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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
魔獣編(仮)
117/520

打ち上げ

 …… 


 アカリノの町に到着。今回の魔猪狩りのお疲れさん会と称して皆で飲みに行くことに。

 先にガハルトの借家に立ち寄る。庭にクマたちを放し、水用の木皿と桶に水を張り、肉塊を出す。

 

 「皆、ご苦労じゃったのぉ。で、フジはどうするんじゃ?」

 『うむ? もちろん向こうで食う。クマよ何かあれば知らせろ。良いな』

 フジが、クマにこの場を任せるようだ

 ”ぅおふ!”

 そしてクマが応えるように吠える。まさに答えているのだろう。ここは任せろと。

 

 「では行くかの。留守を頼むぞ。クマ」

 ”ぅおっふ!”


 屋敷の中に戻るとガハルトとイザークが神妙な面持ちで話をしている。

 「うん? どうしたんじゃ? 何か問題でも起きたのかの?」

 

 ――フジが町に居ること自体が大問題じゃがのぉ。が、今更、どうにもなるまい

 とガハルト達の顔を見る。

 

 「いやなぁ、先ずは託された牙。これは懇意にしてる商会に預けようと思う。そこから競売に出してもらおうって腹だ」

 フジの食事の残りかす。10本の魔猪の牙だ。

 「ふむ。良いのでは? ギルドは……。ま、いいか」

 「ああ。わざわざ、あのいけ好かないクソレンガーの手柄にしてやるのもな。でだ、もう一点。素面しらふのうちに言っておきたくてな。カンイチよ」

 「なんじゃ? 改まって」

 身を正すガハルトとイザークの顔を見まわす。

 「俺達も付いて行っていいか?」

 「うん? 拠点を移すのか? フィヤマに?」

 「違う……。今後もカンイチと行動を共にという意味だ」

 ……

 言葉の意味を整理するカンイチ。

 「ワシに付いて来ると? 前にも言ったじゃろ? ワシは3年限定じゃぞ? 冒険者は」

 「ああ。その後もな。どうせ、クマたちの餌だって取りに行くだろう? フジ様だっている。呑気に畑……って訳にも行くまいよ?」

 

 ――いや、その呑気に畑が希望なんじゃがのぉ。ま、ガハルトの言う通りじゃのぉ。

 と。隣にいるフジに視線を落とす。フジは我関せず。ゆったりと寛いでいる。

 

 「そりゃ、そうじゃがな……しかし……」

 「ギルドより、多くの”戦い”が期待できるからな。山に村作るんだろう?」

 「そりゃぁ、洒落じゃろが? それに、イザークさんはまだ若いだろう? これから稼いで嫁を貰って……」

 「それを言ったらカンイチさんだって一緒でしょう?」

 「そりゃまぁ、そうじゃが」

 偉そうに語ったところで、今はイザーク君と同じ若造である。ピチピチの。

 「俺の家も元々農家だし。苦じゃないですよ」 

 「そ、そうなのか?」

 「ええ。兄貴が継いでいます。俺、三男だから。剣も多少振れたんで冒険者に」

 「実際、冒険者にはそういうの多いぞ。農地だって有限。長男が継いで、分けても次男までだろ? それ以降は、婿に出るか、兄貴の下に付くか」

 「大概が、幼馴染と冒険者で一花咲かそうと出てきますね。兄貴の下だなんてゾッとする。奴隷のように扱き使われるんだ」

 「そこまでは無かろうに? 肉親じゃろが。うん? 良いのか? 幼馴染? お仲間は?」

 ふと、カンイチに絡んできた二人の若者の顔が思い浮かぶ。

 「あ、俺の場合、こっちで知り合ったから……。研修の時に」

 「ま、そんな訳だ。どうだろうか?」

 「どうと言われてものぉ……」

 『ふん。イザークは我が雇ってやる。ブラシ係だな! ついて来ると良い!』

 「お、おい。フジ。良いのか? 本当にガハルト、イザークさん」

 「ああ! なにより面白そうだ。付いていくぞ! カンイチよ!」

 「ええ。お願いします。カンイチさん! 俺も混ぜてください!」

 そこまで言われてはと、

 「うむ。こちらこそ頼む」

 「よし! 当分は一緒に冒険者やろうぜ! 早速、チームの結成式だ! 飲みに行くぞ!」

 「「おう!」」

 『うむ! 我も行くぞ!』

 ……

 

 「ねぇ、本気? ガハルト?」

 と、ガハルトの”移動”を聞いて驚く美女

 「ああ。フィヤマに行く。このチームの頭はカンイチだからな! ま、隣町だし。また寄らせてもらうわ!」

 「この町も寂しくなるわねぇ」

 そう、ここは【ライザのレストラン】。ガハルトのお気に入りの食事処。ここで、結成式兼、お疲れさん会を。無理を言ってフジも店内に入れてもらえた。

 彼は、只今、テーブルの下で香草焼きを堪能中だ。

 

 「しかし、ガハルト、確かに(カンイチは)実力はありそうだが、お前さんが頭じゃないのか? ランク的ににみてもよ」

 「はっはっは。カンイチが面白そうだから無理言って付いていくんだ。だから、カンイチが頭だ。それに俺たちの間にランクはない! なぁ!カンイチ!」

 「まぁのぉ。わしも良い友人が得られて嬉しいわ」

 「お? おお!? 嬉しいこと言ってくれるな! カンイチ!」

 「酔ってるんじゃない?」

 とライザがチクり。

 「おい!」

 ……

 「それにしても、4頭目。そいつ、魔獣だろ? よくもまぁ手懐けたものだな」

 「魔獣?ケインあなた本当ぅ?」

 「存在感がまるで違うな。見た目は普通の、毛並みの良いハイイロオオカミだが……。それに野生の狼は香草焼きなぞ臭くて食わんぞ」

 「そ、そういえばそうね……。美味しそうに食べてるわ。それに付け合わせの野菜も」

 「ま、色々あったんだわ。詮索無用だケイン」

 「ああ……。ちゃんと野菜まで食うなんてな。よっぽどガハルトより食通だわな」

 「ほっとけ!」

 ……

 

 「「「かんぱ~い」」」

 

 何回目かの乾杯の合図。フジも香草焼き3人前と、肉多めのスープ、パン。ちゃっかりデザートも平らげてテーブルの下で満足げに毛繕い。酒は飲まないそうだ。

 「”ぶふぁぁ!” カンイチよ。もう、明日一日、付き合ってくれ。ギルドと例の販売委託をしたい」

 「うむ。構わんぞ。イザーク君もやることあったら」

 「”ひっく!” だ、大丈夫ですよぉ~~」

 「おぅん? 少々飲み過ぎたか。そうそう。茶、売ってるとこ知らんか? ガハルト」

 「茶? ああ、茶なら、明日行くところでも取り扱ってるぞ」

 「うん? アミアンのところにか?」

 替りのジョッキを持ってきたケインが訪ねる

 「そうだが? なんかあったか?」

 「いや、特にないが……。競売にかけるくらいの収穫があったか? 羨ましいこって」

 「なら、復帰すればよかろうが! 何ならうちに混ぜてやるぞ? はっはっはっは!」

 「面白そうだなぁ」

 「ほらほら! あなた!」

 「おう! ガハルトよ。たまには顔出せよ!」

 「おうよ!」

 ……

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