表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
冒険者カンイチ フィヤマ編 チーム
129/520

部屋を借りよう

 …… 


 あまり階上、ギルド長室には行きたくないが、ガハルトやイザークの宿舎の件を話すのなら、リストの元に行かないことには始まらない。嘆願にあがる一行。

 ”こんこん”

 戸を叩く手にも力が入らないカンイチ。どうも文官タイプは苦手のようだ。

 

 「お早うございます。リストさん、居らっしゃるか?」

 「うん。居るぞ、なんだ? カンイチ。そうそう、昨日はカンイチ持ちだったそうだな。ご馳走さま」

 「うん? アールが……。ま、いいわい。ハンスさんにも、リストさんにも大層世話になってるからの。で、じゃ」

 「うん? 住む場所か?」

 「うむ。できれば宿舎がいいの。鍛錬場の回りが使えればクマたちも快適じゃ。あれだけ広い、閉鎖された場所は町中に無いでのぉ」

 「構わんが……家賃貰うぞ?」

 「……せこいのぉ。ギルド長殿。ワシ等が、うんと稼がせてやると言うのに。やる気半減じゃな。のぉ、イザーク君」

 「い、いえ……は、ははは……」

 「はっはっは」

 ガハルトは笑うのみ。

 「ま、良いじゃろ。ワシは払わんでも良いんじゃろ」

 「おう。約束だからな」

 「ガハルトはどうする? 一軒借りた方が良いか? 宿舎は狭いで」

 「俺か? 寝る場所だけあればいいぞ。カンイチの部屋でもな」

 「ワシの部屋かの? 余計な物が沢山置いてあるからのぉ……」

 酒樽やら

 「うん。毒蛇が入った瓶が並んでた……」

 と、昨晩世話になったイザーク君の告白。布を除けたらずらりと並ぶ蛇! 蛇!

 しかも、人など一噛みであの世に送る、『ブッシュ・マスター』だ。大いに驚かされた。

 

 「うん? 何すんだ、カンイチ? そんなもん」

 「おいおい。宿舎に放してくれるなよ、毒蛇なんぞ」

 「ああ。酒に漬けるんじゃ。ま、楽しみにしとれ。じゃ、一部屋借りていいかの? ガハルトとイザーク君で。ワシの所は、フジが上がって来るからのぉ……。今日、フジの寝袋か布団買わんと……」

 

 フジは外で寝るのではなく、部屋にあがって来る。おまけに布団をご所望だ。しかも、ハナを呼ぶ始末。ハナは、昔から外。雨、雪の日は土間だったので座敷には上がっては来ない。こちらの世界は、”土足”だが、その辺りはきっちりしている。もちろんカンイチの部屋は土足厳禁だ。

 

 「フジ殿か……。ふぅ……」

 

 リストギルド長の悩みのタネ。何分前例もない。上に報告を上げて良いものか

 一日で国を亡ぼす最強の魔獣フェンリルなのだ。ギルド、領主、王へ報告しないといけない案件だ。

 報告したらしたで、カンイチごと取り込もうとするだろう。並みの冒険者ならそれでもいいが。恐らく仕官なぞ望まないだろう。

 

 「ちゃんと言葉もわかるし、賢いぞ。問題あるまい? 余計なことをしなかったらの、特に、ハナに手出すなよ? 嫁に手を出したら……」

 「ああ。ふぅ……。頭が痛い。魔獣より、”人”の方がアホだからな……」

 「そうなぁ」

 「ああ、違いない」

 「……で、ですね」

 少々耳の痛いイザーク君でした。まぁ、正確には彼のチーム。そして、良い悪いは別にしてそのおかげでカンイチ達のチームにいる。

 「で、今日は何するんだ? カンイチ。外に出るのかい?」

 ギルド長が、予定を聞く。

 「今日は、主にガハルト等の買い出しじゃな。で、明日から、ボチボチ。あの確か……ドクサンショウウオ? じゃったか? 先ずはアレをと思っておる。後で打ち合わせしようと思っているがの。結構美味かったしの」

 「なら、ギルドにも卸してくれ」

 「了解じゃ。ガハルトさんがいるから、多少大きな獲物でも問題なかろう? ワシ一人よか量も獲れるじゃろ」

 「おお! いいな! でかいのも狙うか?」

 「う~~ん。陸地まで引き摺りだす手段が見えん。釣るにしても人手が足りん」

 「滑車が要りますね。あと、牛とか?」

 「うん? それじゃ。どこかに売ってるかの?」

 「大きいですし、作ってもらうしか……」

 「ま、追々じゃな」

 「あっ、と。カンイチ、毒蛇、指名依頼出していいか? 新しいケージもできてな。ブッシュマスターあの麻袋で二つ。おかげで、薬の製造も順調だ」

 「うむ。ついでに取って来るかのぉ。念のため、薬、まわしてくれんか。ギルド長」

 「お? さすがのカンイチも危険性に気づいたか?」

 「危険性は十分知っちょる。備えがあれば憂いなし。それにイザーク君が噛まれてもいいようにの」

 「お、俺?」

 「念の為じゃ。町に帰るまでに死んじまうぞ」

 「ひ! そ、そうですよね……」

 「そうだな。慎重だものな。お前さんは。帰りカウンターで受け取ってくれ。3人分無償で支給しよう。注文書に添付しておくわ」

 「ありがとう。という訳で、明日、ドクサンショウウオと蛇でええか?」

 「応! 俺は構わんぞ!」

 「はい。ドクサンショウウオと……ブッシュマスター」

 「ちょっと、”鉄”にはきついがな。頑張ってくれイザーク」

 「は、はい。ギルド長!」

 「うん? ワシには激励がないのかの? リストギルド長? ワシの方が新人じゃが」

 「は? 要るのか? じゃぁ、ギルドの為に頑張ってくれ! カンイチ!」

 「う~~ん。……なんか嫌じゃな」

 「だろうが!」

 「はっはっは! 騒がせたな! リストギルド長。部屋もありがたく使わせてもらう。ほれ、行くぞカンイチ」

 「うむ……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ