表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

ざわめきの影絵。

作者: 海野音

ざわめくような漆黒の影絵。

誰もかれも手持ちの時間がない。

ほんの一瞬のすれ違い。

それだけで、寂しがり屋の心に染み込んでくる。

もう少しだけ、早く走れたら。

諦めるに足りる理由に鍵を掛けられたなら。

操れないのは現実と知ることができたなら。

人々の諦めの行進の道連れに、辛辣な歴史が延々と伸びている。

許されるなら、瞬きも永眠の畔まで伸ばして。

自由への飢餓を和らげて。

しかし、私には時間がない。

現実を操るなんて、傲慢にも程がある。 

見るべきじゃなかった。

もっと早く走れたなら。

もう、私の心に乗り込んでいる。

ざわめくような影絵に、くり貫かれたような目が光る。

惨めな姿を見て、誇らしげな顔をした私を見た!

違う、私は知らない!

私には時間がない!

食い逃げされる死骸の最後の記憶。

私がもっと早く走れていたなら。

私のとびっきりの醜い顔が、最後の記憶。

もう、時間がない。

ざわめきの影絵を道連れに、暖かい家に帰っていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ