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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
魔獣編(仮)
118/520

さらば!アカリノのギルドよ!

 …… 


 「ふ、ふひぃ……頭がぁ……頭がぁ」

 「無理せずに家に居ればよかろうが。大人しく寝ておれ」

 「だぞ! イザークよ!」

 「ひぃ、ひぐぅ! ガ、ガハルトさん、声デカぁ、ひ、響くぅ、ひびくぅ……」

 少々昨日の酒は深かったようだ。イザークはガッツリ二日酔い。頭を抱え悶絶している。

 が、獣人のガハルト。加護持ち(魔改造済)のカンイチはケロリとしたもの。

 「仕方ないな。朝は串焼きでいいか?」

 「うぇえ……串焼き? 俺、要らない。気持ち悪いぃ……うぇっぷ」

 「だから、寝ておれというのに」

 まぁ、こういった事は若いうちに経験しておいた方がいいと、優しく? 見守るカンイチ。

 

 『うむ。良い匂いが立ち込めておるな。少しずつ、2~3カ所の物を所望す!』

 ちゃんとフジも付いてきている。

 

 「で、ガハルト、ギルドに何の用じゃ?」

 「ああ。貸家の解約と、一応、町を出るって報告をな。そう時間もかかるまい」

 「ふ~~ん。あ、フィヤマに着いたら住むところどうしよ?」

 「うん? しばらくは宿屋か? カンイチの処でも構わんぞ。寝られりゃな。今はどうしてるんだ?」

 「ギルドの宿舎を借りてる」

 「ふむ。ま、俺とイザークで別に家借りても良いもんな。カンイチと一緒だと……リスト殿と交渉だな」

 「そりゃぁ、構わんが。うちはギルドの受付嬢と一緒じゃぞ?」

 「な! カンイチさん! ほ、本当ぉ……い、痛たた……」

 痛い頭をガバリと上げるイザーク。二日酔いに性欲が打ち勝った瞬間だ。

 その後すぐに惨敗だが。

 「若い……のぉ」

 「ああ……」

 「カ、カンイチさんが爺臭いんですよぉ。ぃつぅ……」


 ――ジジイじゃもの。ふふふ

 

 『うむ? ここのがいいな! お爺!』

 「了解じゃ。買って来よう」

 甘ったるい香りのする串焼き屋だ。フジの嗅覚に訴えるものがあったのだろう。

 「うぇ……」

 

 二日酔いのイザーク君の胃袋には臭いだけでもダメージを与えたようだ。胃液が過剰に分泌され、胃をキリキリと締め上げる…

 そんな事は他所に焼き立てを3本購入し、木皿に串を外して入れてやる。熱くてもフジにはいいようだ。

 

 『ほうほう……。この焦げ目、これを香ばしいといったな。うむうむ。甘いが酸っぱみがありなんとも不思議な味だ。これはこれで旨いな!』

 「そりゃ、良かったの。うん? ほんに美味いな。果汁が使われてるか?」

 「おう。酒が欲しくなるな」

 カンイチ達も追加で購入。朝食にする。

 青い顔でその様子を窺うイザーク君

 「ふむ。イザーク君。ここは一丁、迎え酒と行くかのぉ?」

 「へぇ? 迎え酒です? な、何ですそれ? カンイチさん?」

 「うむ。酒で今の症状を緩和……する方法じゃ」

 「へぇ。本当ですかぁ? ……カンイチさん」

 カンイチの顔にないか感じただろうイザーク君。疑いの目を向ける。

 「ほう?」

 「うむ。先送りともいう。更なる地獄が待っているがのぉ」

 「ダメじゃん……それ……」

 「そうそう上手い話はないってことだ! イザークよ! はっはっはっは!」

 「だ、だからぁ、ガハルトさん、声! ひ、響くぅぅぅぅぅ……」

 ”はっはっはっはっは”

 ……


 フジの嗅覚に引っかかった露店で串焼きを数点購入。朝食とする。フジも当初の宣言通り、そう大食いもせずに満足しているようだ。

 「フジよ。足りておるのか?」

 ガフガフという訳でもなく、肉片を一つずつ楽しむように口に入れるフジ。

 『うむ? 今はの。多くの味、工夫された味。楽しさの方が勝っておる! ついて来た甲斐があったわ!』

 「そりゃぁ、良かったの。まだまだ美味い食い物もあろう。楽しんでくれ」

 わしわしと首を撫でる。

 『うむ!……気持ちいの』

 ……


 そして因縁の地、いや、今では仲間を得た運命の地か。アカリノの『冒険者ギルド』に到着。

 経緯を知ってるガハルト、チラとカンイチに目を向ける。

 「カンイチ、着いたが?」

 「ワシには用事も無し。ここはいけ好かぬからフジと外で待ってるわ」

 「だろうよ。イザークはどうする」

 「俺も、一応、報告だけ……」

 「わかった。行くか」

 「あ……カンイチさん! じゅ、従魔票! フジ様の分、申請しないと!」

 「む……。仕方ないの」

 すっかりフジの分の従魔票を忘れていたカンイチであった。このまま出発となれば門でまた止められるところだった。

 ……

 

 「カ、カンイチ様……しょ、処理が終わりました。これが新しい従魔票です」

 「うむ。手数をかけたの」

 今回に関しては通常の登録業務。が、受付嬢に背を押された責任者が対応。

 何も悪いことしてないのにと少々納得のいかないカンイチ。この全てはガハルトのせいだと。

 手数料を払い、出口に向かおうとすると……

 

 「お前が、カンイチか?」

 ベテランの域に達しているだろう、冒険者5人がカンイチの行く手を遮り取り囲む。

 「はて? どちら様かな?」

 ぐるりと顔を見渡すも全く覚えがない。

 「ふん。ちょっと付き合え……」

 「生意気なルーキーが暴れてると聞いてな」

 「ギルド長様も大層お気になされていた。ここを他所者にいいようにされてなぁ」

 

 ――ギルド長? 見せしめ……みたいなものかのぉ。なんじゃ本当に小物のようじゃなぁ。ここのギルド長は。下らぬことで……

 と、呆れる。

 

 「わしには、何の利益も無い。断らせていただく」

 ずい! と、踏み出すも

 「おいおい……ここはギルドの中だぞ。逃げられるとでも?」

 「くっくっく。なぁに、少々痛い目にあってもらうだけだ」

 「ふむ」

 『うん? 敵か? 我が蹴散らそうか? お爺』

 「フジが動けば、こんな奴ら粉々じゃ。放っておけ。放っておけ」

 『そういうわけにはいかんぞ。ハナから守るように言われておる』

 「大丈夫じゃ。命に触るようなときは頼む。それまでは人の世界のこと」

 『ふむ。判った。面倒な事よ』

 「うむ。そうなぁ、面倒なことじゃて」

 完全に無視をされて騒ぎ出す、男たち。

 「何をごちゃごちゃと!」

 「おい! このガキが!」

 「ふん。ギルド長あたりからの依頼か? 下らん。そこまで言うのなら相手をしてやってもいいぞ。その代り、貴様らの全財産賭けろ。であれば乗ってやるわい」

 「はぁ? それこそ割に合わねぇだろ!」

 「なら話は無しじゃな。のけ」

 

 背を向け歩きだすカンイチ。

 「おい! 何処に行く」

 歩き出したカンイチの肩に伸ばされた手、その手は届かなかった。

 「本当に面白い奴だな! カンイチ!」

 ガシリと手首をガハルトが掴んだからだ。

 「ガ、ガハルト……さん? あ、アンタには関係ねぇ! は、放せよ!」

 ”ぐきき……”

 がハルとの握力でぎりぎりと締め上げられる手首。

 「い、いでで……は、放してくれ!」

 「は? カンイチは俺のチームのリーダーだぞ? 自分のチームのリーダーが襲われていて見て見ぬふりは出来まいよ。バッサクよ。お前は見捨てて逃げるのか? 仲間を置いて?」

 「は? はぁ?」

 「お、おい……聞いていた話と……」

 5人の男たち、明らかに動揺をしている。

 「この騒ぎ。レンガーの野郎か? 下らぬな」

 「ほ、本当にチーム……か?」

 「ああ。明日には俺はこの町を出る。カンイチと一緒にな!」

 「……」

 「うっ」

 「で、どうする? チーム対抗戦。やるのか? やらんのか? もちろん、貴様ら全員の全財産賭けてもらうぞ。くくく」

 「か、勝てっこねぇ!」

 「俺は降りるぞ!」

 「お、おい!」

 バッサクを置いて逃げ出す、チームの他のメンバーたち。早速、”見捨てられて”しまったようだ。

 

 「なんだ。可愛そうにな。置いてかれちまったな。バッサクよ」

 「く、くそぉ!」

 

 「どうするんだ! おい!!!」

 

 ガハルトの怒声一発!

 「ひ! ひぃーー!」

 腰が砕けたようにガクリと膝が折れるも、ガハルトに手首を握られたまま。ぶら下がってる格好だ。

 「小物が。ふん。おい、小便漏らしてないよな?」

 握っていた手を放してやる。へたり込むバッサク。

 「もう良かろう、ガハルト。そっちの用事は?」

 「ああ。済んだ。世話になったな! さらばだ! アカリノのギルドよ! はっはっは!」

 「じゃ、いこうかの。イザーク君は?」

 「そこらにいるだろ。お~~い! 行くぞぉ! イザーーーク!」

 「は、はいぃ……」

 ガハルトの大声に反応したようだ。頭を抱えて出て来たイザーク君

 「居たのぉ……」

 ……

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