳥は実に旨かったな! あの滲み出る脂が素晴らしい。山に行ったら捕まえよう』

 足取り軽く、前を歩くフジ。余程美味かったのだろう。 

 「フジ殿! 是非に町まで持ってきて!」

 『エルフ殿も森に出ればよかろうが?』

 「え? ええ? めんどいぃ~~」 

 

 じたばた駄々捏ねモードのアールカエフを横目に、

 

 ――フジと、アールは相性的に大丈夫のようじゃな

 と、一安心のカンイチ。

 

 「いやぁ~~食った、食った! 最近、美味いもんばかり食ってるな!」

 腹をさすりながら、こちらもご機嫌のガハルト。

 「はい。アカリノに居る時なんか……。でも、蛇のスープ……美味しかったなぁ……」

 少々、影の落ちるイザーク。が、毒蛇のスープを思い出してか顔は蕩けそうだ。

 「蛇のスープのぉ。生姜が効いてて美味じゃったな。うん? イザーク君もそこそこ稼げてたのじゃろ?」

 「……稼いでたっていっても、たかがしれますよ。安いとはいえ、宿借りてたし……」

 「ふ~~ん」

 「それにどうしても”植物採取”がメインでしたから」

 「おぅん? チーム組んでたじゃろ?」

 「う~~ん。それでも、いたら猪程度ですよ。身を守るためといいますか……”狩猟系”じゃないとね」

 

 ――それでよくもまぁ、クマを寄こせと言ったもんじゃ

 イザーク君は言っていないが

 

 クマ、ハナ云々より、カンイチの方に問題があったのだろう。成人するかしないかの見た目だ。どうしても舐められる。事実この世界では成人したての15歳だ。

 

 「ああ。動物や魔物が狩れないとなかなか贅沢は出来んな」

 「なら、ガハルトは?」

 「俺か? 多少、動物やら魔物狩る程度さ。どうしても一人じゃな。あまり大きいのもな。運搬も考えにゃならん」

 「家、借りられるだけ良いですよぉ」

 「イザーク君達は借りられないのか?」

 「こんな、無名な”鉄”に貸してくれるところないですよ……」

 「そういう時のギルドじゃろ? 斡旋とかしてくれんのか?」

 「そうなんですけどねぇ。で、この後は、ギルドに?」

 「ああ、そうだな。アールよ。今日はありがとうの。今から送ろう」

 フジに抱き付いているアールカエフに声をかける。

 フジも痒いポイントを掻いてもらってご機嫌のようだ。

 「うん? こちらこそだよカンイチ! 今日も美味しいご飯にありつけた! 大丈夫、大丈夫。一人で帰れるさ! ご馳走さま! じゃ、カンイチ! また誘ってね!」

 「おぅ! また一緒に食べに行こう!」

 「うん! フジ様も、ガハルト君も、イザック君 「イザークじゃ」 ま! 怪我しないようにね!」

 わざとやってるのだろう。お茶目な奴だと微笑ましくも思うカンイチだった。

 ブンブンと手を振る、翡翠色の髪の少女を見送りながら。

 ……

 

 ……


 「ふぅぅ。落ち着く……のぉ」

 只今、買取小屋で朝食後の一服。特に大きいガハルトが加わったから少々小屋も狭苦しい。

 昨日はアールカエフとハインツのレストランで食事を摂ったので本日納品することに。

 ギルドの依頼の毒蛇だ。毒蛇はこのままでも数日は大丈夫。ついでにドクサンショウウオも”収納”の中。狩りたてホヤホヤだ。10匹卸す。今回は分けずに一遍の納品でいいようだ。

  

 「いやぁ~~。お見事、お見事。頭に一撃! うん? こっちのは……ま、大丈夫でしょ」

 「あ……それは……」

 査定の様子を見ていたイザークが漏らす。恐らくイザークが突いたものだろう

 「”ずずぅ” ふぅ。蛇も少々取り過ぎたようじゃ。狭苦しいだろうで、早よ出してやってくれ」

 「ええ。大丈夫ですよ。人呼びにやってますし。前回の講習が生かせるでしょ」

 

 ――あの阿鼻叫喚の研修か? 何人か死にかけたと聞く。アレがまた繰り返されるのか。

 と、少々心配なカンイチ

 

 「大丈夫かの?」

 「ま、大丈夫ですよ。ははは。依頼ご苦労様です。そうそう、依頼料、一括でいいです?」

 「うん? 手間じゃなけりゃ、3等分にしてそれぞれのとこに入れてもらえるかの」

 「了解しました。手配しておきますね!」

 「え! ええ! か、カンイチさん、お、俺……」

 「チームじゃろ。構わんて」

 当然だろうと、カンイチ。

 「うむ。それぞれの足りない所を補ってこそのチームだ。正当な報酬だ。イザーク」

 と、ガハルトも応じる。

 「は、はい……でも俺」

 恐縮するイザーク。同等の報酬を得ていいものかと

 そこに、

 「だからって、猛進してはいかんぞ、小僧。かえって迷惑がかかるぞ」

 入口から、ドルの親方が入って来た。ぶっきらぼうだが、イザークの事を思いやってのことだ。

 「お、ドルさん、お邪魔しとるぞ」

 「おかえり、カンイチさん。小僧、焦る気持ちやら、己を卑下するのもわかる。が、焦ると碌なことは無い。かえって仲間を危険に合わせる。学ぶ場を与えられたと思うんじゃ。徐々に力を付けりゃいい」

 「は、はい! ドル親方!」

 「すまんな、親方」

 「いやな、どうしても、若い者はの。しっかし、よくもまぁ、これだけ多くの蛇、捕まえて来なさったな」

 「うむ。蛇は得意じゃ。はっはっは!」

 「おかげで、大分、解毒薬が作れるよ。今年は死者数も減るじゃろ」

 「親方! カンイチは、猿みたいに足で蛇を掴むんだぞ!」

 「そりゃ、また……」

 わいわいと狩猟談話に花が咲く。

 ドルの親方のおかげで、イザークの余計な力も抜けたようだと、感謝するカンイチだった。

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