第十二話 帰還とその後
ワイバーンを倒し、無事に国へ帰還した騎士たちは、自分の乗っていた馬を城の近くの馬小屋に戻していた。
一人、自宅の自室でベッドに寝転ぶ少年は、短く息をはく。
「あー……。疲れた……」
少年は力のない声で言った。数秒も経たないうちに、ゆっくりと眠気が襲ってきた。しかし、ドアのノックの音と共にすぐに眠気は去っていった。
「ロゼ、いるか?」
その聞き覚えのある声に、正直めんどくさく感じてくる。
「いるよ。ちょうど寝ようとしたところ」
ロゼは外にいるその人間に聞こえない声で言った。一階まで下りてドアを開けると、そこに黒いドレス姿で、長い紫がかった髪の少女が立っていた。
二人はリビングで話をしていた。
「リトニス、今日ぐらいゆっくりさせて……」
「ゆっくりして構わないが、ロゼ、今日は祭りの日だぞ?」
今日はこの国の伝統的な祭りのある日だ。
「だから何?」
「うるさくなりすぎて落ち着けないのでは?」
「あー……。確かに。僕の能力の弱点そこだからね」
ロゼの嫌なことの一つはまさにこれ。遠くの音を拾えるせいで、祭りの音を拾ってしまう。祭りの会場となる場所は家より少し遠いが、まるで目の前で騒いでるような感じになる。
リトニスはそれを心配して来たのだろう。
「二人はどうした?」
「寝てる。きっと疲れたんだよ。特にミソラは初めての戦いだったからね」
「そうか」
「二人に用件があったの?」
「まぁ、あの二人がいいと言うのなら、一緒に祭りに行こうと思ったんだが」
「行くつもりなの!?」
思わずロゼは叫んだ。リトニスは不思議そうに聞く。
「ダメか?」
「いや、ダメとかじゃないけど、リトニスは一応女王様だからみんな驚くでしょ」
「そこは気にしたら負けだ。元々私も一庶民だったわけだからな」
「そうだけど……」
徐々に返す言葉がなくなってきたロゼ。
「行ってもいいけど、ヴェルヴさんから怒られないか?」
「祭りの時ぐらい平気だろう」
───前に似たようなことがあったような。
ロゼはため息をついた。
「リトニスが行きたいって言うなら僕も行く。ヴェルヴさんには僕から説明しておくよ」
「らしくないな、ロゼ」
「たまには幼なじみの姫様と一緒にいるのもいいかな」
ロゼはそう言うと立ち上がり、
「さて、準備しますか」
と言って、部屋に戻っていった。




