裏な雲
示された激流を前、占いの語源が『裏な言』にあるとの逆説的な迷信を最初に信じたのは師がヤツの裏言葉に死したあの瞬間だった、と今や拘泥せぬ疑念への解答をふいに想起していた。
辺境での無意味な労役を負うには艶でないい肉付きした案内人は「源流には支流があり一度架橋を渡らねば辿りつけぬ」と私に伝えていた。
突然激流は私の意識へ! 様々な欺瞞押し寄せ通過。
支流でなく激流こそ源流、裏世界の官僚扮する案内人、旅立ち後裏稼業の一斉攻撃に滅びた占稼業、源流は上空の雲より生み落とされている、源流は国へ流れ裏言葉の源になる、激流は秩序を逆行する、裏は死を齎し源流に生ける魂渦巻く、そして。
私こそ架空の物語の一人物に過ぎぬと。
未来を予言する啓示的な占稼業と現実を捻曲げる魔術的な裏稼業との二大勢力が熾烈に拮抗していた世界のひとつの結末を描きました。